2014年08月26日

メグル 乾ルカ著。

《★★★》

「あなたはこれよ。断らないでね」奇妙な迫力を持つ大学学生部の女性職員から半ば強要され、仕方なく指定されたアルバイト先に足を運んだ大学生たち。そのアルバイトは、彼らに何をもたらすのか?五人の若者を通して描かれるのは、さまざまな感情を揺り動かす人間ドラマと小さな奇蹟の物語。小説の楽しみを存分に詰め込んだ愛すべき傑作、鮮やかに登場。 (「BOOK」データベースより)

お通夜で遺体と添い寝して手を握るバイトや、犬に餌を与えるだけで一日一万円もらえるバイト。
雇い主が作った料理を食べるだけのバイトや、大学病院の売店の入れ替え作業だったり、庭作業だったり。
それぞれが、それぞれに必要なものばかり。「アタエル」だけは、あれだけ女性職員の悠木さんから阻止されて、「後悔しないでね」と言われたバイト。
そして、後悔する羽目になった。

大学病院の売店のバイトは、厳格だった父親が倒れ、思うように体を動かせなくなった苛立ちを母親にぶつけ、その逆らえないストレスを娘である飯島さんにぶつける。そんな家から逃げるようにバイトを探した。そそして悠木さんから言われたバイトで、飯島さんは気付く。
病気は本人も看病する家族も辛い、それでも母親は少しでも父に喜んでもらおうとアイスケースをかき回し、やつれた指から指輪が抜けた。
その失くした指輪をバイトで見つけた飯島さん。病気と闘う両親の姿を見て、飯島さんは少し強くなったかな、優しくなれたかな。

「タベル」バイトは、吐いた記憶から食べることを避けていた青年と、病気で食べることができなくなった雇い主。満足させたい、という願いを、青年のトラウマが邪魔をする。
青年の友人が「たった一度の体調の悪かっただけのことで、食べないなんてもったいない」。そして雇い主には「みんなで食べる食事は、どんなものでもおいしい」と提案し、3人で食事をする。
青年と雇い主の願いが成就したハッピーな物語。

毎年、冬の始まりの一日だけ戻って来る女性。毎年、毎年繰り返される庭作業。
そこには、思いだけが残る。
時はまためぐる。

posted by じゃじゃまま at 18:08| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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