2012年12月14日

花宴 あさのあつこ著。

《★★★》


代々、藩の勘定奉行を務める西野家の一人娘紀江は、祝言の後もかつての想い人を忘れることができなかった。うしろめたさに苦しみながらも、慎ましい暮らしを送っていた彼女だが、ある朝、夫から思いもよらない事実を告げられて・・・。妻となり、子をなしても、かつての婚約者の面影を追い求める紀江。すれ違う二人に訪れるのは・・・。夫婦の悲哀を描ききった、感涙の時代小説。(「BOOK」データベースより)

切なかったな〜。
紀江が母の形見の簪を落としてしまい、思わずその場にいた武士に声をかけてしまった。
女が男に物を探させるために膝をつかせるとは、その失態に気付いた紀江だったが、いち早く膝をつき雪でぬかるんだ土に指を入れ探してくれた武士がいた。
その武士に続き、みなが探してくれた。
「ようございましたな」探し出してくれた武士の名は三和という。その眼差し、声が忘れられない。
その三和が紀江の婚約者として再び現れた。喜び、幸せに包まれる紀江だが、三和の兄が殺され、そのあだ討ちのために破談となる。
ずっと互いが忘れられない。後に紀江の婿として父が名を挙げたのは新佐衛門。物静かな男で、欲や諍いを好まず、なぜ父がこの男を選んだのか、三和を思い続ける紀江には物足りなさと不満があったに違いない。

そんなすれ違う夫婦が、切ない。
最初は、互いを想いながらも結ばれない三和と紀江が切なかったけど、紀江が夜三和の名前を呟いちゃったり、妻に自分以外の想い人がいることを知りながらも紀江を想う新佐衛門に徐々に切なさが募った。

新佐衛門は最初からきっと紀江が好きだった。紀江が三和の方を向いていたとしても。
それでも静かにそっと想い続けていたんだろうなと思うと、なんと男らしい。
父が殺され、その裏に陰謀が隠されていることを知り、紀江は初めて、父がこの男を娘の夫として最大に信頼していたことに気付く。
そして、昔、母の形見の簪をいち早く探すために膝をついた武士こそが新佐衛門だということを思い出す。
皮肉にも夫の優しさ、強さを知ったとき、三和との対決が待っていた。

こんなに切ないラストだとは。思わず泣いちゃった。泣くとは思ってなかったけど、泣いた。

posted by じゃじゃまま at 18:55| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | あさのあつこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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