2015年09月13日

闇に咲く〜おいち不思議がたり あさのあつこ著。

《★★★》

江戸の町で夜鷹殺しが起こった。
時を同じくして、おいちの父の診療所の元へ、松庵の噂を聞きつけて小間物問屋「いさご屋」の主人がやって来た。
自分の中に、幼くして死んだ双子の姉がいる、と。
二つの出来事がやがて一つに繋がって行く。

犯人はこっちに見せかけて本当はあっちじゃない?と思ったら、やっぱりこっちだった、っていう話だった。

叔母さんと松庵の掛け合いは面白いけど、ちょっと長いよね。
だけど、おうた、松庵、仙五朗親分、新吉、おいちの周りには本当にいい人ばかり。
早くおいちと新吉、進展して欲しいな〜。



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冷蔵庫を抱きしめて 荻原浩著。

《★★★★★》

あ、ダメ、ダメだってわかっているのに、どうして同じことを―。あなたの心、解放します。現代人のライトだけど軽くはない心の病気に、シニカルに真剣に迫る短編集。 (「BOOK」データベースより)

「ヒット・アンド・アウェイ」・・・ これ、大好き。DVの恋人に我慢しながら前夫との子供を守る幸乃。どうしていつもこういう男に掴まるんだろう。女の幸せは結婚して夫に養ってもらうと信じていた母親に反発していた幸乃だけど、磁石と同じで反発しあうのは元は同じということ。このフレーズ、今回荻原氏結構好きみたいで他の短編にも出てた。
そんな自分に、ママに、さようならするために幸乃はDV男と闘う。
これ、本当に好きだな〜。ボクシングジムの会長も、通ってるボクサー田辺君も、本当にいい。これからの幸乃の人生、本当に応援したくなった。

「冷蔵庫を抱きしめて」・・・ 結婚前は相性ばっちり、私たちって磁石みたいにぴったり、って思ってたけど、結婚したら小さなことがたくさん違うことに気付いた直子。そんな幻滅に気付きたくなくて、またもや悪い癖が出てしまった。拒食症。理想の夫婦が破たんする話かと思ったら、ほっこりと温かい物語だった。
拒食症を隠していたけど、夫にはばれていて、汚してしまったトイレを一緒に掃除してくれる夫。
「二人の最初の共同作業です」なんて、そんなしゃれたジョークを言う夫、なんて素敵なんだろう。
磁石はぴったりくっつくけど、それはお互いが似た者同士だからじゃない、SとN、違う者同士だからだ、なんて、これも素敵。

「アナザーフェイス」・・・ 自分と似たような男がウロウロしているらしい。たくさんの目撃情報。でも俺じゃない。だんだんとそのドッペルゲンガーが近づいてくる。
なんか「世にも奇妙な物語」の一編のような話だった。

「顔も見たくないのに」・・・ 顔だけが取り柄だった元恋人。熱が冷めればその馬鹿っぷりや浮気ぐせに愛想も尽きる。
なのに別れた途端、あいつがテレビに出るようになった。顔も見たくないのに。どうなるのかな〜と思ったら、ちやほやされた時期が過ぎ、テレビから干されてしまったあいつがまた麻衣の元へ戻って来た。
当然突き放すものと思ってたのに・・・なんだかどうなっちゃうんだろう?

「マスク」・・・ マスク依存症になってしまった男。人に見られない、という快感を得てしまった男が異常なまでにマスクに依存し始める。ちょっとやりすぎな男。この人、着ぐるみに居場所を見つけたのかな。

「カメレオンの地色」・・・ いつも相手の好み色に染まってきた梨代。今の恋人候補のために部屋を片付けていたら出るわ出るわ、過去の男たちに染まっていた証拠が。そして誰の色にも染まっていない、本当の梨代を好きになってくれた中学時代のボーイフレンドを思い出す。昔の自分を思い返し、梨代は恋人候補の男と会うことがくだらなくなり、役者を目指しているはずの、中学時代のボーイフレンド、中村遼介に会いたくなって検索してみる。物語はここで終わってしまうんだけど、心から遼介、出てこい!!!って願った。
二人の中学時代のエピソードが切なくも微笑ましかったから、私も、梨代にはあの頃の梨代でいて欲しくて、二人に再会して欲しいと思った。

「それは言わない約束でしょう」・・・ 心に思ったことが無意識に口から出てしまう礼一。自分では言ってるつもりないのに、それが相手に聞こえてしまえば・・・しかも接客業だから非常にまずい。
でも分かるな〜。これ、つい出ちゃうってことあるんだけど、だけど、絶対まずい。デパート辞めて家の八百屋継ごうかなと思った矢先、父親が店を畳んでしまった。礼一は父親の接客を見習って、愛情のある悪口で接客するようになる。デパートでそれはどうよ、とは思うけど、案外客は喜んでるらしい。

「エンドロールは最後まで」・・・ 結婚できないのではなく、しない女になると決意した千帆。その途端映画館で出会いがあった。
結婚詐欺ってオチかな〜と思わせて。
医師だと思ってたら救急救命士。二人が出会ったシチュエーションも実は映画のワンシーン。挙句にアフリカに行くためにお金が足りない、って言い出す始末。
一体彼は何者?だけど千帆は彼についてアフリカに行く決意をした。多分、大丈夫。彼は本物。そう希望を繋げられる空気だった。

8編のうち、大好きだったのは約半分だけど、それでもその半分がとっても素敵だったから高評価。

posted by じゃじゃまま at 13:26| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 荻原浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月07日

歌舞伎町ダムド 誉田哲也著。

《★★★》

「ジウ」と「歌舞伎町セブン」が合体した!
なるほど、そう繋がったのか。
私は「ジウ」は駄目だったんだ。最初はよかったんだけど、シリーズ進むにつれて、まったく世界観についていけなくなって、理解不能になってしまった。
ただ今作で「ジウ」を振り返ると、前ほどの拒絶反応はなかった。

「新世界秩序」の残党のミヤジたちが東の抹殺を命じた。
その東を守るため「歌舞伎町セブン」が動き出した。そこにはジウの生まれ変わりを信じるダムドという殺し屋もいて、歌舞伎町がまた荒れる。

「ジウ」よりも読みやすかった。
手口は相変わらず誉田氏、遠慮ないけどね。

これから「新世界秩序」VS「歌舞伎町セブン」の闘いが始まるんだね。
ほ〜。


posted by じゃじゃまま at 16:35| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 誉田哲也 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ダブル・フォールト 真保裕一著。

《★★★》

ある意味で予想を裏切られた。
イソ弁である本條務はボスである高階からある殺人事件の弁護を任される。
町工場のヒーロー的存在である事務所は、街金融経営の成瀬を殺害してしまった町工場経営者の戸三田を救うべく、被害者である成瀬の周辺調査を本條に任せる。
ところが、本條は戸三田との接見で疑いを持ち、彼の供述を信じられないまま弁護をスタートさせる。

もちろん読者である私は戸三田を実際に見てないし、真保氏の書く本條視線での情報しか得られないので、正直、本條がどこでどう疑いを持ったのか、共感できないままだった。
被害者の娘である成瀬香菜が父親の過去を探る本條に対して敵意を剥き出しにして妨害をしかけてきても、それに翻弄される本條にイライラさせられ、挙句、香菜に手を貸すに至っては、もう呆れて、この物語は、本條の成長物語なのか・・・サスペンスではないのか、とがっかりしてしまった。

結局、殺された成瀬は悪人に見えてさほど悪人でもなく、加害者の戸三田が普通に悪人、被害者の娘に恋をした本條の弁護士成長物語なのか、と。
事件そのものも別に裏もなく・・・。

と思っていたら、そう裏切られたわけだ。

やっぱり真保氏の作品だった!思わずラストは泣いてしまった。

確かにね、戸三田の弁護から外された本條が、ボスの過去や事件の裏を暴きだして、そこまでの経緯は社会人としてどうかと思ったけど、真実は悲しいものだった。
本当は隠したい真実だったのだろうけど、だけど本條の行動は最終的には正しく、救うべきでない者はそれなりに救われず、救うべき人間は救われたのでは、と思った。

あのままでは上っ面の事件経緯では戸三田の家族は救われないでしょ。加害者なんだけど、でもそこには事情があって、成瀬は被害者なんだけど、悪いことしたわけだから。
もちろん香菜たち身内にとっては、それは聞きたくない知りたくない父親の素行だけど、だからといって殺されていい理由にもならないだろうけど、物語的にはうまくまとまったなと思った。

なんだ、ただの成長物語じゃなかった。ちゃんと裏があった。
そして泣けた。

あの不良娘の香菜のキャラが、冒頭と最後では別人のようだったけど、そこだけがうまくいきすぎてるような気もしたけどね。



posted by じゃじゃまま at 16:28| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 真保裕一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月29日

ミツハの一族 乾ルカ著。

《★★》

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の徒兄が死んだと。墓参りのため村に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う―。大正時代の北海道を抒情豊かに描いた、清艶なミステリ。 (「BOOK」データベースより)

烏目役としてまるでやる気のなかった清次郎が、水守の美しさに心奪われて、いそいそと村に戻るのは、いささか呆れたけど、未練を残して死んだ者たちの「思い」には毎度切なさが伴う。
烏目役の言いつけにはどんなことでも従う村人、そんな旧習深いやり方がいつまで続くのか、いくら大正時代といっても昭和、平成になったらどうなるんだろう、って余計なことだけど思ってたら、ちゃんと終わりの見えるラストだった。

烏目役と水守の悲恋の物語でもあった。

posted by じゃじゃまま at 10:36| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月17日

透明カメレオン 道尾秀介著。

《★★★》

ラジオのパーソナリティの恭太郎は、冴えない容姿と“特殊”な声の持ち主。今夜も、いきつけのバー「if」で仲間たちと過ごすだけの毎日を、楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届ける。恭太郎が「if」で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女が店に迷い込んできた。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる彼らだが―。陽気な物語に隠された、優しい嘘。驚きと感動のラストが心ふるわす―。
(「BOOK」データベースより)

びしょ濡れの美女、三梶恵に、バーの常連たちが振り回される様子は、ちょっとイライラしたな〜。
そんなの言うこときかなくたっていいのに、って。ま、それがないとお話にならないんだけど、でも恵の提案はどれもこれも現実的にはあり得ない作戦で、小説だからな〜って域。

ただ、最後に恭太郎が明かした真実は衝撃だった。そこだけを読むためにだらだらと恵の作戦の話に付き合ってた、っていうのが私の読後感想。

posted by じゃじゃまま at 23:18| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 道尾秀介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

森に願いを 乾ルカ著。

《★★★★》

いじめ、就職、恋愛、不治の病…さまざまな思いを抱えた人々の運命を変える言葉とは?静かな感動を呼ぶ「森」のミステリー。 (「BOOK」データベースより)

なにかを抱えた人たちが、その森へやって来る。そして、言葉の大切さを一番知っている森番の青年との出会いが、彼の一言が、人々を救っていく感動の短編集。
どの短編も泣ける。
いじめが原因で学校に行けなくなった少年。その心が分からなくなった母親。だけど、少年の心は優しいままだった。それを教えてくれた森番の青年。

不治の病を抱えた青年に、希望を与えた森番。

自分に見合った評価を得られずにいら立つ女性に、もう一度立ちあがるきっかけを与えた森番。

どの章もほんの小さな奇跡なんだけど、とてもきらきらしている。本当に乾氏は素敵な物語を書くな〜って大好きな作家の一人。そして信頼している作家の一人でもある。

ラストに明かされる森番の青年の秘密には、本当にびっくりした。呼んでる途中から、あれ?って思わず何度も読み返してしまった。そして、そういうことか!!!って。


posted by じゃじゃまま at 23:09| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月16日

銀翼のイカロス 池井戸潤著。

《★★★★★》

久々に、半沢シリーズの勧善懲悪、燃えた!!
今回出てくる航空会社再建云々。現実とフィクションをうまく練り込んで、最高のエンターテイメントだ。
半沢チームは、正義感溢れてて、反半沢は銀行や政治の悪。
毎回窮地に立たされてそうに見えて、必ず倍返しの半沢はスカッとする。

政治家ってそんなもんだよね〜、今までの空港誘致も全部土地所有者調べたくなるね。
ちょうど今、オリンピックの新国立競技場建設が問題になってて、これにもいろんなしがらみがあるんだろうな、池井戸氏に書いて欲しい。半沢に、不正なお金の流れとか暴いて欲しいよね〜〜。

半沢がなにか言うたびに、堺雅人が浮かんでくる。
前作の「ロスジェネ〜」はイマイチ盛り上がりに欠けたので、ドラマ化するな是非今作にして欲しい。

posted by じゃじゃまま at 21:42| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 池井戸潤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月01日

風のベーコンサンド 高原カフェ日誌 柴田よしき著。

《★★★☆》

離婚調停中の奈穂は、バブルがはじけ閉館が相次いた百合が原高原のペンションを改装し、カフェを開いた。
たった一人、ここで自分の人生を切り開くために。
このカフェにやって来る地元の優しい人々と共に過ごす高原カフェ日誌。

「風音」 ・・・ なんの縁もない土地で、地元の人々の協力を得て開店したカフェ。なかでもひよこ牧場のバターやベーコン、ソーセージのおかげで奈穂は知らずと救われていく。
ゴルフ場が開発されるとの噂で嫌悪感を示すひよこ牧場の妻、南。
ある日、テレビを見せてくれないかと作業服の初老の男性がカフェにやって来る。カフェはテレビを見るところではないと、憮然とする南だけど、奈穂はその人にテレビを見せてあげたい、と思う。
そして、その心がすべてを動かした・・・のは後に続く話。だけど、ここでベーコンサンドが奈穂のメニューに加わる。

「夕立」 ・・・ 高原の夏は涼しいと聞いてたはずなのに、猛暑で暑い。初めて迎える高原での夏。
村では独身者が少ないが、兄が急逝したために村に戻り家を継いだ村岡との出会い、奈穂の人生が少しだけ色づく。
そこへ奈穂との結婚生活に執念を燃やす夫滋がやって来た。奈穂を自由にはさせないと言いにやって来たのだ。傷つき泣いてるところに、テレビを見に来た作業服の男性「田中さん」がやって来て、あえて具体的なことは言わないのに、奈穂を心配し、励ましているのが分かる存在。
そして、読者はなんとなく「田中さん」の正体に勘付いている。

「豊饒」 ・・・ 秋になり冬の足音が遠くから聞こえてきそうな季節。奈穂は、冬の間をどうしようか迷っている。冬は観光客が見込めないため、カフェを開いていても赤字かもしれない。冬の間だけでもどこかで働くか・・・、そう思いながらも、奈穂の料理、来てくれる客への想いが少しずつ届き始めて客足はついてきている。そんなある日の夜、近所の農家の嫁、小枝がやって来た。村に住む人々にはそれぞれの事情がある。好き好んで農家にやって来たわけでもない女たちがいる。それでもその中で夫と協力し合い自分たちの生活を、この村を守りたいと思っている。
小枝は、自分の人生はなんだったのだろう、と東京からやって来た奈穂がこの村で頑張るたびに苛立っていた。自分はこの村にいるべきではなかった、もっと他に自分の居場所があったのではないか、と。
夫に浮気され、居場所を見失った小枝の言葉に、奈穂はそれでも自分はここで生きていきたい、と思う。

「夢鬼」 ・・・ とうとう冬がやって来た。奈穂が思っていた以上に冬は厳しかった。
ゴルフ場開発が中止になったけど、リゾートホテルが立ち、成功している。なんのレジャーもない高原で、ホテルが成功している以上、冬はいいわけにはならない。村も頑張る、と村岡は決意している。そして奈穂も応援するため、閉鎖されたスキー場で行われるクロスカントリー大会で屋台を出すことを提案する。
奈穂のカフェで出している天然酵母のパンを作っている伊藤夫妻が店を畳むことを考えている。
リゾートホテルのパンの味に打ちのめされたのだ。でも息子を失っている伊藤夫妻は強い。負けて逃げるわけではなかった。
クロスカントリー大会の日、またもや滋がやって来た。ここで死ぬことを考えいた滋、そうはさせまいと声を掛ける奈穂。初めて滋の傷ついた心を聞けたが、それでも二人が復縁することは、ない。

「融雪」 ・・・ 離婚は成立したが、まだ次の恋に進む準備ができていない奈穂。それでも村岡が来るとどうしても胸がはずんでしまう。
そんな村岡が大学の先輩を連れてカフェにやって来た。しきりに村岡と奈穂を冷やかす井村。
そんな井村の心に残る女性。偶然にもその女性はカフェにやって来ていて奈穂と会っていた。お互いが忘れられなかった相手で、奈穂がキューピットになったのか、世の中こんな偶然、うまくいくばかりじゃない。

「花歌」 ・・・ 奈穂のカフェがオープンして一年。そのお祝いを村岡と共にする奈穂。二人の恋はまだ始まったばかりだけど、きっとうまくいく。
「田中さん」」の正体はもう分かってはいたけど、奈穂も気付いたね。南の牧場の商品も、実は奈穂のおかげだったんだよね、きっかけを作ったのは。
最初は南は田中さんを追いだそうとしたんだから。
ホテルのカフェと、奈穂のカフェ、奈穂には負けて欲しくない。でも大丈夫、奈穂のカフェには心強いファンがいるんだから。

家を出てしまった小枝のその後が気になる。

posted by じゃじゃまま at 14:09| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 柴田よしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月23日

明日の子供たち 有川浩著。

《★★★★》

早く読めばよかった。
レビューで、登場人物の女性に共感できない、とか児童施設ってワード出てたので、暗いのかな、共感できないって嫌な子が出てくるのかな、ってなかなか開けなかった。
ところが、読み始めたら、そんな危惧なんて吹っ飛んだ。
女性陣に対する警戒心も、すっかり忘れてしまうくらいすんなり入っていけたし、のめり込んだ。

児童養護施設「あしたの家」で暮らす子供たち、職員たちの物語。
新任の三田村は気持ちは熱く熱血なんだけど、勘違いしてたり、一言余計だったりと騒がしい。
比較的、施設内で聞き分けのいい部類の奏子に、実は内心拒否られていて、そのエピソードは、読者である私含め、気付かされた視点だった。
「かわいそう」そんな風に思わないで欲しい。それが全編通して伝わって来る。
そして、強いられた自立。そうだよね、高校に進学しなかったら施設は退所しなくてはいけなくて、自立しなくてはいけない。
どのみちいられるのは高校卒業までで、卒業後の生活は自分の手で築かなくてはいけない。
それがどれほど心細く大変か、大人である自分にはもうすでに分かってはいるけど、それを18歳で分からされる子供たちは、やっぱり普通の家に生まれた子よりは大変。

やらなきゃいけないんだから。甘える場所なんてないんだから。

猪俣先生が子供たちに進学を推奨しないその理由。それだけアッコちゃんのことを真剣に思っていたからなんだよね。そしてアッコちゃんとの奇跡の再会。その再会は、猪俣先生とアッコちゃんだけじゃなく、奏子の進学でぎくしゃくしていた久志との溝も埋めた。

和泉にほのかな恋心を抱き始めた三田村。その三田村の前にライバル現る。
それは和泉の高校時代の初恋の相手。和泉の恋の話は切なかったね。高校時代の彼、施設にいるという理由だけで成就しなかった。「住む世界が違う」と。
その彼が選んだ結婚相手は、和泉と寸分違わなかった。和泉は問う。自分があの時「そんなこと気にしないよ」ではなく「分かった」と答えていたら成就したのだろうか。
否、やっぱり駄目だったろう。彼女との違いは、出会ったタイミングだけ。

切ないよね〜。三田村じゃなんか頼りないし、しかも私の中では三田村はうざい。
猪俣先生も、梨田先生も、施設長も、みんなみんないい人。価値観は違っても、それぞれに子供たちを想う気持ちは十分。

全編通して、私たちが普段思いがちな施設への偏見、そこに暮らす子たちの本音が伝わって来て、エアポケットに落ちてしまってるテーマを、こんなに読みやすく問題提起できて、すごい小説だと思った。


posted by じゃじゃまま at 18:30| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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