2015年03月23日

ヤモリ、カエル、シジミチョウ 江國香織著。

《★★★☆》

江國ワールドだ。
幼稚園児の拓人は人よりも言葉が遅いけど、虫やヤモリと話ができる。
姉の育実はそれを知っている。
彼ら独特の世界と、愛人の家からたまに戻って来る夫を待ち続ける母親の奈緒。
彼らが通うピアノ教室の先生とその両親。
彼らが遊びに行く霊園の管理人、拓人の周囲の人々のゆっくりとめぐる時間、なんとも優しげで残酷な物語。

拓人の世界はひらがなで、読みにくいという人もいるけれど、なかなか優しい時間だった。
ヤモリと会話する拓人の世界は、透明で優しい風が吹いてるよう。
小説に出てくる人物の中で唯一現実的だったのは、姉の育実だけだったように感じる。

夫を待ち続ける奈緒は、いつまでも女で怖いし、婚約者が中心のピアノの先生の恋する乙女にも辟易。
江國氏の描く女性ってこういう人多いよね。決して共感できないっていうか。
夫の恋人の真雪も、夫も、奈緒も、三人とも厚かましい感じで、誰も好きになれない。

ピアノの先生のお母さんもかつて不倫していた相手をうっとりと思っていて、だけど、実際9年間不倫してたのは私にはできないけど、心の中にいるのは、まあ、理解できる。

拓人の次にこのお母さんが理解の範疇。

ああ、あと霊園の管理人さんね。彼は拓人が見えない会話をすることを察したけど、拓人を理解できる人って心に寂しさを抱えてる人なのかな。
複雑な毎日さえも、さらりと日常が流れていくのは江國ワールドの特徴だよね。

結構長編だったけど、難なく読めた。

奈緒と夫、愛人には幸せになって欲しくない気もするけど、江國氏と幸せな家族像を語り合ったら絶対平行線になりそうな気がする。


posted by じゃじゃまま at 16:28| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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