2010年05月19日

フリーター、家を買う。 有川浩著。

≪★★★★☆≫

家族を守るため、近所のいじめに耐えてきた母が精神を病んでしまった。
町を出る気持ちのない無理解な父、母親の病状に気づかずグータラ生活を続けてきた息子誠治。
そんな誠治が、一念発起。母親を今度は自分が守るため、身勝手な父や世にも恐ろしい実姉亜矢子と共に、立て直していく家族の再生物語。

テーマは暗いけど、笑い(微笑む程度)あり涙ありの、そして父や誠治、近所のばばあたちに怒りを感じながらも、爽やかな再生物語だった。

就職しても3ヶ月で辞めちゃって、履歴書も使い回し、バイトも嫌なら辞めちゃう、悪いのは周りで自分はそれなりにやってんじゃん的な適当な誠治。
ああ、最近乃南アサ氏の「ニサッタ、ニサッタ」にも似たような奴いたな。あっちは暗く、こっちは明るいけどね。
父誠一も、近所の不興を買ったのは自分なのに、一切顧みず、妻を罵り息子に当たり、どんどん妻を追い込んでった駄目親父。

姉の亜矢子だけが、近所のいじめを知っていて、母と共に何年も耐え続けていた。
その亜矢子が、母寿美子がとうとうまともな心を保てなくなってきて、乗り込んできた。
ここはスカッとしたね〜。
誠治がちょっと弱腰になって父に同情しちゃったのも甘いし、余計なお世話に感じたしね。

亜矢子のおかげで家庭崩壊が、半壊くらいで済んで、ここからは誠治の見せ所。
母のためにまずはお金ってんで、肉体労働ガテン系でバイトするんだけど、今までなにやっても続かなかった誠治が、ここで家庭のために、そして気のいい仲間と知り合ったことによって、ターニングポイントとなる出会いをしていく。

仕事ももちろん、自分自身も、なにかのために一生懸命になれる、そんな自分を発見できたことが一番大きかったと思う。
自分が変われば周りも変わる。

そこからは誠治も、誠一も、寿美子も、みんなが再生していく。

もしもこの物語を半年前に読んでいたら、どうだろう。
ここまで泣かなかったかもしれない。誠治を見ていると面白いくらいに自分を重ねてしまう。

駄目駄目な親父誠一も、プライドが高くて妻の病を、心が弱いからだ!なんて斬り捨てちゃうけど、3歩進んで5歩下がるくらいな反省の仕方だけど、ちょっとずつ家族に向き合っていく。
その駄目親父だけど、言ってることが正論!!ってのもあって、結構侮れない。駄目親父一筋じゃないんだよね。

適当な履歴書を送っていた誠治に、字は丁寧に書け、さすが経理の鬼と呼ばれてるだけあって仕事は一流んだんよね。

誠治のバイト先の作業長も、骨のある男だしね。
言い訳をするな。理由は聞かれてから答えろ!う〜〜、これは息子に是非聞かせたいね。

有川氏のベタベタ甘甘モードがないので、皆無かと思いきやちゃんとついてきましたよ。おまけ的な感じはするけど。
なので星は4つ半。
でもすご〜〜くよかったよ。





posted by じゃじゃまま at 10:44| ☁| Comment(8) | TrackBack(5) | 有川浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
文句なくよかったですね。
甘々が苦手な人も充分愉しめる一冊でした。
Posted by ふらっと at 2010年05月19日 13:32
お母様はもうお元気になられましたか??
現実に苦しい事があると、余計に自分と重ねてしまうことが私もよくあります。
でも、未来のある結末でよかったですよね、これ。
無理やりっぽい恋愛も、ちょうどいい感じでした。
Posted by ゆう at 2010年05月19日 20:42
あの親父!!!本当に腹立たしかった。
亜矢子が登場するたびに拍手したい気持ちになってました。
でも、やっぱり会社ではそれなりの地位にいる人
正しいことも言うんですよね。


>言い訳をするな。理由は聞かれてから答えろ!う〜〜、これは息子に是非聞かせたいね。
同感!!!

Posted by なな at 2010年05月20日 08:27
前半のこのらしくない苦しさは何?
そう思っていましたが、中盤以降は快感!
この人は、こうでなくっちゃ(笑)
Posted by しんちゃん at 2010年05月22日 23:04
働き方に一石を投じたような物語でした。

元気になれる一冊でしたね!
Posted by じゅずじ at 2010年05月23日 19:08
ふらっとさんへ
元気になれる物語でしたね!私も仕事はガテンの方が合ってると発見したので、余計親近感。(笑)

ゆうさんへ
恋愛ないんだ〜?って思ってたら、結構無理矢理くっつけてましたよね。(笑)
人間根っこの部分はなかなか変わらないのに、誠治は家族のためにあれだけ変わって・・・。立派です。
今、私も誠治に励まされてる部分あるんですよね。

ななさんへ
これは息子の教本にしたいですね。私ったら、作業長やお父さんがいい事言ったページに付箋貼っちゃったりして(将来、息子のために)、でもよく考えたら自分の本じゃないので、息子に読ませられず残念。(爆)
亜矢子、すごかったですね〜〜〜〜〜。

しんちゃんへ
テーマは重いんですよね。それなのにここまで元気にさせてくれるなんて、有川さんは読むのが楽しみにできる作家さんですよね。

じゅずじさんへ
仕事って、こんな風にしたいですよね。好きな仕事と合ってる仕事って違うじゃないですか。
誠治が変わり、状況もいい方向に流れていったのが、嬉しくなりましたね。
Posted by じゃじゃまま at 2010年05月24日 22:31
グータラ生活を送っていた誠治でしたが、母のことを気遣いながら、働くことができるようになったことはえらい!
誠治の変わり様が見事でしたね。
Posted by at 2010年11月12日 22:38
花さんへ
遅くなってすみません!
いつも文句ばかりで、仕事なんてすぐに見つかるさ、なんて思ってた誠治が立派な好青年になっていく様が心地よかったですね。
Posted by じゃじゃまま at 2010年11月19日 11:34
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