2010年11月21日

おにいちゃんのハナビ 小路幸也著。

≪★★☆≫

病気の妹のために、中三の夏、突如友人や彼女と別れ、新潟県に引っ越すことになった須藤太郎。馴染めず、友人も作らず過ごした高校生時代。
やっと妹の喘息がよくなったと思ったら、今度は白血病。どうしてこんなに神様は意地悪なんだ。なんのための我慢だったんだ。
太郎は、外との繋がりを絶ち、引きこもった。
そんな太郎の姿に、妹の華は責任を感じ、持ち前の明るさで、強引に太郎を引っ張り出していく。
彼らが住む町には、「片貝まつり」という2万発もの花火を打ち上げる祭りがある。
打ち上げられる花火には、その町に住む人々のそれぞれの想いが込められている。

華は、太郎に、「花火が見たい」と言う。そのために、同級生で作られる会に入って欲しいと。
二十歳の記念に打ち上げられる花火に、太郎も加わって欲しいと、頼む。

躊躇する太郎だが、華のために、一度は背を向けた同級生たちに頭を下げる。

映画化されたものを小説化にしたもので、大変読みやすく、ああ、映画ならこんな演出なんだろうな、などと想像しながら読んだ。
実話なので、もちろん、涙、涙、なんだけど、複雑な人間関係などなく、みんなが実は善人で、読みやすい小説、見やすい映画、といったところでしょうか。

太郎が、物分りのいい兄で、引越しにも、すべてが華のためであっても文句も言わず、耐えてきたのに、一度爆発するところが、私は好きだな。
病気の妹のために、両親はすべてを変えた。住むところも仕事も、なにもかも。それには、どうしても兄の犠牲があった。
それを分かっていながらも、どうすることもできなかった事情。

「俺のためになにかしれくれたことあったのか」

これはごもっともだと思う。兄として、健康な家族として言ってはいけないとずっと言わなかった一言。
でも言えてよかったと私は思った。



posted by じゃじゃまま at 23:01| 神奈川 ☔| Comment(2) | TrackBack(1) | 小路幸也 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

お兄ちゃん、つまづいたのは良かったですよね。
ずっと「いい子」でなんていられるわけないんです。

映画、泣かせる映画なんでしょうね…
Posted by なな at 2010年11月22日 18:30
ななさんへ
遅くなってすみません。
読みながら、シーンが思い浮かびます。(観てないけど)

みんなほどよく善人で、ああ、日本の映画っぽいな〜って思いました。
Posted by じゃじゃまま at 2010年11月29日 11:32
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「おにいちゃんのハナビ」小路幸也
Excerpt: JUGEMテーマ:読書 小さい頃から病弱だった華が療養先から自宅に戻ると、兄・太郎は引きこもりになっていた。「すべては、わたしのせい?」。責任を感じ、兄を立ち直らせようとする華。その前向きな姿に..
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Tracked: 2010-11-22 18:31
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