2014年02月20日

金色機械 恒川光太郎著。

《★★★》

江戸時代、そこは鬼御殿とも極楽園とも呼ばれ、女を攫っては食い物にしてきた。どこにあるか分からない山奥、隠れ里。そして、そこにいる、月から来たという金色の異形のもの、金色様。
長い長い年月をかけた、金色様と極楽園の物語。

時は少し遡り、戦国時代。月から来たという金色の異形のものを守る幽禅家がいた。
やがて今川家に迫られ、隠れ里の幽禅家は滅びた。そして、幽禅家の生き残りのちよが新たな金色様の主となり、幽禅家の名残は極楽園という新たな形の礎を作り、時代は戦国から江戸・徳川へと変わって行った。

何百年経とうとも、金色様は主と共にいる。いつか月からの迎えが来るまで・・・。
私の中では、金色様は映画【スター・ウォーズ】のあのロボットなんだけどね。
様々な人々が、極楽園に関わり、その人生が交錯していく。
不思議な力を持った者たちも登場して、途中、恒川氏が作者であることを忘れてしまうくらい、新しい感じがした。

その手で人を死へと導ける遥香。人の殺気が見える熊吾朗。

一見なんの関わりもなさそうな二人だけど、遥香の母は、昔熊吾朗と共に極楽園に住み、脱走した紅葉。だが後に、幼い遥香を胸に抱きながら、殺される。
遥香は、母を殺した仇を討つために金色様の最後の主となり、恐らく母を襲った一味であろう柴本厳信の元へ転がり込む。
厳信は、遥香が近づいてきた真意に気付きながらも遥香と夫婦になる。

遥香の母、紅葉が殺された遠因には、実は極楽園内部の抗争があった。極楽園を乗っ取るために部下の夜隼が頭領を殺害したのだ。当時、金色様の主は、その頭領一族。(そうだ、頭領一族は、その昔幽禅家の人々だもんね)
つい、極楽園がならず者の集まりで、殺しや盗み、少女を攫っては女郎にしていたもんで、、あのよい血筋の幽禅家の面影もなく、うっかり忘れちゃうとこなんだけど。
だから金色様は、極楽園にいたんだもんね。

で、頭領暗殺の手先として使われたのが、紅葉の夫の善彦。
山の噴火で紅葉たちは流民となり、頭領を殺された極楽園の報復と、幼き頃の厳信と仲間たちが遊び心で流民斬りを行ったことが重なり、実は紅葉は同じ村人仲間に殺されていたのだ。

元は女郎だった紅葉が村に加わったことによって、災いが起きたに違いないというほぼ八つ当たりの理由で。

ついでに言えば、遥香の父を殺したのは金色様。金色様の当時の主は、極楽園の頭領だった剛毅の息子、正嗣。正嗣が父の仇を取ろうと善彦に近づき、逆に殺されてしまう。主を殺された金色様は当然、善彦を殺す。
主を失っていた金色様は、やがて遥香と出会い、遥香が最後の主となるんだよね。

ああ、書いておかないと、ややこしい。

そして、話を戻して紅葉のこと。紅葉は、実は厳信たちにではなく、村人っていうか流民仲間に殺された真実は、万能に近い金色様も聞こえなかったとみえて、遥香も厳信も知らない。厳信に至ってはあまりの懺悔のせいか、流民斬りの記憶がなくなっている。
互いに真実を誤解したままだけど、夫婦となった月日は二人を信頼でつなぐ夫婦へと変えていった。
いつか母の仇を討つと決めていながら、厳信は母を殺していない、と確信を持つ遥香。

そんなある日、貸し本屋の双子の娘が攫われたと聞いて、厳信は、今まで藩が、二度極楽園捜索に乗り出しながら見つけることのできなかった難題に、三度目の捜索を開始する。攫った娘を返してもらうために、そのために行っただけなのに、かつて頭領を裏切った夜隼たちに殺されてしまう。
遥香は夫の行方を捜すために、熊吾朗に近づき、極楽園に金色様と乗り込んだ遥香は、極楽園をとうとう壊滅させる。

夫の死の真相を知った時、遥香からほとばしった殺気。この殺気を目の当たりした熊吾朗は、もはや極楽園を見捨て里に下りた。

よくよく考えると、金色様とはなんだったんだろう。極楽園とは結局、なんだったんだろう。
月から来た金色様。その金色様を守るために幽禅家がいて、生き延びたちよが極楽園を作った。
極楽園は、ちっとも極楽じゃなくて、女を食い物にする悪党どもの集まり。その悪党の祖先が幽禅家っていうのもなんだかな〜、だけど、そもそも生き延びたちよってのが、空恐ろしい子供だったもんね。

結局この物語は、なにをどう言いたかったんだろう。
月からの迎えが永遠に来ない金色様の、孤独な運命の話・・・だったんだろうか。





posted by じゃじゃまま at 23:06| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。