2008年05月27日

花が咲く頃いた君と 豊島ミホ著。

≪★★★≫

装丁はいいですね〜。
多分、豊島氏がいいたかったこと、書きたかったこと、とは違う感じ方をしたと思う。
「サマバケ96」は、女子中学生二人の話。ある時期、男の子よりも、当然親よりも、女友達が大事で、この世界観は誰にも邪魔させたくないってときあるよね。頭のいいユカと、いまどきの子のアンナ。
ちぐはぐな二人だけど、ユカにとってはアンナは誰よりも大事な存在。それは、今、って限定期間だけど。高校に行ったら多分疎遠になるよ、この二人。
でも、本当にそういう時期ってあるんだよね。男の子よりも親友が大事って。
だけど、あっさり裏切られる。アンナにとっては、男の子が一番。
それに振り回されて、寂しくて、怒るユカ。ま、女同士の友情の温度差の話も分かるけど、私は、ユカとアンナがナンパされて、ノリノリカップルだったアンナが駄目になって、ついでだったユカとアキオのプラトニックな、あんまり重要じゃない程度の付き合いがまだ続きそうな、「二学期もよろしく」ってアキオのセリフが、なんか好き。

「コスモスと逃亡者」は、なにをどう感じればいいのでしょうか。
知的障害の女の子の話なのか、決めかねるけど、悲しくなった。たからちゃんにも、お母さんにも。

「椿の葉に雪の積もる音がする」も、切なかった。おじいちゃんの存在が、息子夫婦にあまり快く思われてないような感じがして。
可哀相だよ、おじいちゃん、ってギュッとなってしまった。
そんなおじいちゃんとの別れ。予感があったのかな、おじいちゃんの大事な本を「要らんか」といった夜。
そして、今まで、おじいちゃんを可哀相な存在だと思ってたけど、それが思い過ごしだったのかなと思わせた、棺に椿を入れてあげるところ。よかった、おじいちゃん。嫌われてたんじゃなくて。
タイトルも、なんか、瞼におじいちゃんが浮かんできそうで、雪の積もる音を想像しそうになる。

「僕と桜と五つの春」うまく喋れない「僕」。そんな「僕」が突然恋に落ちた。自分だけの秘密の場所の桜と、その桜と同じ存在に思えた女の子。だけど、彼女の取り巻きにからかわれ、パシリにされ、辛い恋なのに、それでも「僕」は彼女を嫌いにならない。
何度も春が来て、同じ高校に進み、拒絶されても、それでもずっと彼女を想う。
卒業した春休みのある日、恋が終わった。彼女が初めて吉谷君を認めてくれた時、終わった、と思えたんだよね。いや、きっと吉谷君はずっと彼女を好きなんだろうけど、拒絶されてた恋が終わり、成就はしなかったけど、一歩前に進めるね。
吉谷君は、この先きっと頑張れる。地道に地味ながらも、一歩ずつきっと進んでいける、ってなんだか思えた。

でも、ちょっと痛いお話ばかりでしたね。



posted by じゃじゃまま at 22:27| ☁| Comment(6) | TrackBack(3) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
豊島さんの痛い作風がはっきりわかる短編集でした。
「椿の〜」で、おじいちゃん可哀相でしたね。
中学生なんだから、
もっと話せばいいのにって思いました。
Posted by 藍色 at 2008年05月28日 04:07
こんにちは。
アンナの行動は分かるけど理解できませんでした。
男なら何があっても友達付き合いを優先します。たぶん。
こういう男に走る女の子って本当にいそう。
そして、このタイプは同性から嫌われているっぽい印象があります。
Posted by しんちゃん at 2008年05月28日 12:05
装丁いいですよね。
内容は豊島さんらしい「痛さ」満載でした。
「コスモスと逃亡者」はちょっとわかりませんでした。
「椿…」で主人公の女の子が眠れない夜におじいちゃんの布団に潜り込むシーンが好きです。
子どもの頃って夜中に急に怖くなってどうしようもなくなることってあるんですよね。
そんな時にあたたかいおじいちゃんのお布団。
いいなぁって。
Posted by なな at 2008年05月29日 18:07
藍色さんへ
豊島さんデビューが「神田川デイズ」だったので、痛い作風というものに慣れてなくて、この先読み続けるのがちょっと怖いです。(苦笑)

しんちゃんへ
女の子ってある時期は絶対友だちよりも男の子優先の時期ってありますよ〜。でも、まだ時代がこんなに進んでなかった頃、異性と付き合うことが憧れではあったけど、恥ずかしくもあり、そんな時期を思い出して、ユカのアンナ大好き!ってわかるな〜って思いました。

ななさんへ
「コスモス〜」はなんと書けばいいのか分かりませんね。ただ、その後に続いたのが「椿〜」だったので前作の余韻を引きずってしまってた私は、おじいちゃんの布団!?大丈夫かい?って思いましたが、まったくの見当違いで・・・。(爆)
Posted by じゃじゃまま at 2008年05月31日 16:23
淡い色彩の装丁いいですね。
確かにユカとアンナの友達関係は、長続きしそうにないかんじがしますね。
この話を読んで、告白する勇気はないけれど、好きな子の話で盛り上がっていた中学時代を思い出しました。
Posted by 花 at 2008年06月08日 16:48
花さんへ
あの二人の友情のモロさが、中学時代にはありがちっぽくて、妙に共感してしまいました。(笑)
あの頃のサイン帳って「いつまでも絶対友だちね!」とか「友情は永遠だよ!電話するね!」なんて書かれてても、いざ進学すると疎遠・・・って、そんな当時を思い出してしまって。(苦笑)

片思いであれだけ盛り上がれる時代も懐かしいですね〜。
Posted by じゃじゃまま at 2008年06月13日 21:50
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