2012年03月10日

てふてふ荘へようこそ 乾ルカ著。

≪★★★★☆≫

<てふてふ荘>へ入居すると、変わった同居人もついて来る!?
就職もできないまま大学を卒業し、仕送りも止められた高橋。安い家賃に惹かれて入居を決めた<てふてふ荘>で大家から写真を見せられる。ライダースーツの男性と、美少年と可愛い女性。
迷わず女性を選んだ高橋だったが・・・。

<1号室> 翌朝目覚めると、写真で見た女性が高橋の目の前に座っていた。仰天する高橋だけど、目の前の女性は、恋人に殺されていた女性の幽霊だった。そして、高橋にもずっと胸に秘めていた秘密があった。
高橋とさやかの恋を応援している自分がいた。

<2号室> スーパーの鮮魚売り場で契約社員で働いている美月が好意を寄せたのは幹部候補生の新人社員だった。美月が自分を見失い周囲に哂われているのが辛かった。
そして美月の同居人の遠藤との擬似親子には、号泣。
泣けて泣けて仕方なかった。遠藤がいなくなった時、寂しくて、喜ばなくてはいけないんだけど、ずっとずっと2号室にいて欲しかった。

<3号室> 詐欺で前科のある長久保と、番組の収録中の事故で死んでしまった売れないタレント石黒。このコンビもすごくよかった。それなりに出所してから頑張ってきた長久保だけど、世間の風は冷たくて折れそうになったとき、石黒と口論になる。そして資格を取った長久保が再度面接に挑んだ姿に真の更生と成長を感じて、温かいコンビに感動した。
感動の後には寂しい別れが待ってるんだけどね。

<4号室> 平原は病気になり<てふてふ荘>を出ることになった元住人。一家無理心中の犠牲となった美少年薫に恋をして、追い出されてしまったと思い込んでいる平原。病気を治し、もう一度<てふてふ荘>にやって来て、それが誤解だったと知る。薫は平原に病気を治し、もう一度この部屋に戻ってきて欲しかったのだ。そして触れて欲しかった。そうしてから成仏したかったのだ。
平原に生きて夢を叶えて欲しいと願う薫の気持ちが真っ直ぐ。

<5号室> 5号室には槇という地縛霊が住んでいる。そこに槇の妹が兄の供養のためにその部屋に仮住まいすることになった。が、真由美には<てふてふ荘>の幽霊たちが見えない。そして大家も、真由美には見えないのだ。ということは、大家さんも!?
見えないけど、存在を感じ触れ合った時、槇は成仏した。

<6号室> 米倉と同居する小学生の幽霊翔太。二人の仲は険悪だった。思い返すと、翔太が米倉を憎しみ出したのは米倉の右手首を見た日からだった。翔太の死因と米倉は無関係ではなかった。
翔太がずっと昔米倉の手首を掴んだエピソードは、その後の二人の関係を知ると悲しくて寂しい。

<集会室> 大家さん自身も幽霊で、どうしたら成仏できるのかは言ってはいけない決まりらしい。住人みんなで知恵を出し合い、なんとかして大家さんを成仏させてあげようと試みる。

<てふてふ荘>に住んでいるのは、どこかなにかを抱えている人たちばかりで、そんな彼らが幽霊たちを救い、そして自分自身も救われているというハートウォーミングで感動ものだった。
感動ものだったのに、大家さんのエピソードが薄かったのと、どうして彼らが選ばれたのか、ビリヤード台の方角と彼らの死亡場所、その辺の繋がりがもっと明確だったらもっともっとよかったのにな。

でも乾氏は、好きな作家にランクイン。


posted by じゃじゃまま at 22:55| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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