2006年08月16日

栄光なき凱旋 真保裕一著。

すごい量感。お店に入って、並のランチ頼んだつもりが、デカ盛専門のお店だった、っていう感じ??
もうこれ以上はお腹いっぱい、食べきれませんっていうくらいの内容。

それはさておき、この物語は、アメリカに住む日系人から見た第二次世界大戦で、アメリカの視点によって日本が書かれるのかな?と思っていた。
でもやはり日本の作家がアメリカの視点に立てるのかな?と感じる部分もあったけど、読み終えてみて、そう、これは単純にどっちから見た戦争という話ではなく、日本人の血を確かに持つアメリカに住むアメリカ人の物語。

あのパールハーバー攻撃以来どのような扱いを受けていたのか。
日本人からは「裏切り者。同じ顔しているのに」と言われ、祖国アメリカからは「ジャップ」と憎まれ、彼らは自分たちの居場所や存在を認めてもらうために血にまみれて戦った。
祖国アメリカのために、親の故郷である日本から来た兵士たちを殺し、仲間であると信じた白人兵士を助けるために、彼らは戦った。

とまあ、そんな物語だけど、ただの歴史小説ではない。
リトルトーキョーに住む、母に捨てられ一人で生きているジローと、恋人のケイト。そして、ジローの幼なじみでもありケイトの婚約者でもある前途有望なヘンリー。そしてハワイに住む、白人の恋人を持つマット。
ジローの母のスキャンダルを嗅ぎまわりジローによって殺されるポール。
パールハーバー攻撃によって、彼らの運命は悲劇へと向かう。ポールの事件は小さな悲劇の始まりにすぎなかった。
でもその小さな悲劇が、すべてを繋がらせる。

これだけでも真保氏なら充分に書けたストーリーが、戦争を背景に、そして彼らがどのように変わっていったのかを描くために、戦場のシーンは不可欠で、それらを軸に入れることにより、さらなるボリュームを持たせ、かなりの力作になった。

読んでいるうちに、自分でも分からなくなってきた。最初に真珠湾に攻撃を仕掛けた日本を憎むべきなのか?日系人部隊を捨て駒にしたアメリカが憎いのか。今まで自分でも想像したことのなかった視点で、この時期、戦争を考えさせられる作品に出会えた。

ジロー、ヘンリー、マットの生きた道筋は、日系人として生まれ、戦争を経験した彼らにふさわしい、切ないものだったけど。

栄光なき凱旋 上栄光なき凱旋 上
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[タイトル] 栄光なき凱旋 上
[著者] 真保 裕一
[種類] 単行本
[発売日] 2006-04-17
[出版社] 小学館

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posted by じゃじゃまま at 15:42| Comment(0) | TrackBack(1) | 真保裕一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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