2015年05月06日

キャロリング 有川浩著。

《★★★★★》

幼い頃からの虐待で心に傷を追っている大和俊介。いつもそんな彼を見守ってくれた西山秀代のもとで働いていたが、主要取引先の連鎖倒産でクリスマスに廃業が決まってしまった。
元恋人の柊子、デザイナーのベンさん、一言多い東大出の朝倉さん。
残された日々を、社長以下四人の社員で向かう、クリスマス倒産までの思いもよらぬ事件の数々。

学童保育部門で預かっている航平が両親の離婚で心を痛めている。お父さんに戻って来て欲しいという願いから、別居中の父親の元へ母に内緒で通いつめていたら、思いもよらぬ誘拐事件に発展して、あちらもこちらもたくさんの別れや思いやりが溢れていて、泣いたりホロリとさせられたり、ページをめくる手と涙の止まらない感動作。

ベタ甘の有川氏なので、そう思って読み始めたら、冒頭からちょっと異変が?
大和が銃を突きつけられていて、絶体絶命の場面。
ところが一転して、物語はその以前からのスタートで。いつ、あの絶体絶命の場面にいくのか、ドキドキしながらも、大和と柊子がお互い好きなのに、どうしても触れて欲しくない、触れられない部分、父親からの虐待を思う時、子供の親への想いに胸が潰されそうだった。
航平は、あの日、お父さんとお母さんが喧嘩した日、自分が寝なければもしかしたら別居なんかしなかったのではないかと自分を責めている。
わたるという物語の少年に、自分の想いを乗せて書き続ける。
大人の事情なのに、子供は、もしあの時、って自分のせいにしてしまうんだな。

赤木ファイナンスの面々も、しょうもない人たちの集まりだったけど、最初から選択肢のない人生だった、という彼らにも、同情はしないけど、ヤクザの世界に身を置きながらもそれでも少しでも水面から顔を出そうとしてる辺り、頑張れ!!と言いたい。

虐待で心に傷を追った大和を、ずっと見守ってくれた秀代と亡き夫。両親の離婚で傷つきながらも受け止めた航平、優しすぎる柊子。
まさか、こんなに号泣するとは思わなかった。

しばらく忘れられない一作になりそうだ。



posted by じゃじゃまま at 15:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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