2011年03月25日

往復書簡 湊かなえ著。

≪★★★☆≫

手紙がやり取りされるうちに、ある真実が浮かび上がってくる三つの物語。
「十年後の卒業文集」 高校時代、放送部だった同級生が結婚した。式の後、出席した元同級生たちに手紙を出す悦子。それは、新郎である浩一と、かつて付き合っていた千秋の行方であり、高校時代浩一に片思いを続けていた静香への疑念、千秋が行方不明となるきっかけとなった事故への真相を浮かび上がらせるものであった。

正直、なんで手紙なんだ、と。電話でいいじゃん、と思ったけど、電話できない事情がちゃんとあったんですね。高校時代の放送部、7人の本音が見え隠れし、それはまた覗き見趣味的で面白かったけど、でもちょっと無理ないかな。別人にはなれないと思うんだけどな〜。

「二十年後の宿題」 定年退職し、病気のため長期入院を余儀なくされているかつての恩師竹沢に頼まれ、大場は、竹沢の元教え子六人に会いに行く。
竹沢には、教え子たちとハイキングに行き、教え子が川に流され助けるために、夫を失っていたという過去があったのだ。その時の教え子たちが幸せに暮らしているか、それが知りたいという。
それぞれの元教え子たちから語られる事故の側面。感じ方捉え方は一つではない。

だけど、竹沢から頼まれた本当の意味は、実はそんなことではなかった。
もちろん元教え子たちが事故を引きずっていなければいい、幸せなのか知りたい、それもあったと思う。でもそれ以上に、ある生徒に幸せになってもらうために、竹沢は行動を起こしたのだ。

「十五年後の補習」 湊氏お得意の、あることを語らせながら、もう一つの真実を浮かび上がらせていく手法は健在。でありながら、「二十年後の宿題」に引き続き、ちょっとハッピーエンドになるところが、嬉しい誤算というところか。
恋人が二年間、治安の悪い国へ国際ボランティアとして参加することになった。離れ離れになった二人が、手紙でしか連絡を取り合えず、そこで語られる二人の思い。
同級生であった二人の、中学時代にあった暴力行為、火災事故、自殺。それらの真実、万里子の抱えていたトラウマ。

なにが飛び出してくるのかドキドキしながらも、悲しい結末になるのかと不安なったが、もしかして、と希望を見出せるラストがよかった。
この物語の純一は好きだな。

posted by じゃじゃまま at 17:48| 神奈川 ☀| Comment(3) | TrackBack(2) | その他 ま行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
湊さんといえば後味の悪いラストって印象がありますが
今回はハッピーな終わり方でほのぼのしました。
「十五年後…」の順一はいいです!
Posted by なな at 2011年03月28日 13:47
この方の作品がいい感じに終わってしまうと、なんで?と違和感を感じてしまうのは先入観がありすぎるからでしょうか?

でも、そのほうが後味はいいですよねぇ(笑)
Posted by ゆう at 2011年03月29日 19:21
ななさんへ
順一よかったですね!!!そればかり印象に残ってます。どうします?実は最後の人影は見間違い、目の錯覚のつもりで書いた、なんて湊さん発言したら。(爆)
嫌ですね!あそこはハッピーでないと!

ゆうさんへ
一瞬、あれ?誰の本だっけ?って湊さんを忘れてしまいましたよ、最後の話は。
でもたまにはこんな終わり方もいいですね。
大体が「卒業文集」みたいな展開ですもんね。
Posted by じゃじゃまま at 2011年04月01日 22:36
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