2013年03月21日

シャトゥーン ヒグマの森 増田俊也著。

《★★★★☆》


怖かった〜。
いや、その前に、ずいぶん前になるけどテレビ「アンビリバボー」でヒグマに襲われた実録再現ドラマやっていて、何の気なしに見始めてものすごい衝撃を受けたんだよね。
で、あまりの衝撃に怖くて怖くて、怖いもの見たさで検索したら、この小説に出会ったわけだ。
本の解説に、夢枕獏氏が「怖い怖い」と連呼するので、先に解説を読んでしまった私は暗示にかかってしまったわけだ。
うん、確かにそれもある。

でもそもそも怖いのだ。ヒグマの食害事件は。

前置きが長くなったけど、この物語は実話だった「アンビリバボー」の再現ドラマとはまったく関係のない物語。
北海道大学の研究者たちが集まる研究所の小屋に、手負いのヒグマが襲ってくる!!!!!!

その日、北大出身者の薫と娘の美々、後輩記者の瀬戸が、新年を仲間たちと過ごそうと北海道天塩研究林に向かうと、ヒグマに襲われたらしき死体を発見してしまう。
急いで研究林にある小屋に向かうと、そこには研究者である弟、昭と、同じく学者のバーヤネン、その婚約者であり薫のファンである眞伊子、怪しげ男、西がいた。

西が仲間と共に密猟中にヒグマと遭遇し、ヒグマの怒りを買ったらしい。

このヒグマ、ギンコと名づけられ小熊のときは薫たちが世話をしたこともあったらしいが、元は野生動物。
昭は感情移入しないし、甘い感傷も持たない。薫はギンコに昔の記憶が残っているならば、と期待するが、期待は粉々に砕かれ、仲間が一人また一人とギンコの犠牲になっていく。

なにが怖いって、ヒグマは人間以上に執念深く、狙った獲物は逃がさないし、諦めない。
残忍で、自分に歯向かってきた人間は必ず仕留める。猟師が撃ち損じると、必ず仕返しにやってきて、顔を集中的に攻撃し、殺す。
だからヒグマと敵対したら、絶対に撃ち損じてはならない、らしい。

人のものだろうが、一度自分のものと思ったら、すさまじい所有欲を持ち、昭和45年には、学生たちのリュックを漁り、学生たちに邪魔をされると、三日間で一人ずつ食い殺したという。
そもそもそのリュックは学生たちのものなのに、ヒグマが怒った理由は、そのリュックを奪い返されたから、というなんとも自分勝手、熊勝手な理由。

そういえば、再現ドラマの事件では、ヒグマの犠牲になった人の通夜の最中、襲いかかり柩の中の遺体を奪っていったという。これも自分の餌を奪い返しに来た、ということらしく、なんともすさまじい執念。

だから本当に怖くて、この物語でもギンコなんて古めかしい名前で呼ばれちゃってるけど、全然似合わないし、人間のように家を襲って入ってくるから、なんなの?動物のくせに単純さがなく、人間みたいに脳みそフル回転で考えてるところがすごい怖い。

この物語の怖さは、そこに留まらず、襲われてる人たちの側からも書かれてて、できればそこは見ている側から読むだけにとどめたかったのに、想像しただけで痛いし、私は心底熊が嫌いになった。

ラストは戦い抜いた薫と美々がかろうじて生き残るけど、救助隊が来るまで見届けたかった。
本当に助かったのかな〜。二人とも重傷ですが・・・。

そんじょそこらのサスペンス映画作るより、これ映画化した方が怖いと思う。

執念深いギンコに、思い切り挑戦状叩きつけて、手負いにさせて、急いで逃げて空港から東京に逃げたら、それでも追ってくるかな?
命がけの鬼ごっこ、ちょっとしてみたい。





posted by じゃじゃまま at 22:19| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | その他 ま行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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