2008年01月26日

ナイフ 重松清著。

これ、全然泣けなかったし、多分重松作品の中でも嫌いな本。
「ワニとハブとひょうたん池で」 ゲームのようにいじめが始まった。家族には言えない、心配かけられない、無理して笑うその姿にちょっと泣きそうになったけど。
ハブにされることに怯えるのではなく、こっちの方から願い下げってなるまでの心の成長物語とでもいうんでしょうか。近所の池にワニがいるって噂と絡めて。
くだらないことで無視したり、されたりってそういう子たちにうんざりしてしまった。

「ナイフ」 これ最低ですね。息子がいじめられてて、でも親は気付いても、子どものプライドが黙ってるんだって。母親はなんとかしたいのに、父親はそう言って、現実から目をそらしてる。でも、私は、親なら子どもが苦しい思いしてるなら手を差し伸べたいって思うの当然だと思うんだ。
親がでしゃばるんじゃね〜と言われたって、いけないことはいけない、いじめは許しちゃいけないって動じない、そうやって叱る大人がいないといけないんだと思う。
でも重松作品には、闘う大人はあまり出てこない。静かに時が経つのを待つか、いじめられる方が悟るまで、そんな話ばかりで、だんだん辛くなってきたよ。

「キャッチボール日和」 これも、幼なじみがいじめられて、その父親と息子の物語。このいじめは本当に怒りで血が熱くなった。
どうしてそういう子たちを叱る大人がいないんだろう。どうして我慢する子どもばかりなんだろう。こんな子たちばかりなのか?って思ったら、がっかりして、嫌になってしまった。

「エビスくん」 一番救いのあった話。転校生にいじめられてた男の子。でも二人の間には奇妙な友情があって、クラスメートも、決して知らん顔してるわけではなくて、ここには温かな絆があった。
できれば同窓会で、その後のエビスくんを知りたかったけど。

「ビタースウィート・ホーム」 要するに、妻から仕事を取り上げた夫の後悔録ですかね。私は、基本的にはキャリアウーマンってものは好きじゃないし、子どもの傍には母親がいてあげたいって人なんだけど、この話の、夫がいう「普通の家庭」って言葉には非常に腹が立って。なに、それ。同じように仕事をしてれば、そこには男女の差なんてないのに、女の仕事よりも男の仕事が重要で、やっぱり母親が家にいるのが普通の家庭、っていうのには本当にムカついた。
お前もきちんと育児に向き合え!関われ!ってね。
そうそう、男性の育児ってのは、妻の肩越しの参加なんだよね。
うちは、結構やってくれてるけど、でもやっぱり子どもが病気になれば休むのは私だもんね。
私自身はそれは当たり前とは思ってるけど、この話の夫にはムカついたよ。

そうそう、担任の女教師も、これまた最低でしたね。はいはい、寿退社して子供生んで、将来子どもの担任にいちいち重箱の隅を箸でつつくよにな、そんな親になってくださいよって感じ。
posted by じゃじゃまま at 22:44| Comment(6) | TrackBack(3) | 重松清 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ほんとうに胸が痛かったですね。
いじめって、する方もされる方もかなりなダメージだと思うのに
どうしてなくならないのだろう・・・と情けなくなります。
大好きな親にこそはいじめられていることを知られたくない、という子どもの側の思いもとてもよく解るだけになおさら胸が潰れます。
Posted by ふらっと at 2008年01月27日 09:12
こんにちはー
重松さんってすっごく評判イイでしょう。
でも、わたしの最初の出会いはこの本だったんです。
もう嫌いで嫌いで、特に男の子が公衆の面前でパンツを脱がされてっていう話、たしか「キャッチボール日和」じゃなかったですか?あれがもう、胸が真っ黒になるぐらいダイッ嫌いでした。
主人公の幼馴染が特にムカついて、その心理に大反発したのを覚えてます。
それ以来どの本を読んでも、どこかに「お腹に大きな石がつまり、それをごろごろをすり合わせるような不快感」が付きまとい、超苦手な作家になりました。
じゃじゃままさんは他の本はいいみたいなので、ここまで書いてしまってゴメンなさい(^_^;)
Posted by short at 2008年01月27日 11:50
私も、この作品は全く受付ませんでした。
そして、腹がたってしょうがない作品でもありました。
いじめの醜さを散々描いといて、しれっと終わってる。
しかも、丸く納めてあるような気がしてなりませんでした。
Posted by じゃじゃままさんへ at 2008年01月27日 16:34
すみません(汗)
名前欄に「じゃじゃままさんへ」と書いてしまってます。
いつもお世話になってます「ゆう」でした。
Posted by ゆう at 2008年01月29日 10:16
ふらっとさんへ
そういえば、私も昔クラスメイトにいじめられたとき、絶対親を悲しませたくなくて、すっごく明るく振舞ってました。聞かれると「学校、すっごい楽しい!」なんて答えちゃって。(涙)
でも、当時のいじめって、ここまで悲惨じゃなかったので、この作品の悲惨さ、ついていけません。

shortさんへ
全然構わなくってよ〜〜、ですよ〜。(笑)
重松さんは泣けることが多いので好きですけど、「ナイフ」は駄目駄目、ブッブー(NG)ですよ!私も、公衆の面前で〜のところ、怒りと哀しみで心潰れるくらい読んでて傷つきました。
どうして、親がもっともっと闘わないのだろう、どうして、あんなことを周りの子どもも大人も怒ったりしないんだろう、って絶望しました。
もっともっと怒って闘って、いじめを容認しない、そんな作品書いてもらいたいです。
いじめを今の子風にクールに捉えてるのが、不愉快でしたね〜〜。

ゆうさんへ
うふふ、恐らくゆうさんかな?って思ってたので、よかったです。
重松さんって今の子どもたちをよく分かっていて、だからこんな風にいじめをクールに受け止めてるような書き方するのかもしれないですけど、いつも被害者がいじめられてることに悟りを開いて、過ぎ去るのを待つ内容が多いじゃないですか。
確かに、現実ってそういうことが多いかもしれないですけど、私がこの子たちの親なら、絶対に許しません!

またこんなの読んだら、重松さん嫌いになりそうです。(爆)
Posted by じゃじゃまま at 2008年01月31日 22:11
こんにちは、
やっと読みにこられました。遅くてごめんなさい。
そうかー、嫌いですか。私はこの本が一番胸に残っているんですよ。そうかー。
Posted by musagoro at 2008年02月08日 15:49
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