「君たちに明日はない」シリーズ第3弾。
今回も、真介は色っぽいアシスタント川田美代子を従え、リストラ業に励む。
仕事ではビシッと決めてるのに、恋人陽子の前ではチャラ男になって、そのギャップがなんとも。
陽子とは一作目の出会いからではあるけど、私は三作目にしてようやく、この物語が、真介のリストラ業の話ではなく、様々な職種の人間模様の物語であるということに、今さらながら気付いた。
いやいや、前作の「借金取りの王子」から結構感動モノに仕上がっていたし、リストラされた人々が、なにを思い、どんな決断をして、再生していくのか。
その先導をしていくのが真介。
「ビューティフル・ドリーマー」 非常に印象の薄い物語だった。高学歴で、スキルも高い女性。人も羨む会社にいながらもなぜか長続きしない。いつも、自分の居場所を探しているような、どこにいてもどこか遠くを見ているような女性。
「やどかりの人生」 旅行代理店で、自分の能力を出し切らない男がいた。読んでる時は非常に面白かったのに、いざ終わってみると、思い出せない。
「みんなの力」 自動車ディーラーで、メカの腕はピカイチ。顧客の信頼も篤い宅間。
だがここでも人員削減のため、誰かが辞めなければならない。これはもう車好きの垣根氏の、入魂の作品って感じで、車の話が熱い熱い。
私は、ディーラー泣かせの、走ってくれればそれでいいっていう熱のこもってない客だけど、こればかりは仕方ないもんね。
ドライブは好きだけど、詳しいことはさっぱり。
車好きの者たちの物語。みんなで、一人の男の再生を後押しする。
「張り込み姫」 出版社の写真雑誌。文芸誌が売りだった会社に出来た写真雑誌部門。発行部数が落ち込み、廃刊が決まる。当然、人員は整理される。元々文芸誌志望だった恵は、上司の計らいで会社に残れることになったが、粘り強く続けていた仕事の中に、なにかを掴みとった恵の選んだ道は・・・。
正直、どれも印象薄かったかな。より一層、再生の人間物語の色が濃くなってきたので、陽子の存在いらないかも。
問題はここかもしれませんね。
真介のリストラ請負人ぶりも板についてきたし、リストラされる側の物語が充実してくるにつれ、読者も「陽子と真介」で気持ちを切り替える必要がなくなってきたのかも。
でも、いろんな職業の人たちの悲喜がおもしろく描かれていると思いました。
そうなんですよね。真介がナビゲーターで、される側の物語が中心になってる感じで、逆に陽子が出てくると、あれ?ってペース崩れちゃうんですよ。
一作目は、真介と陽子の進展がよかったんですけどね。
花さんへ
そこなんですよね。いろいろな職業の、それぞれの人生模様が楽しくなってしまって、陽子の存在が逆にペース崩してるような。
ただどれも薄味でした。特に前半の2編は、なんだったっけ?って。(爆)
じゃじゃままさんのレビューを読んで
そうだ、そんな話だった!って思うんだけど
面接した相手がどういう決断をしたんだったかは
あんまり覚えてない(って言うか全然かも…)
「みんなの力」だけはちゃんと覚えています。
私も読み終えてまだ数日なのに忘れてます。(爆)
大体みなさん辞めていくんですけど、その決断理由ってなんだっけ??って。
「みんなの力」は垣根さん個人の思い入れがありすぎて、超印象的!!