2012年09月21日

こいわすれ 畠中恵著。

《★★★》


江戸は神田の町名主の跡取り、麻之助、同じく町名主の清十郎と同心見習い、吉五郎。幼馴染みの三人が支配町で起こるさまざまな問題を鮮やかに解決するシリーズ第三弾。

「おさかなばなし」・・・ 本所の堀川沿いにある“置いてけ堀”に河童が出るという。子供が行方知れずになったり、お金を取られたりと、噂がまことしやかに流れ出た。
麻之助の幼馴染みの清十郎も落ちたという。真相を聞き出そうとする麻之助たちになにやら隠し事がある様子。
そこへ、子供が行方知れずになったという七国屋が泣きつき・・・事の真相とは、切ないものであった。

「お江戸の一番」・・・ 『世神髄相撲見立番付』なる酔狂なものが流行りだした。勝手に番付をつけて楽しむものが、狂歌師と画家が一緒になったものだから、一騒動起きた。どっちが本当の一番かを決めるために麻之助に持ち込まれた。お互いの本音は、侍と吉原の意地の張り合いでもあったのだ。
麻之助は、互いの催し物で木戸銭を稼ぎ、それで優劣をつけるという提案をした。
互いに茶屋の看板娘を狙い、引かぬ闘いが繰り広げられたが、最後は皮肉なオチがついた。

「御身の名は」・・・ 麻之助に何度も文が届けられた。会いに行くが何度もすっぽかされ、いったい全体なんの目的なのか。
身重の妻、お寿ずが体調を崩し、幼馴染みのお高に連れられ、実家から家に戻っていた。麻之助は、文が来るが会えない相手と、お寿ずが体調を崩したことがなんとなく気にかかる。
やがて見えてきた真実は、幼馴染みの嫉妬であった。

「おとこだて」・・・ 女をだまして金子を取る男がいるという。濡れ衣をかけられた貞たちがなりすました男を捕らえるため江戸の町を走る。
実はこの噂、離縁がなかなか出来ない、いろいろな事情の絡んだある妻女が、夫と離縁するために弟たちと仕組んだ計画だった。
この噂を利用して、またもやお高の悪意が幸せのお寿ずに向かう。

「鬼神のお告げ」・・・ 江戸の人々の楽しみ、富くじをお告げで当てた男がいた。
本当に虫のお告げだったのか。お告げを利用して、ある殺人を企てる者がいたら・・・。
企てを阻止するため麻之助は走った。この事件に関わったせいで、麻之助はお寿ずとの子の別れに立ち会えなかった。そして、もっと悲しい別れが麻之助を待っていた。

まさかお寿ずが死ぬなんて・・・。そうだった、吉五郎はお寿ずが好きだったんだっけ。

「こいわすれ」・・・ 暦のせいで破談になった娘を、たまたま居合わせた場所で助けた麻之助。原因となった暦を探す娘と麻之助たち。
自力で失恋から立ち直った娘と、悲しみから目を逸らしつづけていた麻之助。麻之助がこんなにもお寿ずを好きだったなんて。
それが安心でもあり、少し寂しい。
お由有をずっと想い続けていて欲しい気がして。

このシリーズは、是非まだまだ先が読みたい。
麻之助とお由有のことが気にかかる。



posted by じゃじゃまま at 17:46| 神奈川 ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>お由有をずっと想い続けていて欲しい気がして。

あぁ、これはよくわかります。
読者の我がままと思いつつ、そして、麻之助にとっては辛いことだとわかりつつ、それでも、ですよね。

あとを惹くシリーズですね。
Posted by ふらっと at 2012年09月21日 18:43
ふらっとさんへ
畠中さんはどうしたいんでしょうかね。
私は、麻之助とお由有に期待しちゃってますけど。(苦笑)
じれったいままずっと続くんでしょうか。
Posted by じゃじゃまま at 2012年09月22日 00:28
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