2006年05月22日

愚行録 貫井徳朗著。

一家殺人事件。数年前に起きた世田谷の事件を思い出したけど、話はまったく別物。
セレブな奥様と、エリート社員。可愛い息子と娘。幸せな4人家族が何者かに惨殺された。
ルポライターのインタビューと共に、徐々に殺された夫婦の人柄や過去が明らかになっていくんだけど、それにはかなり興味を引かれた。

一見優しくて人付き合いのうまそうな妻が、同じ習い事だった近所の主婦の口から、最初はいい印象だったのに、だんだんと実はお嬢様なのを鼻にかけた嫌な人?でもこれは悪口じゃないんですよ、ただそう感じただけで、もちろん彼女は悪気もなく、気にしてないと思います、って風にうまくまとめられてて、それが大学時代の話になると、計算ずくのしたたかな女に仕上がってる。

私は個人的に、慶応大学の内部生と外部のお話が面白くて、このままずっと妻の大学時代の話だけでいいや〜って思ってしまうほど気に入ってしまった。実はここに犯人への足がかりがあったんだけど。

夫も、いい人だったのに、だんだんときな臭いエピソードが明らかに。
かなり粘着質で嫌な奴じゃん。
女性と割り切って付き合っていた大学時代と、社会人になってからの失敗談は、どう見ても同一人物とは思えないけど、ライバルを左遷させる辺りが本性かな。

で、最後までこの夫婦の出会いは語られなかったんだけど、もう一押し!そこまでどうせなら書ききって欲しかった。

そう、話自体は興味深かったんだけど、でも非常に気分悪いんです。

子供まで巻き込まれて、しかも犯人はそいつ??ルポライターにも途中から勘繰るものはあったんだけど、文中に兄妹の話が挟まれてて、いつこの話が繋がるのかと思ってたら、そういうこと!みたいな。

なんか余計だったかな、この部分。もちろん犯人がいなくちゃ納得はいかないけど、あの兄妹の話と、この事件の話は、繋がりが遠くて、急に来た!って感じがする。
しかも、そういう理由じゃ、本当に気分悪い!

被害者の夫婦は、インタビューではだんだんと化けの皮が剥がされるって感じだったけど、それでも嫌な感じじゃないの。嫌な奴、とは思うけど、それって誰しもが持ってる欠点だと思う。だから殺されなくちゃいけないってことはまったくなくて、結局そういう理由かよ!って、最近、子供が巻き込まれる事件が実際多いだけに、田向夫妻の過去は面白かったけど、ちょっとああいう事件は勘弁って、暗くなります。

posted by じゃじゃまま at 21:52| Comment(4) | TrackBack(5) | 貫井徳郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
世田谷の事件、思い出しますよね。

そうだ、夫婦の出会いはかかれていなかったですね。この二人のどこに接点があって、どこに惹かれあったのか見てみたかった気がします。

Posted by なな at 2006年05月25日 22:17
そうなんですよね、二人の接点、いつ出てくるのかなって思ってたのに・・・。
計算ずく妻と、利用夫は、お互いのどこに?って気になります。
利用夫って、学生時代と社会人ではキャラ少し違いませんか?
Posted by じゃじゃまま at 2006年05月28日 07:14
TBコメントありがとうございました。
インタビューの記録だけで、話の全体像を見せていく手法は、すごいなあと思いました。
慶応大学の内部生と外部の話し、おもしろかったです。ほんとうにありそうですね。
Posted by at 2006年11月05日 16:11
ありそうです!!貫井さんって確か早稲田じゃなかったですか?だから早慶繋がりで、かなり本当のことじゃないかと・・・内部生、外部生って。
あそこまでではないですけど、附属って絶対内部は外部を差別してる、って確かに聞いたことあります。(身近に経験者有り)(笑)
Posted by じゃじゃまま at 2006年11月05日 21:06
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