私はミステリやサスペンスというよりも、人間ドラマを見た気がした。
演奏は一流半と言われてるヴァイオリニスト。どんな素晴らしい音を奏でるヴァイオリンでも、それが日本の楽器である限り認めない。
それはまるで、ブランド品にこだわる日本人女性みたい、と。
でもヒロインの瑞恵は、もっとレベルが高いけど。古いものでないと、そして海外のものでないと、望む音は出ない、と頑なに信じている。
音楽のことはさっぱりだけど、なんとなくブランド品にこだわる女性の感覚にちょっと似てるのかな、と思ったり。
そんな瑞恵が、ある罠にはまっていく。
素晴らしい音が出るんだから、それでいいじゃん!と、瑞恵のその頑なさに嫌気がさして、最初は窮地に陥ってスカッとした気分もあったけど、物語が終わる頃は、その頑なさは、瑞恵の音楽へのプライドの高さなんだ、なんだかんだと言いながらもヴァイオリンを愛してるんだな、と理解を示しちゃうようになる。
一人の女性の転落と再生の物語。
ちょっと前にのだめちゃんがブームになっていたおかげで、音大というものがさほど遠くに感じなかったのもタイミングかな。