2013年09月11日

残り全部バケーション 伊坂幸太郎著。

《★★★》


伊坂氏らしい、どこかとどこかが繋がってる物語。
安心したな〜、ああ、いつもの伊坂氏だと思って。
溝口と岡田、悪いことを毒島さんから請け負って、コツコツちまちまとちょっとしたことをやって人を困らせて、報酬をもらっている。
こんな人たちが、いろんなところでいろんな人たちと絡み合って、それぞれの物語は進んでいく。

「残り全部バケーション」
父親の浮気が原因で家族離散の早坂家。そんなときに「お友達になりませんか」なんて怪しいメールが届き、なんだかこざっぱりしたお母さんが「面白そうね」なんていって、みんなでその誘いに出かけちゃう。
それは人々を困らせる仕事から足を洗いたい岡田に、「友達ができたら」という条件を出した溝口のアイデアだった。
で、なんだか毒島さんを怒らせた溝口は、それを全部岡田のせいにして、奇妙なドライブの最中に毒島さんの手下に岡田は連れて行かれてしまった・・・。
岡田君は無事なんだろうか。

伊坂氏のことだから、全然悪くない岡田がどうこうなっちゃうわけないよね。

「タキオン作戦」 
またもや人を困らせる仕事をしていた溝口と岡田は、たまたま公園で父親から虐待されている少年を発見する。
どうにか耐えて、生き残れ、なんて言う溝口と、脅迫してる人を使って小細工をちりばめ、奇想天外な方法で少年を救おうとする岡田。
実は頭いいんじゃないかなって思ってしまう、岡田。人相悪くて、チンピラにしか見えないような岡田だけど、実は心は正義で溢れてたりして。

「検問」
女性を誘拐してある場所に連れて行く依頼を受けた溝口。岡田の後釜で太田と組んでいる溝口だけど、議員が襲われたっていうんで検問にひっかかり、誘拐した女性を後部座席に乗せたまま警察官と会話する。馬鹿なんだか実は鋭いのか。
盗んだ車のトランクにはなぜか大金が入っていて、あれこれ推測し合ってるんだけど、不倫の末に誘拐された女性と、襲われた議員、溝口に舞い込んでいた二つの依頼と、女性の秘密。
ちょっとややこしかったけど、あらゆる事情が交錯しあっていて、奇跡だよね、こんな巡り合わせって。

だけど、あの検問時のおまわりさん、真相は分からないな〜。

「小さな兵隊」 
そういえば岡田が言ってたっけね。自分の友達のお父さんにスパイがいたって。
思わぬところでいろんな出会いがあるもんだ。岡田の少年時代、やっぱり岡田って馬鹿じゃないんだ。見た目が悪いだけで。
父親がスパイだと信じている友達と、担任の先生の悪口を書いた犯人を突き止めるためにデパートの屋上に行くと、そこで岡田は運命的な出会いをしていた。
やがて先生に付きまとっている男との対決、友達の父親の正体、(スパイなんかじゃないってのは、友達が知らない女性に話しかけられた時点で、これって浮気相手っぽくね?なんて思ってたんで)窮地を救ってくれた本当の恩人(恐らく話しぶりから溝口であろうとは思ってたよ)、なるほどね〜の連続。

だからやっぱり岡田はなんでもできちゃうのかも。

「飛べても8分」
またもや溝口の相棒替わってた。
いい加減な奴なのに、どうしてこう毒島さんから可愛がられるのかいまいち分からないけど。
頭の悪そうな奴なのに、会話のセンスはちょっといい感じ。
ドタバタ演劇を見ているようで、玉突き事故のように出来事がどんどんと進んでいく。依頼された仕事をちまちまとこなしているときに、運悪く太股を轢かれてしまった溝口。
毒島さんの知り合いの病院に運ばれると、そこに毒島さんを狙っている奴も侵入してきて。

溝口は岡田のこと好きだったんだな〜。自分のせいで毒島さんに消されてしまったと、罪悪感から行動を起こすんだけど、毒島さんも馬鹿じゃないんだから、岡田は悪くないって知ってると思うんだよね。

で、ブログの正体で意見が分かれてるらしいんだけど、私は岡田生存説なので、岡田じゃないの?って期待してるんだけど。っていうか、岡田、生きてるよね。

連れ去られた車の中の会話が想像できちゃうし。結構おちゃめな会話をする岡田にユーモアを感じるのは、私の勝手か。それともそもそも伊坂氏だからね、会話を製造してるのは。
きっと毒島さんの言った通りなんだと思うよ。

伊坂氏の作風からいってもそっちがしっくりくるし。いや、最近作風変えました、これからはワイルドに、残酷にいきますっていうなら話は別だけど。

ただ、なぜゆえに毒島さんが溝口を許したのか分からない。
できれば岡田の生存の伏線もっと欲しかったな。あ、早坂家ももっと見たかった。



posted by じゃじゃまま at 11:48| 神奈川 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ほんとうに、伊坂作品は、とんでもないところでとんでもない人や出来事が繋がっていて、憶えている人だけがお得感を味わえる感じですよね。
わたしは結構忘れてしまっていることが多いので、気づかずに読み流しているところがたくさんありそうです。^^;
岡田って、自覚も他人からの評価もないけれど、結構できる男なのかも、とちょっぴり思ったりもします。
Posted by ふらっと at 2013年09月11日 16:45
ふらっとさんへ
そのお得感をまったく味わえてない私ですよ、とほほ。
でもサキちゃんは、第一章の、あの早坂家のですか?

結構あの二人、いいコンビっていうか、あの後(毒島さんに解放されて?)いい友達になってたかもしれないですよね。
Posted by じゃじゃまま at 2013年09月13日 22:08
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