2012年02月12日

それでも彼女は歩きつづける 大島真寿美著。

≪★★★≫

映画監督である柚木真喜子が海外の映画祭で賞を取った。その柚木真喜子と様々な形で関わった女性たちのそれぞれの視点の物語。

かつて柚木と激しくぶつかり合った共同製作者の志保。
柚木真喜子の恋人であった男性を好きになり、柚木の友人である先輩に後押しされ粘り勝ちで勝者になったさつき。
地元のラジオ局から姉の受賞のインタビューを受ける妹。
そのラジオ局へ柚木の受賞を知らせたり実家に花を贈る近所の女性と、その女性に好意を寄せている柚木の兄。
柚木にのぼせ上がっている所属プロダクションの御曹司と、それを内心ヤキモキしている女社長。
かつて柚木の映画に出演し、そのまま柚木の映画のとりこになってしまった元女優の十和。

どれも肝心の柚木は、彼女たちの思い出の中や、出てもほんの一部分しかない。
どうやらあまり柚木は好かれてはないらしい、それなのに誰もが柚木を気にしていたり、認めていたり、不思議な存在である。
それぞれの視点から描かれる柚木は、嫌な女なのか、計算高い女なのか、いろいろ想像が膨らむ。
志保の章では、すごくきついのかと思ったし、さつきの章では、さつきの先輩で柚木の友人でもある女性が、柚木の恋人をさつきに奪わせるという、やはり柚木は同性には嫌われる性質なのか。
近所の女性や十和は、柚木の才能や人柄にほれ込んでいるし、中心人物が不在の中で、柚木の人間性をさまざまな角度から見せてくれる。

プロダクション「パイン」の女社長の、柚木を毛嫌いしながらも、柚木の魅力に呑まれ抗いきれずに認めてしまうところが、柚木の柚木たる所以なのかな〜と。

正直、分かりやすそうで、実はあまり分からない物語であった。
でもタイトルがセンスがいいと思った。そう、なんだかんだ思われながらも、柚木は歩きつづけるんだな。




posted by じゃじゃまま at 15:18| 神奈川 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>分かりやすそうで、実はあまり分からない物語

このひと言に尽きるかもしれませんね。
柚木真喜子のことを解らせようとしているとは到底思えないし。
でもそれだからこそ生身の人間っぽくもあるような。
周りがどう思おうと、どう見えようと、自分の道を歩くのは自分だということなのでしょうか。
Posted by ふらっと at 2012年02月12日 17:08
ふらっとさんへ
私たちが生活してるところって、案外こんな感じかもしれないですよね。
自分という人間を、様々な人がそれぞれの見方で感じて・・・その多面性こそが柚木真喜子なのかなと。

どう思われようとわが道を行く柚木を思わせるタイトル格好いいな。
Posted by じゃじゃまま at 2012年02月17日 21:41
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