2011年04月22日

六月の輝き 乾ルカ著。

≪★★★≫

二人の少女は、あの夏の日の事件をきっかけに、大事な絆を見失っていく。
あんなことさえなければ・・・。あんな力さえなければ・・・。

同じ日に生まれ、家も隣同士。生まれたときから大事な友だちで、繋いでいた手。
その手を失った、あの夏の日。
美耶の左手には不思議な能力があった。病気を治す奇跡の娘として一躍時の人となったのだ。
不思議な能力がありながら、助けられなかった美奈子の父。美奈子はそれを恨み、美耶はそれを静かに受け止めた。

大事な大事な友だちなのに。一度失われた絆に、ずっと胸を痛めていた美奈子の母の章には号泣した。
そして、美耶の不思議な能力は、病気を治すものではなく、ただ時間を戻すだけだった。
美耶が最後の力を振り絞って戻した時間。
美耶の優しい心と、変わってしまった美奈子と、美耶も美奈子も大事に思う美奈子の母の想いに、まさかこんなに泣くなんて。

乾氏の「プロメテウスの涙」も輪廻という不思議な現象の物語で、その奥底に流れる乾氏のテーマというのだろうか、この作家さんの持つ小説の根幹を「六月の輝き」でも感じた。
ミステリのようでいて、それだけじゃない、人間への想いというものが、乾氏にはある。

意外にもいつも泣いてしまう。

posted by じゃじゃまま at 21:56| 神奈川 ☁| Comment(3) | TrackBack(1) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。

色々な人の視点で語られる美奈子と美耶の姿。
美耶の視点の物語はなかったですが、どんな気持ちだったんでしょうね。
Posted by なな at 2011年04月25日 09:19
切なくて・・・この本友だちと約束していたお店で読んでたんですけど、号泣してしまいました。
あのお母さんの病院にいる章。
乾さん、注目ですね。

Posted by じゃじゃまま at 2011年05月01日 17:52
そりゃ「人情味ある長の器」を持ち合わせてますから。

と、乾氏を論評しているサイトもありました。
http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm

他人と同じ生き方は似合わず、孤軍奮闘。
自己犠牲の危険好きで津波のような威力の持ち主・・・。

ただ、いままではこれで良かったみたいですけど、
いつまでも生地を離れないようでは才能を磨いてきても
それまで、らしい。

なんにしてもがんばってもらいたいもんです。

>人間への想い
を感じていたいですしね。
Posted by ひろひろ at 2011年07月31日 21:42
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「六月の輝き」乾ルカ
Excerpt: JUGEMテーマ:読書 もどりたい。いちばん美しい季節の光あふれる世界へ。幼なじみの美奈子と美耶。11歳の夏、美耶の「ある能力」がふたりの「特別」な関係に深い影を落とす…純粋な想いが奇跡をよぶ、..
Weblog: ナナメモ
Tracked: 2011-04-25 09:17
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