2015年08月29日

ミツハの一族 乾ルカ著。

《★★》

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の徒兄が死んだと。墓参りのため村に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う―。大正時代の北海道を抒情豊かに描いた、清艶なミステリ。 (「BOOK」データベースより)

烏目役としてまるでやる気のなかった清次郎が、水守の美しさに心奪われて、いそいそと村に戻るのは、いささか呆れたけど、未練を残して死んだ者たちの「思い」には毎度切なさが伴う。
烏目役の言いつけにはどんなことでも従う村人、そんな旧習深いやり方がいつまで続くのか、いくら大正時代といっても昭和、平成になったらどうなるんだろう、って余計なことだけど思ってたら、ちゃんと終わりの見えるラストだった。

烏目役と水守の悲恋の物語でもあった。

posted by じゃじゃまま at 10:36| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月17日

透明カメレオン 道尾秀介著。

《★★★》

ラジオのパーソナリティの恭太郎は、冴えない容姿と“特殊”な声の持ち主。今夜も、いきつけのバー「if」で仲間たちと過ごすだけの毎日を、楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届ける。恭太郎が「if」で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女が店に迷い込んできた。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる彼らだが―。陽気な物語に隠された、優しい嘘。驚きと感動のラストが心ふるわす―。
(「BOOK」データベースより)

びしょ濡れの美女、三梶恵に、バーの常連たちが振り回される様子は、ちょっとイライラしたな〜。
そんなの言うこときかなくたっていいのに、って。ま、それがないとお話にならないんだけど、でも恵の提案はどれもこれも現実的にはあり得ない作戦で、小説だからな〜って域。

ただ、最後に恭太郎が明かした真実は衝撃だった。そこだけを読むためにだらだらと恵の作戦の話に付き合ってた、っていうのが私の読後感想。

posted by じゃじゃまま at 23:18| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 道尾秀介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

森に願いを 乾ルカ著。

《★★★★》

いじめ、就職、恋愛、不治の病…さまざまな思いを抱えた人々の運命を変える言葉とは?静かな感動を呼ぶ「森」のミステリー。 (「BOOK」データベースより)

なにかを抱えた人たちが、その森へやって来る。そして、言葉の大切さを一番知っている森番の青年との出会いが、彼の一言が、人々を救っていく感動の短編集。
どの短編も泣ける。
いじめが原因で学校に行けなくなった少年。その心が分からなくなった母親。だけど、少年の心は優しいままだった。それを教えてくれた森番の青年。

不治の病を抱えた青年に、希望を与えた森番。

自分に見合った評価を得られずにいら立つ女性に、もう一度立ちあがるきっかけを与えた森番。

どの章もほんの小さな奇跡なんだけど、とてもきらきらしている。本当に乾氏は素敵な物語を書くな〜って大好きな作家の一人。そして信頼している作家の一人でもある。

ラストに明かされる森番の青年の秘密には、本当にびっくりした。呼んでる途中から、あれ?って思わず何度も読み返してしまった。そして、そういうことか!!!って。


posted by じゃじゃまま at 23:09| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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