2011年10月26日

地のはてから 乃南アサ著。

≪★★★☆≫

夫に服従しなければならなかった時代。耐えながらも過酷な時代を生き抜いた女性の物語。

夫の夢物語に振り回され、挙句、幼い直一ととわを抱え北海道開拓団の一員として、故郷を夜逃げ同然で捨てたつね、作四郎夫婦。
想像以上に自然の厳しい北海道で、開拓など思いのままにいかない地を諦め去っていく家族が増える。
元々根を詰めて働くことなどできない作四郎が、酒と女に溺れ、そのまま帰らぬ人となった。
子供二人抱え、それでもここで生きていくしかないつね。

新たに嫁いだ栗林家には先妻の子供が三人。そこに加わった直一ととわ。
つねに、「我慢しなさい」と言われたとわは新しい家族に耐える。
養父が火事で死に、とわは幼いながらも奉公に出ることになる。そこは栗林の家よりははるかに住みやすく、毎日忙しく働きながら、とわは成長していく。

心に決めた人がいながらも、親の決めた相手と結婚するとわ。夫の松二郎は真面目だが、向上心がない。
そして戦争が起こり、とわの家族や実家の人生を狂わしていく。

戦争が起こっても、とわたちの生活は営まれていく。そうして生きていかなければならない。
なんと運命とは非情なものなのか。人生とは思い描いたようにはいかず、思わぬことも起こる。その中で生きるための最善の道を、知恵を絞って頭をこらして考え掴み取っていかなくてはいけない。

でもそれさえも、自分では選べないことも多々ある。
大正、昭和と、男たちに従いながらも、強く逞しい女の物語であった。

つね、とわ母娘は、夫運がないのか。それともみんなああいうものなのか。
どうしようもない男でも、威張り散らしていられた時代、とわやつねたちにとっては災難だよね。

作四郎にはイライラしっぱなし。いつの時代にもいるんだね、ああいうろくでなしが。
松二郎も、がっかりだったけど、もしやとわの心が別にあることを察していたのなら彼も憐れだけどね。
とわの小樽の奉公時代の話は好きだったな。

男に苦労した女たちの二代記ってとこ?
開拓にもっともっとページを割いてたら、鬱々としちゃって辛かったかも。移民の辛さを描きつつ、時代を生き抜く女たちの物語だったので、決してハッピーエンドとかそういう話ではないけど、よしっ!って決意のできる本だった。

なにに決意するかはそれぞれだけど。







posted by じゃじゃまま at 11:05| 神奈川 ☀| Comment(5) | TrackBack(1) | 乃南アサ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これでもか、というくらい次々と不幸の波が押し寄せてきて、救いはないのか、と思ってしまうほどでした。
唯一小樽時代がとわの安らげるひとときでした。
逞しさは見習いたいけれど、あの時代に生きていなくてよかったと心から思います。
Posted by ふらっと at 2011年10月26日 14:02
ふらっとさんへ
見習いたいと思いつつ、結局普段は忘れちゃってるんですけどね。(^^ゞ
過酷な時代だけど、みんながみんな必死だった時代なので、それなりに頑張りましたよ、きっと私たちだって。(苦笑)
Posted by じゃじゃまま at 2011年11月04日 10:09
親に従い・夫に従い・子を守り ただただ生き抜いてゆく! 時代背景も場所も違うけれど、わが母の生き方に通じる感じで切なく読みました。
現在認知初期で我が家で同居となりましたが、いかに子供たちに迷惑にならずに過ごすかが母の課題のように見受けられます。苦労苦労でここまで来たんだもの、これからラクしたってバチ当たらないと思うんだ!!
『ニサッタ、ニサッタ』までの『とわのその後』も書いて欲しいと、出来れば少しでも希望あり・幸せであって欲しいと願う!!・・・う〜んやっぱり厳しいかな? 
もう一個だけ『三吉〜!』イイ感じのまま終わらせてやって欲しかった!!!
Posted by 河童 at 2013年06月25日 18:25
発売当初図書館で予約して読んだ本です。
北海道に住んでいるので、冬になると厳しい寒さの中での開拓者の苦労が思い出されます。

ホント現在でも冬の外は「シバレル〜」のに・・・(家の中は道外以上に暖かいデス)
この当時なら、想像を絶する寒さでしょう。

なぜ、私の祖先はここに来たのか?
この小説を読んでから「私にもこの開拓民の血が流れているのだ」
強く生きるぞーと毎冬思います。

ただ、先住民族のアイヌの方々に対する描写はちと厳しいかな〜?
私は尊敬の念を持っていますので・・・・

しかし、読み応えは十分。力をくれる本でした。




Posted by しらかば at 2014年09月21日 16:40
しらかばさんへ
遅くなりました。
未開の地を開拓するのは、本当に困難だったことと思います。想像を絶する苦労だったことは察することはできても、きっとそれ以上のことだったんでしょうね。

奉公先で嫌な女の子いませんでしたか?それをほんの数日前、なんの関連もなしにふっと思い出してたんですね。今日、しらかばさんのコメント気付いて、ああ、この小説に出てた子かも!!!って。
なにかの知らせだったのかしら。

決してハッピーな物語ではないのに、忘れてませんね。

Posted by じゃじゃまま at 2014年10月08日 09:47
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Tracked: 2011-10-26 14:03
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