2011年01月30日

ポトスライムの舟 津村記久子著。

≪★★★≫

前の職場でいろいろあったアラ・サーの女性、ナガセが、工場と大学時代の友人のお店と、カルチャースクールでパソコンの講師と、仕事を掛け持ちしながら、自分の工場での一年間の収入と、職場に貼られていた世界一周のクルージングの旅費が同額であることに気付き、ふと友人のヨシカに「これって重いの?軽いの?」と問う。

「軽くはないと思う」。それがヨシカの答え。

淡々と日々を過ごし、3つも仕事掛け持ちして、すごく大きな変化や出来事もないけど、でもどこか心打たれる。
ヨシカのお店を手伝いながら、同じく大学時代の友人が離婚のために子連れでナガセの家に居候したり、ママ友や姑の愚痴ばかり専業主婦の友人とヨシカがうまくいってなかったりと、そんなに大きな事件ではないけど、でもその淡々さが、実はすごい生命力だなって思う。

途中、ポトスライムという植物がよく出てくるけど、その葉っぱをどうやって食べようかと思い悩むナガセのパワーも、そういうことに自分の時間を費やすのって、結構私もあるかも。
そういうなんでもないようなことを描き出した小説。

私はあんまり、女性の日常を淡々と描いた小説って読まないから、どこがどういいとかよく分からないけど、ある意味新鮮だった。
少なくとも、仕事を毎日続けるってことだって、普通のことのように書いてたけど、実はすごくパワーのいることなんだよね。

同時収録の「十二月の窓辺」
高卒ばかりの社員がいる職場に、大卒の主人公が、同僚や上司に苛め抜かれて、辞める勇気さえ持てずに、でもようやく、世界は自分が思っているよりも広いんだ、ってことに気付く物語。
正直、どんより、イライラした、この主人公。
もちろんうまく立ち回れないからこそ苛められるんだろうけど、すべてを責任転嫁してる気がして。
でもそのくせ、こういう人もいるんだから、頑張ろうって気にもなる。




posted by じゃじゃまま at 17:29| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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