2008年08月04日

金色の野辺に唄う あさのあつこ著。

≪★★≫

藤崎松恵、母であり曾祖母であり、恩人であるその女性が、今静かに息を引き取ろうとしている。
この物語は、松恵に関わり、松恵によって救われた人々が、松恵との思い出を回想しつつ、また救われていく。
孫である充の息子、東真は、絵を描くことが好きで、同級生の才能に嫉妬し苦しみ絵を描くことを拒んでしまったが、曾祖母の遺言であろう言葉を聞き、もう一度描く決心をする。
そして、同級生の少女への想いも隠すことなく自身で認める。

孫の充の元へ後妻としてやって来た美代子。美代子自身家族に縁の薄い人生だった。松恵に「珠を持っている」と言われ、彼女は救われた。

花屋の店員は、強盗と叫ばれても仕方のない状況で、松恵に御飯をご馳走になり、温かく受け入れられたことにより、前向きに一歩踏み出すことができた。

娘である奈緒子は、類稀な美貌により、その出生を疑われ、実の父から拒絶されていた過去を持つ。その哀しみを母である松恵だけが受け止めた。それは母、松恵にとっても同じ苦しみだったから。
松恵は、夫が死ぬ間際に発した一言により、長年溝があったことを知る。
この母子は、悲しいほど運命共同体なのだな。

松恵は、彼らの苦しみや哀しみを受け止めて、そして救い、安らかに旅立っていく。
一瞬戸惑ってしまったけど、人と人の繋がりの話か、って後から納得したら、じんわりきた。
posted by じゃじゃまま at 22:46| 🌁| Comment(4) | TrackBack(2) | あさのあつこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人の死がとても厳かに描かれていて、とてもよかったと思います。
読後感のいい作品でしたよね。
どちらかというと、あさのさんの作品は読後感がいまいちなものばかりなんで、好印象でした。

Posted by ゆう at 2009年01月24日 20:44
ゆうさんへ
あさの作品は読後感イマイチなんですか!?
私は「バッテリー」くらいしか読んでないので(ああ、時代物も一冊読んだかな?)、印象がそれしかないので、逆にこういうの書くんだ〜って。

読後感のよろしくないものは、ちょっといただけませんね。
Posted by じゃじゃまま at 2009年01月26日 23:28
いいお話でした。
ラスト数ページは、涙が止まりませんでした。
Posted by ふらっと at 2009年02月12日 06:38
ふらっとさんへ
最初からいいお話って思って読んでれば、感動はさらに、だったでしょうね。私、あさの歴短いので、バッテリーのイメージで読んじゃったんですよね。
今、私は感動に飢えています。(爆)
Posted by じゃじゃまま at 2009年02月13日 21:43
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