2011年01月12日

竜が最後に帰る場所 恒川光太郎著。

≪★★★★≫

恒川ワールドですね。
「風を放つ」 昔バイト先で知り合った男性の、その知り合いだった女性。彼女は不思議な瓶を持っているという。その中にはつむじ風が入っていて、呪った相手を殺せるという。
会うあてもないまま約束をし、そのまま忘れようとしていた存在。あの瓶の中のつむじ風は本当だろうか。

「迷走のオルネラ」 弱き者に暴力を振るう者たちから、弱者を救い、悪の存在を排除するために存在する。救うべき者たちを探すため、町から町へと旅をするグラスゴースト。
母親の愛人に虐待され、その愛人に母親を殺された少年。大人になった彼が向かった先は・・・。

「夜行の冬」 冬の夜。気配を感じ、音を聞いた夜は決して外に出てはいけない。夜行様が歩く晩は、決して・・・。祖母から聞かされていた話だったが、彼はある晩、出てしまった。夜行様の行列に加わった彼は、二度と同じ場所へは戻れぬ旅に出てしまった。

「鸚鵡幻想曲」 アサノと名乗る青年は、擬装集合体を解放する。目の前にあるポスト、携帯、それらは何物かの集まりでしかなかった。自分の買ったピアノが擬装集合体であると言われた宏はアサノを受け入れるが、実はアサノが解放したかったのはピアノではなかった。宏自身だったのだ。解放された宏は最後どうなるのか。

「ゴロンド」 池の中で生を受けたゴロンドが、やがて大きな竜になり、時をいくつも越えて種族の望みである「帰る場所」へと向かう壮大な物語。

「風を放つ」は弱いし「迷走のオルネラ」もいまいち好きになれなかったけど、あとの3編は恒川氏らしい。特に「夜行の冬」は、異空間を旅するなんて、まさしくそのまんま恒川ワールドでしょう。
ふと足を踏み入れた場所、景色も同じなのに、空気がかすかに違う。そんなふっとした違和感を書かせたら、恒川氏は最高です。
「鸚鵡幻想曲」も、宏が実は鸚鵡の集合体だったなんて。途方もない不安感も、愛する女性のために再集合するのも、こういうハッピーエンドって珍しいのでは?
「ゴロンド」も好きですね〜。池の中で目覚め、自分は何者なのか分からないまま手探り状態で生き残っていくサバイバル感。古来物語の壮大さを感じた。



posted by じゃじゃまま at 15:11| 神奈川 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
遅くなりましたが、今年も大いによろしくです(笑)

凄くこの作品を楽しまれたみたいですね。
こういうホラーっぽいものって、読むときの心理状態にも左右されますよね!
私は、いまいち乗り切れてなかったんじゃないかと、自分の感想を読んで思いました・・
Posted by ゆう at 2011年01月13日 09:51
ゆうさんへ
本当、よろしく〜です。(^^)
確かに心理状態ってありますよね!ストレス溜まってるときは面白い作品も面白く感じなかったり、テンション高いときは、結構どんな作品でも受け入れちゃったり。(爆)

鸚鵡の話、今思い出してもゾクゾクしちゃうんですよ〜。アサノの豹変ぶり・・・。結構好きかも。
Posted by じゃじゃまま at 2011年01月16日 16:54
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竜が最後に帰る場所 恒川光太郎
Excerpt: 現実の世界から幻想の世界への見事な繫がりを、人間ではない生き物に姿を変えて描きだすライトホラー五編。 一、二話目は、結末の詰めが甘い気がしたが、他の編は、現実から幻想の世界へと彷徨いこむ..
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Tracked: 2011-01-13 09:52
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