2015年04月19日

栄繕かるかや怪異譚 小野不由美著。

《★★★★》

家や庭、井戸、なにかの想いを残して亡くなった者たちが、なにかを伝えたくて・・・ホラーだったね。
どことなく人の悲しみや無念さが溢れて来て、涙がにじんでしまう。
その想いを受け止めてあげる栄繕かるかやの尾端の連作集。

夜、なぜか思い出して怖くなるから、絶対に思い出しちゃ駄目なんだよね。

「奥庭より」 ・・・ 叔母の死後、家を引き継いだ祥子。その家には箪笥でふさがれた開かずの間がある。
誰もいないのに、閉めたはずの襖が開き・・・人の顔や手が・・・。
その昔、その座敷に閉じこめられ、放置され亡くなった女性。その女性を見たくなくて座敷を封じようとすればするほど、部屋から出たがり徘徊する。
尾端は、ならばその部屋から出られるように窓を開け、水を置いてあげましょう、と提案する。
水を欲したまま亡くなった女性の想いを受け入れたのだ。

「屋根裏に」 ・・・ 舅や夫に苦労させられた母親がやっとこれから安心できると思った矢先、屋根裏を歩き回る足音に怯え始める。
息子は家の改修をするが、足音は止まない。そんな時、改修工事をした工務店から、屋根裏に瓦があった、と言われる。その瓦に記憶がよみがえる。その昔、姉が無造作に箱を開け、中から黒いモノが出てきた。その後でした異臭。そしてその土地に伝わる河童の伝説。それらが結びつき、その家には昔、河童の祟りがあって、それを封じ込めるために瓦と箱があったのだ。

「雨の鈴」 ・・・ 喪服の女が歩き回る路地。真っ直ぐにしか進めず、雨の日にしか姿を現さない。
その女が訪ねてくると、その家から死者が出る。家の住人が代替わりし、門の位置を変えたりすると、その女は向きを変え、また次の家を目指して歩き出す。次にやって来るのは有扶子の家だ。
これが一番想像すると、ゾクゾクした。尾端が、ならばその女が路地から抜けられるよう、塀を作り、道を変えましょう、と提案する。

「異形のひと」 ・・・ 父親が祖父の跡を継ぐために田舎に越してきた一家。移り住んだ古家で、長女の真菜香だけが見える老人。勝手に仏間に入り込み供え物を漁ったり、家の中のあらゆるところに隠れている。
いくら母親に訴えても誰も信じてくれない。まるで真菜香が一人おかしくなったかのような扱いだ。
心配した家族は、真菜香の気持ちをほぐそうと古家をリフォームすることにした。そこでやってきた工務店のおじさんから聞いた話。
この家に昔住んでいたおじいさんは、息子とそのお嫁さんたちからいじめられて体を壊して死んでしまった。そのおじいさん、きっと家族から隠れて食べ物を探していたんだろうな、隠れていたのに、お穣ちゃんが見つけちゃうんだろうな、って。
亡くなったおじいさんの想いが泣けた。

「潮満ちの井戸」 ・・・ 祖母から受け継いだ家にある井戸。夫がその横にあった祠を勝手に壊し、庭のリフォームを始めた。
ところが、徐々に枯れ始め、庭全体が病んでいるように見え、嫌な匂いがしたり、人の手のようなものがはいずりまわってるのを目撃した麻里子。そのことは夫に伏せ、業者に相談しようと来てもらうと、井戸を見た途端業者は逃げ帰ってしまった。
後日、栄繕かるかや、尾端がやって来て井戸を埋めることを勧める。

「檻の外」 ・・・ シングルマザーの麻美は、生活のため親戚から格安で家を借りた。ところが車庫のシャッターが突然降りてきたり、エンジンがかからなくなったり、挙句に子供の呼び声が聞こえ、後部座席ににいたりする。生活のために引っ越すこともできない麻美。そこでかつての知り合いに聞いたこの家の悲しい事故。
母親が子供を虐待していて、車に置き去りにしたまま中毒死したという。
余裕のない麻美の姿に、死んでいった子供は自分の母親を重ねたのだろうか。お祓いするために読んだお坊さんが、尾端を紹介してくれて、ガレージに閉じ込められた子供が外に出られるように車庫を変えましょう、死んだ子供が自分で自分を助けられるように、と。

どれも無念さが悲しい。

夜思い出すと怖いけど、よかった。


posted by じゃじゃまま at 16:12| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 小野不由美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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