2007年03月28日

ぼくの手はきみのために 市川拓司著。

≪★★★≫

ああ、そうだよね〜。市川作品は、愛する者が病に冒され、優しさに満ちたファンタジー、私の中ではそういう位置付けなんだよね。
幼なじみのひろと聡美。聡美が原因不明の病に冒されても、ずっと二人はそばにいる。でもそのうちひろの世界も広がり始め、聡美が急に姿を消す。でもひろの、その手は誰のためのもの?

そして、私が一番好きなのは「透明な軌道」。他人との関わりが苦手な心を持つ康生とその息子の充生。真帆は彼らの心を理解し、康生と恋に落ちる。すごく優しく美しい愛。私は康生がいっぺんで好きになり、そんな康生を理解し大事にする真帆も大好き。二人を襲うある出来事の後で、充生の存在も、本当に素晴らしい。充生の真っ直ぐで一途な想いも、涙が出てしまった。
なのに、やはりここでも病が襲うのね!
私は真帆と充生に限りなく優しい時間が流れることを本当に願う。

「黄昏の谷」はこの三編の中で一番映像化して欲しいかも。そうだな〜、「透明な軌道」が江國さんの「きらきらひかる」みたいな不思議な感覚をもたらす感じの映画になるとしたら、「黄昏の谷」はどこか懐かしい、マイナーだけど竹中直人監督の「119」や緒方直人主演の「東京兄妹」だっけか?あんな感じの昭和の香りがぷんぷんしそうな映画に仕上がりそうな気がする。
私は、寛一が長屋で共に暮らす隣人と、縁側で飲みながら語ってるシーンが、すごく懐かしくて切なくて悲しくなった。


posted by じゃじゃまま at 19:05| Comment(6) | TrackBack(5) | 市川拓司 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あの長屋みたいなところで育ちたかったなぁ〜と思ったりした私です。人と人がふれあいながら生きていくって、大事なことですよね。昨今忘れられがちですけど…。
Posted by chiekoa at 2007年03月29日 12:29
あの長屋は私もいいな〜と思いました。小さい頃長屋があって、そこに住む子や近所の子が目の前の道路で遊ぶんですよ、上の子、その妹弟入り混じって。
その光景を思い出して、夕焼けを連想して、はたまた母親を思い出して・・・と限りなく昭和を連想させるお話でした。
Posted by じゃじゃまま at 2007年03月29日 17:33
はじめまして。
chiekoaさんのサイトからうかがいました。
こころ温まる短編集でしたね。
「黄昏の谷」は、人と人のつながりがいい濃さを持っていた、昭和の雰囲気が良く伝わってきました。
そして、映画「ALWAYS三丁目の夕日」を思い出したりしました。

トラバさせていただきました。
コメントやトラバ返しなどいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
Posted by 藍色 at 2007年03月30日 03:03
ありがとうございます。
そうですね、私も三丁目の夕日を思い起こしたんですけど、もっともっとマイナーで静かな昭和の方が似合うかな〜と思って。
「透明な軌道」の真帆と充生に幸せな時間をずっとあげたいですね。
Posted by じゃじゃまま at 2007年03月30日 14:48
じゃじゃままさん、おはようございます。

>やさしさに満ちたファンタジー
まさにぴったりの言葉ですね。
主人公を取り巻く人たちがのんびりと暮らしているのが素敵でした。

病気だったり人とちょっと違う生き方をしている人をちゃんと理解して寄り添う人がいるんだって事。誰かを好きになるって事はそういうところも含めてなんだなって思ったりしました。
Posted by なな at 2007年04月01日 07:37
ななさんへ
ちゃんと理解して寄り添ってくれる人がいて、どのお話も、幸せなんですよね。
本当はもっと切実なはずなのに、市川さんのお話は、のんびりと暮らしている姿が見えますね。
Posted by じゃじゃまま at 2007年04月01日 08:42
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