2009年12月11日

床屋さんへちょっと 山本幸久著。

≪★★★☆≫
宍倉勲は、父から受け継いだ製菓会社を倒産させてしまった後、繊維会社に再就職し、定年まで勤め上げた。
隠居生活を送っている勲たち夫婦の元へ、一人娘の香が孫を連れて実家に戻ってきた。
そこから勲と香、家族の物語は始まる。そして章を追うごとに過去に進み、仕事や床屋さんの話が、ああ、あのときの話はこれか、おお、この人だったのか!と驚き、発見しながら展開されていく。

でもちょっとほろ苦く、切ない物語。

孫の勇と一緒に、勲は生前墓を買う為にある町を訪れる。そこはかつて勲が社長だった会社の工場があった場所だった。
そして、通っていた床屋はまだその場所に・・・あった。

時間が遡っていくこの物語は、まるで死ぬ間際に見る走馬灯のように、勲の若かりし頃の姿がキラキラしている。

冒頭では、勲って駄目人間なのかと思っていたら、実は真面目で正義の道を行く熱き男に変わっていった。
そして、倒産させてしまったけど、勲はみんなから慕われていた。
最終章では、勲が亡くなっていて、ぽっかり胸に穴があいてしまったようだった。

決してハッピーエンドとは言えないけど、それが人生というものだ。
残された妻と娘、なんだかその姿がキュンとくる。





posted by じゃじゃまま at 14:24| 🌁| Comment(7) | TrackBack(3) | 山本幸久 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
展開がお見事でしたよね。
普通に進んでいたら、味わえない感動があったような気がします。
勲さんは、本当に素晴らしい人生を送られたと思います。
Posted by ゆう at 2009年12月11日 22:17
こんばんは。
ふつうの流れを逆行く作品でしたね。
結果を知っているから、どこか寂しいです。

もしもという考えは不適切です。でも、もしも...。
Posted by しんちゃん at 2009年12月13日 23:36
ゆうさんへ
冒頭、娘は出戻るわ、過去に会社は倒産させてるわ、で一体どういう人物なのかと思っていたら、己の器を知っていた温かい人だったんですよね。いい人生でしよね、娘が出戻っても。(苦笑)

しんちゃんへ
勲さんがことあるごとに、過去に会社を倒産させた、っていうので、徐々に時間が遡って、勲さんが真面目って分かれば分かるほど、物語がそこに近づいていくのが切なかったですね。
娘も問題山積だし。(ため息)
Posted by じゃじゃまま at 2009年12月16日 11:40
こんばんは。
お返事おそくなってごめんなさい。

遡るにつれて勲さんの印象がいい方向に変わりましたよね。
最終章「え??」って感じでした。

Posted by なな at 2009年12月16日 20:40
ななさんへ
まさかの最終章でしたよね〜。
ハッピーエンドとはいえない終わり方なのに、なんだかこうヒューマンドラマのラストで、青空を見上げて終わる、みたいな余韻がありました。
Posted by じゃじゃまま at 2009年12月17日 10:33
人生を遡るのって、切ないですね。
読者には結果が判っているのに、やり直しがきかない過去を真面目に生きている勲さんの姿を見るのは切なくもあったけれど、決して不幸なだけの人生ではなかったので、後味はなぜか爽やかでした。
Posted by ふらっと at 2010年02月21日 08:40
ふらっとさんへ
本当にその通りなんですよね。倒産することが分かってるのに、どんどん勲さんが若返って、結構真面目でいい人で。切ない!最終章では勲さんいないし。
だけどすごくいいお父さんの人生でした、って感じでよかったですね。娘がちょっと心配ですが。
Posted by じゃじゃまま at 2010年02月28日 23:05
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