2007年10月22日

がらくた 江國香織著。

作中に、柊子が編集者に、「あなたの訳はいつもそっけない」って言われるシーンがあるんだけど、そうだそうだ、これは江國氏自身のことだな〜って。
そっけないというのは、決して否定したセリフではなくて、冷静、無駄がないってことで、江國さんの描く物語には、いつも無駄がないよね。そのわりに生き方は面倒くさいけど。

夫のことが好きで好きで堪らなくて、それを確認するために他の男とも寝てしまう妻柊子。あえて夫の存在を遠くに感じることで、その寂しさも含めてそういう愛し方を好む。
夫も妻以外に恋人が複数存在する。それは決して裏切りではないらしい。なぜなら、原は柊子を愛してるから。
とっても辛辣な柊子の母桐子。旅先で出会った女子高生ミミ。ミミとの交流も桐子はあっという間に自分の生活空間の一部にしてしまう。

とまあ、ややこしいはずの人間関係が、江國ワールドになると、そっけなく無駄がないんだよね。そう、無駄がないんだ。無駄な心理描写に行数を割くこともないし、ミミと原が肉体関係を持っても、無駄がない。
すべてがそうだな。作中に、桐子に頼まれて電球を変えるシーンがあったんだけど、柊子が押入れから脚立を出して、みたいなシーン。日常なら、実に面倒くさい行為なんだけど、江國さんが書くと、なんでもないことのように思えて、家事がすごく楽しそうに思えちゃう。
ジャムを似ることだって、私ならこれもまた時間がかかって面倒くさいと私なら感じるんだけど、江國氏の書く女性は、いとも簡単にそういうことをしてしまってるんだよね。
文章に無駄がないから。でも、結構それが好き。読んでいる間は、私の生活のすべてにも無駄がなかったもん。

無駄はないけど、柊子や原さんの愛し方は面倒くさい。
posted by じゃじゃまま at 22:46| Comment(5) | TrackBack(5) | 江國香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そっけなく無駄がない描写でも、その裏側にあるややこしく面倒くさい部分まで読者には判ってしまうところが江國さんの上手さなのでしょうね。
Posted by ふらっと at 2007年10月23日 06:50
面倒くさい愛し方なのに、登場人物はみんな余裕で愉しんじゃってますよね。
この気力が羨ましい。

最近、愛し方どころか、何もかも面倒臭く感じてしまってる私です。
年のせいでしょうか・・

そういえば、お互いもうすぐですね。Xディ!(爆)
Posted by ゆう at 2007年10月23日 09:54
そっけなく無駄がないように見えても人間関係が濃厚に感じたのは面倒くささが隠れていたためでしょうね。
ちょっと見て見ぬ振りをしたりして。
じゃじゃままさんとゆうさんがもうすぐのXディ?
たぶん、私は月末です。
Posted by 藍色 at 2007年10月23日 17:02
こんばんは。
無駄がない。確かにそうかも!
江国さんの描く物語は温度が低めだなっていつも思います。
面倒くさい愛し方なのになんだか幸せそうでしたよね。
Posted by なな at 2007年10月23日 22:14
ふらっとさんへ
江國さんの書く女性像って、江國さん自身のイメージと重なるんですよね。きっと江國さんも、面倒な生き方をそうとは感じずに、さらりと過ごしてるんだろうな、ってイメージ。(微笑)

ゆうさんへ
そうそう!余裕で楽しんじゃってるんですよね。夫婦で、いつまでも変わらないテンションで盛り上がり続けるって面倒くさっ。(爆)
愛人がいるのに、その寂しさも含めて悦に入る柊子の恋愛観、そんなの私にはありえないっす。(更爆)
そ〜〜ろそろですね。でも私はゆうさんよりも一足先に繰り上が・・・いやぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!(笑)

藍色さんへ
不思議ですよね、あの三人。ミミと原さんの関係に気付いても柊子って取り乱したりしないですよね、ありえない。なのに、江國ワールドでは当たり前の光景ですよね。
Xデイ・・・毎月の、ぢゃなくて年に一度の、で合ってますよね?って私の暴走!?

ななさんへ
ほんと〜。温度低めですね。(拍手)
そうなんですよね、江國さんの夫婦だったり、恋人って非常に面倒くさくてどちらかというと世間的には最低なことしてるのに、すごくお洒落に感じてしまったり、当の本人たちは幸せそうなんですよね〜。愛人いるのに、なんで幸せそうなの?
Posted by じゃじゃまま at 2007年10月25日 21:45
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