目の前で容疑者を死なせてしまった、一度のミスで出世コースから外れた男、黒田岳彦。
検問中の暴走する車に夫を撥ねられ、未亡人となりながらも生まれた村で警官を続ける女、小倉日菜子。
容疑者を張り込むため訪れた田舎の村、それは手柄を見込めない捜査であった。そこで二人は出会う。
夫のいない田舎の村で、出世を絶たれた東京で、なにかを諦めながら生きていた二人が、いくつかの事件を通じて、反発し合いながらも、興味を持ち、近づいていく。
短編連作集で、またかよ?っていうくらい日菜子の生まれ育った村の関係者が容疑者になったり、関係者だったりして、そのたびに岳彦が村に訪れ、二人の距離は近くなっていく。
二人がその後どうなっていくのか、十分に予感させる終わり方で、なんだか大人じゃ〜〜ん、な余韻が残る。
個人的には、「夢の中の黄金」が好き。いわゆる孤独死で、たまたま発見が早かったけど、たった一人で暮らしている孤独な老人。森下浩吉が、かつて事情あって入籍はできなかった女性の連れ子を、可愛がっていたのに・・・。彼を襲う晩年の無念さを思うと、苦しい。
だからこその展開ですけれどね。^^;
ラストはまさに大人の終わり方で、好印象でした。
ラスト、いい感じでしたよね。
そして、柴田さんの小説は、男性側に、より想われることが多いな〜って。女としては嬉しいですが。
柴田さんの作品は、過去に確か一冊しか読んだことがなく、縁遠い作家さんだったんだすが、これを読んだらちょっといいかも♪と思ってしまいました。
最近、ガツンとやられる作家さんにめぐり合えなくてですねぇ・・
私は柴田さんって好きなんですけど、意外とB級っぽいのが好きで「炎都」とか「ゼロ」とか、妖怪や怪奇系が好きなんですよね。(笑)
あ、「桃色〜」がお好きなら、「ラストレース」や「少女たちがいた街」なんてのもグッドでしたよ!
私もガツンって最近ないですね〜。