2008年03月06日

やがて目覚めない朝が来る 大島真寿美著。

大島ワールドの余韻を残しつつ、なんだか寂しいような・・・今までのどこかふわりと嬉しくなるような物語と違って、そう、余韻は残ってるんだけど、少女がちょっと大人になった感じ?
大島ワールドはどこか江國ワールドとも似てるんだけど、やっぱりなにか違う。
蕗さんの話を誰かにしたくなる時がある。蕗さんは私=有加の祖母であり、自分たちを捨てた父のお母さん。そこへ、母と共に転がり込み同居生活が始まる。母と蕗さんもまた、父と出会う前からの知り合いで、嫁姑とは違う。
蕗さんは元有名舞台女優で、母も元モデルと舞台監督の夫妻の娘。蕗さんの周りには、個性豊かな人々が集まる。ミラさん、一松さん、田幡さん、蕗さんの代わりに母親をしてた時期のある事務所の富樫さん。
みんな、有加や有加の母のぶちゃんを大事にし、のぶちゃんの元夫で有加の父で、蕗さんの息子の舟ちゃんも愛してる。

これは彼らの生きた証であり、有加の一部だった時間のお話。
これが、江國ワールドなら、舟ちゃんがどれほどのぶちゃんを愛していたか、それゆえに一緒にはいられなかったことを中心に、二人の愛の物語になったかもしれない。有加とイギリス人の短かった結婚生活を書いたかもしれない。
でも大島ワールドは周囲の人々や家族に焦点を当ててる。
なぜどこか寂しく感じたのか、こんなに魅力のある人々のほとんどが今はもういないことなのかもしれない。
いつか、みんな「やがて目覚めない朝が来る」から。

彼らが今そこにいないこと、胸がシンとする。


posted by じゃじゃまま at 22:54| 神奈川 晴れ| Comment(5) | TrackBack(4) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
大島さん、これが初読みだったので
今までと違った雰囲気だって事が全然わかりませんでした。
タイトル、後から見ると「深いなぁ」と思います。
素敵な物語ですよね。
Posted by なな at 2008年03月07日 19:16
これまでのふわふわではなく、いきなりズシンときましたね。
文芸の仲間入り、と驚いた作品でした。
Posted by しんちゃん at 2008年03月07日 22:52
こんばんは。
ななさんと同じく大島さん、これが初読みでした。
繊細な雰囲気が素敵でした。
江國ワールドとの比較、興味深かったです。
Posted by 藍色 at 2008年03月08日 01:26
タイトルはとてもとても重いのだけれど
それをマイナス要素にしないで
人と人とのプラスのつながりにして描いているので
哀しみや寂しさも、さらさらと流れるような清しさになって
読んでいる間じゅうとても気持ちが好かったです。
Posted by ふらっと at 2008年04月02日 19:11
ふらっとさんへ
この気持ちよさは、大島さんならではですね。でも最近はちょっと寂しくなっちゃう作品が続いてるような気がするので、次は明るく一歩、というのが読みたいです。
Posted by じゃじゃまま at 2008年04月04日 00:01
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