2015年09月07日

ダブル・フォールト 真保裕一著。

《★★★》

ある意味で予想を裏切られた。
イソ弁である本條務はボスである高階からある殺人事件の弁護を任される。
町工場のヒーロー的存在である事務所は、街金融経営の成瀬を殺害してしまった町工場経営者の戸三田を救うべく、被害者である成瀬の周辺調査を本條に任せる。
ところが、本條は戸三田との接見で疑いを持ち、彼の供述を信じられないまま弁護をスタートさせる。

もちろん読者である私は戸三田を実際に見てないし、真保氏の書く本條視線での情報しか得られないので、正直、本條がどこでどう疑いを持ったのか、共感できないままだった。
被害者の娘である成瀬香菜が父親の過去を探る本條に対して敵意を剥き出しにして妨害をしかけてきても、それに翻弄される本條にイライラさせられ、挙句、香菜に手を貸すに至っては、もう呆れて、この物語は、本條の成長物語なのか・・・サスペンスではないのか、とがっかりしてしまった。

結局、殺された成瀬は悪人に見えてさほど悪人でもなく、加害者の戸三田が普通に悪人、被害者の娘に恋をした本條の弁護士成長物語なのか、と。
事件そのものも別に裏もなく・・・。

と思っていたら、そう裏切られたわけだ。

やっぱり真保氏の作品だった!思わずラストは泣いてしまった。

確かにね、戸三田の弁護から外された本條が、ボスの過去や事件の裏を暴きだして、そこまでの経緯は社会人としてどうかと思ったけど、真実は悲しいものだった。
本当は隠したい真実だったのだろうけど、だけど本條の行動は最終的には正しく、救うべきでない者はそれなりに救われず、救うべき人間は救われたのでは、と思った。

あのままでは上っ面の事件経緯では戸三田の家族は救われないでしょ。加害者なんだけど、でもそこには事情があって、成瀬は被害者なんだけど、悪いことしたわけだから。
もちろん香菜たち身内にとっては、それは聞きたくない知りたくない父親の素行だけど、だからといって殺されていい理由にもならないだろうけど、物語的にはうまくまとまったなと思った。

なんだ、ただの成長物語じゃなかった。ちゃんと裏があった。
そして泣けた。

あの不良娘の香菜のキャラが、冒頭と最後では別人のようだったけど、そこだけがうまくいきすぎてるような気もしたけどね。



posted by じゃじゃまま at 16:28| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 真保裕一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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