2013年12月19日

笑うハーレキン 道尾秀介著。

《★★★》


すべてを失った男、東口。子供を失い、妻も出て行き、ホームレス仲間とスクラップ置き場で暮らしている。
仕事は家具の修理屋。そして、彼には常につきまとっているモノがいる。
「疫病神」いつも突然現れ、東口の心に問いかける。

ある日、東口に弟子入りしたいという女性が現れ、押しかけ弟子として居着いてしまう。
ジジタキさん、チュウさん、トキコさん夫婦、モクさん、そして押しかけ弟子の奈々恵。

ホームレスの生活をしていながらも、心のどこかで自分はそこまでじゃない、彼らとは違う、これは違う自分の生活だ、とそう思っていたい東口の気持ちがなぜだか分り、苦しかった。
暖かい部屋と温かい食事、柔らかい布団、お風呂に入り、そんな生活しか知らなくて、だけど、人生どこで足を踏み外したり、転げ落ちるか分からなくて、その一線を想像すると怖くなる。

物語は、モクさんが飼っていた犬が毒殺され、やっと大きく動いたかと思ったら、まだだった。
ジジタキさんの自殺、東口の妻を奪った男の前での自殺未遂、ここでようやくって感じだったよ。

道尾氏らしく、徐々に剥がされる東口の過去。実は仕事に忙殺されて、妻や子供を顧みなかったこと。子供の事故死と妻の不貞。
奈々恵の秘密。ふと見せる本当の素顔。ハーレキンって道化師のことだったのか。
しかも道化師に涙のマーク入れるとピエロ。道化師とピエロの違いなんて知らなくて、ピエロの日本語が道化師くらいに思ってた。

辛い過去を背負いながら、今の生活は仮、本当の自分は他にいる、ってそう思いたくて、仮面をかぶっているようなもの。合点のいったタイトルだった。

東口に舞い込んだ大口の仕事。これがとんでもなくやばいものだった。いや、奈々恵さえいなければ生きて戻れるはずだった。
拉致同然で連れて行かれたある邸宅で、舞台劇のようにゾロゾロとチュウさん、トキコさん、モクさん、奈々恵までついてきての大仕事。
絶対ヤクザの親分で、奈々恵の親が警察官僚ってことが明らかになってしまい、生きて戻してくれるはずが、殺されることに!!!
盗み聞きしてしまったからさあ大変!!

どうやってこの屋敷から出るか。絶対ばれるって。道尾小説だから、なにかどんでん返しはあるだろうとは思ってたけど、やはり親分の手下のスカがいい味出してた。

東口の作業を手伝いながら、東口とスカには見えない絆が生まれてたもんね。間一髪で逃げ出した5人。
ドキドキしちゃって、本当に興奮した。
終盤に盛り上がったね。

結局スクラップ置き場からは追い出されて、どっかに小屋を建てたらしいけど、あの親分からもらったお金でアパート暮らしすればいいのに、って心から思った。
いつか東口家具店を、モクさん、チュウさん、トキコさん、そして奈々恵でできればいい。

一人の男の再生物語として読んで欲しかったのか、私にはあの親分の屋敷からの脱出劇が妙に印象的で再生物語より、最後の最後でアドベンチャーになってしまった。

posted by じゃじゃまま at 23:51| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 道尾秀介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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