2015年02月12日

あなたの本当の人生は 大島真寿美著。

《★★★》

かつての大島ワールドが、対象年齢をぐっとあげて復活したかのような作品。
読み終えた時、そっと気付かないうちにその人たちが成長したり、ほっこり幸せになってたりする、そんな物語。

なんだけど〜、でも長く感じてしまった。
何度も手が止まってしまって、終わればああ、かつての大島ワールドだ〜って思えるのに、辿りつくまでが長かったんだよね。

「内容紹介」より
「書く」ことに囚われた三人の女性たちの本当の運命は……
新人作家の國崎真美は、担当編集者・鏡味のすすめで、敬愛するファンタジー作家・森和木ホリーに弟子入り――という名の住み込みお手伝いとなる。ホリー先生の広大で風変わりなお屋敷では、秘書の宇城圭子が日常を取り仕切り、しょっぱなホリー先生は、真美のことを自身の大ベストセラー小説『錦船』シリーズに出てくる両性具有の黒猫〈チャーチル〉と呼ぶことを勝手に決めつける。編集者の鏡味も何を考えているのか分からず、秘書の宇城は何も教えてくれない。何につけても戸惑い、さらにホリー先生が実は何も書けなくなっているという事実を知った真美は屋敷を飛び出してしまう。
一方、真美の出現によって、ホリー先生は自らの過去を、自身の紡いできた物語を振り返ることになる。両親を失った子供時代、デビューを支えた夫・箕島のこと、さらに人気作家となった後、箕島と離婚し彼は家を出て行った。宇城を秘書としてスカウトし書き続けたが、徐々に創作意欲自体が失われ……時に視点は、宇城へと移り、鏡味の莫大な借金や箕島のその後、そして宇城自身の捨ててきた過去と、密かに森和木ホリーとして原稿執筆をしていることも明かされていく。
やがて友人の下宿にいた真美は、鏡味と宇城の迎えによって屋敷へと戻る。そしてなぜか、敢然とホリー先生と元夫の箕島にとって思い出の味を再現するため、キッチンでひたすらコロッケを作りはじめた。小説をどう書いていいのかは分からないけれど、「コロッケの声はきこえる」という真美のコロッケは、周囲の人々にも大評判。箕島へも届けられるが、同行した宇城はホリー先生の代筆を箕島に言い当てられ動転する。真美、ホリー先生、宇城、三人の時間がそれぞれに進んだその先に〈本当の運命〉は待ち受けるのか?




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2014年08月03日

ワンナイト 大島真寿美著。

《★★★☆》

大島ワールドの平均年齢が、やっぱり上がっている。
前は学生だったのが、最近では大人、30〜40代の女性になっている。
ま、いいか。

ステーキハウスを経営する佐藤夫妻が、結婚したい常連客たちの願いを叶えるべく、ついでにまるで女を捨てている夫の妹、歩にもなんとか縁づいて欲しいと、真剣な合コンを企画する。
そこに集まった男女6人の、それぞれの連作集。

面白かった。
売れない小説を書き、好きな時間に起きて寝て、自堕落的な生活をしていた歩にも、実は出会いがあった。
戸倉というプログラマー。
この戸倉と共に、この合コンに社長の命令で出ることになっていた平泉は、実はゲイで、合コン当日逃げ出した。
そして、ずっと戸倉に恋をしていた。

一番結婚願望の強かった宮本さなえは、米山と言う、平泉のピンチヒッターに狙いを定め、本性を隠し、近づいていたが、一向に距離が縮まらず、焦っていた。
クリスマスイブにも米山に連絡が取れず、仕方なしに誘った、もう一人の参加者、小野に声をかけると、その日、小野から結婚を前提に交際を申し込まれる。

そして、二人はめでたくゴールイン。

さなえから逃げていた米山は、実は既婚者で、さなえに手を出してはいけないと念じつつ、大阪へ単身赴任している妻との距離に疑問を持ち始めていた。
とうとう、妻と離婚することになり、身軽になってさなえに連絡をしようとしたら、電話番号が変わっていた。

ステーキハウスの佐藤夫妻にそもそも合コンの話を持って行った瀬莉は、結局みんなのキューピットになっただけだけど、前の夫との再会により、踏ん切りがついたし、米山と元妻の玲子も、決着がついて、全部丸く収まったね。

歩と戸倉と、平泉のトリプルな組み合わせや、平泉の恋人、片野との共同生活など、どうも歩だけは好きになれなったけど、まあ、それを言ったらさなえもどうかなって感じだったので、結局、普通の人は瀬莉と玲子と、佐藤夫妻だけか。

歩の悪趣味なとこが嫌いかな。
大島氏も、以前はきらきら透き通った感性だった気がするけど・・・。


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2014年04月12日

三月 大島真寿美著。

《★★★★》

短大を卒業してからおよそ20年。同窓会の案内を受けとって以来、ノンは学生時代に亡くなった男友達のことが気になりはじめる。彼は自殺ではなかったのではないか?ノンは仲のよかった友人に連絡を取ると―。仕事や家庭、それぞれの20年の時を歩んできた女性6人。学生時代の男友達の死を通じて明らかになる「過去」。その時、彼女たちが選ぶ道は―。未来に語り継ぎたい物語。 (「BOOK」データベースより)

大島ワールド健在だった!!
これが大島ワールドだ!読み終わった後、ひそかによし!!って決意してしまうような、よし!もう一度頑張ってみようって。
そっと背中を押すような物語が大島氏。
女性作家さんは、加齢と共に作風が微妙に変わってくるけど、大島氏も例外ではなかった。
以前は、高校卒業前後の女の子が、特別になにか事件があったわけでもないんだけど、自然と、さりげなく新たな一歩を踏み出すってものが多かったけど、「三月」はアラフォーが主役。

個人的にはこっちの方が共感できる年代なんだけど、10代の子たちの未来を感じる物語もよかっただけに、大島氏がだんだん年齢設定を上にしてきてることが寂しい。
でも!!!「三月」は大島氏の得意とする分野だよね。

これが大島ワールド。
短大時代の仲間たち。一人の青年の事故死をめぐって、その周囲の人間模様も浮き彫りになってくる。
「モモといっしょ」は、森川君の事故死を自殺として広めてしまったのは私のせいかも!ってノンからの電話に振り回される領子。勤めてた会社が倒産してしまって、彼氏もいない、そばにいるのは愛犬のモモだけ。そのことをちょっとした見栄で言えなかったり。そんな20年近くも前の事故死のことで今更騒ぎ立てるノンに呆れつつも、久しぶりに、東北に嫁いでしまったノンに会いに行くことを決める領子。
これから仕事も探さなきゃいけないアラフォー女性の、心細いような、でもまた出発しようって、そう思えるのが大島作品のすごいとこ。

「不惑の窓辺」・・・ 明子は、領子からもう15年以上も前に事故死した森川君の話を聞いた。
森川君は、明子の従兄カンペーの友人だった。そして、明子はずっとずっとカンペーに恋をしていた。でもその想いを告げることもできないまま、カンペーは他の女性と結婚してしまい、ずっと独身だった明子も数年前、叔母に勧められて子連れの後妻となった。心にはいまだカンペーを残しながら、義理の娘が自分のことを「あいつ」呼ばわりしてることを耳にして、傷ついている。そして、領子の電話でカンペーが、あの頃、友人の小沼花と付き合ってたという話を聞き、動揺する。
義理の娘ともうまくいってなかったという現実、好きだったカンペーは友人の花のことが好きだった?こういうのって一気に来るんだよね〜。落ち込み、明子もまた、ノンに会いに行ってみようかなと思う。

「花の影」・・・ ノンの思い込みによる発言は、伝言ゲームのようにあの時代の仲間たちの間を、いろんなさざなみを起こしながら流れていった。明子からの電話で花は久しぶりにあの頃のことを思い出していた。
もしも、阪神淡路大震災がなかったら、花はカンペーと結婚していたかもしれない。一番の支援者を震災で失い、花も両親も傷つき、とうとう花はカンペーの優しさから逃げてしまった。以来、花はずっと独身で、親の介護をしている。姉夫妻がいてくれたら・・・花はカンペーと今頃幸せな家庭を築いていたかもしれない・・・でもそれは現実ではない。現実は、姉夫妻を失い、カンペーを失い、花は親の面倒を見続けている。
そんな花の日常に、明子からの電話は外からの風を入れた。
花もまた、ノンやあの頃の友人に会いに東北に行こう、と思い立つ。

「結晶」・・・ 森川君の事故死は、自殺だったのか、それとも・・・。当時、森川君と付き合っていた穂乃香。でも結局穂乃香が結婚したのは、仲間内の栃田君だった。それが原因ではないのか?そんな憶測が仲間内でもささやかれ、そして当人の穂乃香は夫である栃田を疑い、夫の栃田も、事故当日の穂乃香を疑っていた。
ノンから、確かめるべきと言われ、20年近く経って、ようやく二人は森川君の死、自分たちの関係に向き合い、確かめ合う。
それぞれが必死で生きてきた20年、築き上げてきたものたちが確かにここにあるという、重みのある章だった。

「三月」・・・ ノンの、かつての森川君の事故死を自殺と断定させてしまったのは私かも!という思い込みの電話が仲間内に周り、それが縁で卒業以来かつての仲間たちが、ノンの嫁ぎ先の東北に集まった。
それそれが会わなかった年月分、いろんな問題や出来事にぶつかりながらも、揉まれて生きてきた。
全部を語り合わなくても、お互いに想いを馳せる部分もあるだろう。ノンも、人知れず、夫に疑惑を感じながら蓋をして生きてきた。そして一度口にしてしまったことで、とうとう現実になってしまった。
みんなとの再会、その時、ノンは心の裏側で夫の裏切りと、そしてそれが浮気ではなく本気であることを悟り、悲しみ、不安、動揺、いろんなものがごちゃごちゃと押し寄せてきていたんだろう。
でも、みんなと会い、三月は出会いと別れの季節でもあることにふと気付き、そうだ、自分ももう一度この生活から卒業をして、また再出発しよう!と、そう気持ちが切り替わった。

こういうのってほんの一瞬で吹っ切れるんだよね。

「遠くの涙」・・・ みんなが東北に集まって再会してた頃、一人美晴はアメリカにいた。学生時代から演劇の道に進むと決めていて卒業後、渡米したのだ。だから森川君の死も、それぞれのみんなのその後も遠くの話だった。一人飛び出してきたからこそ、弱音は吐けなかった。小さな嘘が、そのまま本当のことを言えなくして、二度の離婚も、演劇とは関係ない日本料理店で働いていることも遠く離れた距離と共に見えないところに隠した。
ノンたちが再会するというメールを読んだ三時間後、日本に大きな地震が起こった。ノンは、領子は、明子は、穂乃香は、花は?無事のメールを読んだのは4月になってから。
ノンからのメールで、みんなの無事を知り、会わなかった20年に語りきれないほどのそれぞれの人生があったことを改めて感じた時、美晴も、二度の離婚や別れた息子のこと、辛いことたくさんあった。みんなに黙っていたこともあった。でも自分も今、生きている、生きているうちに、他の仲間たちのように再会したい!とそう気持ちが変化したのもすごく分かる。
こういうのも、一瞬一瞬で切り替わるんだよね。そして、美晴は、みんなに会わない間に起こったいろんなこと、昔のようにいろんな話をしてた頃の自分たちのように、話したい、と思ったんじゃないかな。

ノンのその後も、美晴宛てのメールの中で書かれていて、ちょっと安心。震災の後、心の離れた夫とも抱き合って無事を確かめ合い、今は家族で結束して立ちあがっていると。
もしかしたらそれは今だけで、その後はノンたち夫婦がどうなるかは分からない。小説だからなんとでも書けそうだけど、あえて書かないところに、その世代でもある私はどっちにでも想像できて、逆に、よ〜し!頑張れ〜って応援できる。

どれもハッピーエンドってほどでもないのに、なぜか元気をもらう大島ワールドは健在だった!


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2013年07月29日

ゼラニウムの庭 大島真寿美著。

《★★★☆》


その家には秘密がある。その秘密を守るために、磁場に引きつけられるようにその家に縛られる家人たち。
祖母に打ち明けられた秘密は、到底信じることのできないものだけど、実際その秘密を見てしまっている作家でもある孫娘るるちゃんは、それを書きとめることにした。

祖母には双子の姉妹がいる。嘉栄さんは、なぜか人よりも生きる時間が倍以上かかる不思議な運命を背負った人だった。
祖母が亡くなった時は、るるちゃんの母よりも若く見えた。そうして、嘉栄さんは、人目につくことを許されず、隠され、るるちゃんの家の秘密として存在するのだった。

しかもこの嘉栄さん、なんだかいちいち癪にさわるんだ。るるちゃんのお母さん、静子さんがその昔、婿養子であるお父さんの亮さんと嘉栄さんの仲を疑いぎくしゃくしてるのに、知っていてわざと波風立てるような態度をしたり、いつまでもずっと若々しいからってちょっと鼻について、私も嫌いだった。

「ゼラニウムの庭」は、嘉栄さんという秘密を守り続ける一族の物語であるんだけど、このままだと嘉栄さんを嫌いなままで終わるところが、その追加版「嘉栄附記」は、その後のるるちゃんや嘉栄さんの人生が書いてあって、嘉栄さんのいいわけ文みたいな感じがしないでもないけど、でも附記のおかげでいろんなことが一気に進んだ感じ。

「嘉栄附記」は、実はいつまでも若々しく生きていることが決して幸せなわけじゃないと伝えている。
実はずっと孤独で寂しかった嘉栄さんではないか。あの遠慮のない物言いは致し方ないとして、数奇な運命を受け入れるためにはあれくらい強く跳ね返す意思がないとやっていけなかったんだね。
なんか【ベンジャミン・バトン 数奇な人生】をどうしても思い出すよね。あれとは逆だけど。

実はこういう特異なタイプは、実際あるんじゃないかって。不老不死とかそういう言葉は、彼らみたいな人が語り継がれて広まっていったんじゃないかって文章あったけど、なるほどそうかもって思った。
伝説とか到底信じられないような出来事も、実際は近い出来事があるから残ってる。

どうして嘉栄さんが生まれたのかは分からないけど、嘉栄さんのために、祖母、母・静子、娘・るるちゃん、そしてるるちゃんの娘・葵がいる。
るるちゃんの二番目の夫と、嘉栄さんが恋人だったっていうオチはちょっと気色悪いけどね〜。っていうか、るるちゃんがああいう駄目男に惹きつけられちゃうのが残念だった。なぜなら、途中までるるちゃん=大島氏だと思っていたから。

でもこれってやっぱりフィクションだったんだもんね。別にいっか。

案外引き込まれて二日で読んでしまった。


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2012年02月12日

それでも彼女は歩きつづける 大島真寿美著。

≪★★★≫

映画監督である柚木真喜子が海外の映画祭で賞を取った。その柚木真喜子と様々な形で関わった女性たちのそれぞれの視点の物語。

かつて柚木と激しくぶつかり合った共同製作者の志保。
柚木真喜子の恋人であった男性を好きになり、柚木の友人である先輩に後押しされ粘り勝ちで勝者になったさつき。
地元のラジオ局から姉の受賞のインタビューを受ける妹。
そのラジオ局へ柚木の受賞を知らせたり実家に花を贈る近所の女性と、その女性に好意を寄せている柚木の兄。
柚木にのぼせ上がっている所属プロダクションの御曹司と、それを内心ヤキモキしている女社長。
かつて柚木の映画に出演し、そのまま柚木の映画のとりこになってしまった元女優の十和。

どれも肝心の柚木は、彼女たちの思い出の中や、出てもほんの一部分しかない。
どうやらあまり柚木は好かれてはないらしい、それなのに誰もが柚木を気にしていたり、認めていたり、不思議な存在である。
それぞれの視点から描かれる柚木は、嫌な女なのか、計算高い女なのか、いろいろ想像が膨らむ。
志保の章では、すごくきついのかと思ったし、さつきの章では、さつきの先輩で柚木の友人でもある女性が、柚木の恋人をさつきに奪わせるという、やはり柚木は同性には嫌われる性質なのか。
近所の女性や十和は、柚木の才能や人柄にほれ込んでいるし、中心人物が不在の中で、柚木の人間性をさまざまな角度から見せてくれる。

プロダクション「パイン」の女社長の、柚木を毛嫌いしながらも、柚木の魅力に呑まれ抗いきれずに認めてしまうところが、柚木の柚木たる所以なのかな〜と。

正直、分かりやすそうで、実はあまり分からない物語であった。
でもタイトルがセンスがいいと思った。そう、なんだかんだ思われながらも、柚木は歩きつづけるんだな。




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2011年09月07日

ピエタ 大島真寿美著。

≪★★★≫

有名な作曲家、ヴィヴァルディとその愛弟子であったアンナ・マリーアとエミーリア。
物語はヴィヴァルディの訃報から始まり、彼女たちが育ったピエタ慈善院とヴィヴァルディの繋がり、ある楽譜を探しているうちにエミーリアはヴィヴァルディの隠された過去へと導かれる。

孤児院でもあり、才能ある子供がいれば音楽の教育を施す音楽院でもあったピエタを背景に、エミーリアの一生涯忘れられない切ない恋や、ヴェロニカの想い、クラウディアと三人で過ごした特別で親密な夜、彼女達が生きた一時代の物語。
ヴィヴァルディが人々から愛され、音楽が忘れられピエタが衰退したほんの一瞬の時代の物語。

ともすると興味がないと進まない題材であるのに、大島氏の普段の作風が功を奏して、すんなり入ってきた。
正直、最初はヴィヴァルディって言われても・・・って腰が引けたけど、エミーリアとヴェロニカの兄カルロとの悲恋、病に倒れたクラウディアを献身的な友情で支えるピエタの女たちやヴェロニカになんだか泣けて、感動してしまった。

いつもさりげない日常を切り取る大島氏だからこそ、こんな風に柔らかい物語なんだろうな。


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2010年09月30日

ビターシュガー 大島真寿美著。

≪★★★★☆≫

「虹色天気雨」の続編ですね。
大島氏のこういう、なんだか現実にはありえないような、でも大島ワールドというのだろうか、そんな魅力全開の「ビターシュガー」はいい!
市子って、作家か翻訳家だっけ?前作で、夫に失踪された奈津は、まりに紹介された会社で正社員として働き、娘の美月と共に暮らす。
失踪した憲吾は、今は信州で暮らし、別居状態のまま駆け引きが続く。そもそも、この男はなんで失踪なんかしたんだっけ?
どうやって居場所分かったんだっけ?前作は、そんなことも一つのエピソードでしかなく、市子やその仲間たちの不思議な時間の物語だったし。

今作では、信州で妻と娘に来て欲しい、って思ってて、奈津にしてみれば、勝手に失踪した男のわがままに振り回されてなるものか!とこっちで踏ん張っている。

そんな市子のところへ、パパに会いたい娘美月と、後輩の旭が転がり込んできて、またまた市子の周りは騒々しい。
旭は、市子の高校時代の友人まりの元カレだけど、これまた市子の友人、ゲイの三宅がクラクラきちゃって、身の安全のために市子の元へ来たってわけ。

前作の細かいところは忘れてしまってるけど、でもごく自然に続編が始まって、ごく自然に入り込んでしまったので、なんとなく分かる、っていうか、ほら、あれだね。
しばらく会ってなかった仲のいい友人同士って、こと細かく説明しなくても、今のままで話通じる、みたいな感じ?

旭と市子の同居について、みんなが付き合ってるって誤解するというのは、本人たちが自覚していないだけで、とっても相性が合ってるってことかな。
この先続々編があっても、二人の仲って変わってなさそうだけど。

大きく動いたのは、奈津と憲吾の離婚。まりの結婚騒動。辻房恵の妊娠と丹羽氏との復縁。
ドッタバタと騒いだ季節も、旭の引越しと共に、寂しいというか、普段の市子の生活に戻っただけ。
未婚の男女って、老後のこと考えると寂しくないかい?なんて思うけど、こんな四十路の集まりなら、素敵な四十路たちだと、本当に思う。
キャリアウーマンで格好いい女たちではないけど、どこか生身の人間の匂いがして、好感が持てる。

ところで、辻房恵って覚えてないんだけど、市子、まり、奈津の高校時代とか学生時代の仲間?
で、多分昔から嫌われてる?本当、こういうのいるんだよね。嫌いなのに、周りうろちょろって。これだけみんなから悪口言われても、あの存在感はあっぱれ!

タイトルも、ああ、まんまだな〜って。四十路の人生は、ほろ苦いよね。


posted by じゃじゃまま at 15:53| 神奈川 ☔| Comment(4) | TrackBack(4) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月02日

戦友の恋 大島真寿美著。

≪★★★≫
私たちは友だちじゃない。

まったく芽の出ない漫画家志望の山本佐紀こと山本あかね。
絵は下手だけど原作者としての道を示唆してくれた新人編集者、石堂玖美子。
二人は、ただの友だちではなく、互いが互いの道を進むために一緒に闘い、支え合いってきた戦友だった。
その玖美子が突然病に倒れ、佐紀の前からいなくなってしまった。
玖美子が死に続ける中で、佐紀は生き続けてる、そんな佐紀の日々の物語。

大和湯の美和ちゃん!!!大和湯って見た瞬間に、おお!!!
で、美和ちゃん!でしょう〜〜。
これは大和湯のスピンオフか??とまで思ってしまった。

あの美和ちゃんが恋していた人!うんうん、いたいた!それが佐紀の初恋の相手か。でも美和ちゃんの彼氏は確か編集者で・・・って、この君津か!
でもなんか「ほどけるとける」の方がスピンオフっぽいけどね〜。

正直、私の好きな「ほどけるとける」話が出てきてからの方が面白かった。

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2009年07月01日

すりばちの底にあるというボタン 大島真寿美著。

≪★☆≫
児童書なのかな。
お父さんがいなくなってしまった晴人は、お父さんの実家、すりばち団地で暮らすことになる。
そこには、離婚して子どもと離れ離れになったお父さんの弟がいて、シュンおじさんから「この団地には夢が叶うボタンがある」と聞かされる。

クラスメートの薫子と雪乃、雪乃の兄邦彦は、そのボタンは押しちゃいけないボタンだと言う。
子どもたちの冒険が始まる。

大人たちもこの都市伝説のような話を信じていて、鼻で笑っちゃうような話なんだけど、温かいんだよね。さびれてしまったすりばち団地を復活させようと、晴人のおばあちゃんたちが活動してる。
そして、若い人たちが夢を叶えようと、そこでお店を開いたり事務所を作ったりして。
「アトリエそらみね」が成功したのも嬉しかったし、すりばち団地に活気が戻っきたのが嬉しいよね。

そういう温かい話なんだよね。結局ボタンは分からなかったし、ボタンを守る少年の件は物悲しいけど、なんだか懐かしさを感じた。
晴人のお父さんが戻ってこないところなんか、大島氏らしいよね。

posted by じゃじゃまま at 18:26| ☔| Comment(5) | TrackBack(3) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月20日

三人姉妹 大島真寿美著。

≪★★★≫
大島氏の書くヒロインって、こんな感じ。
どこにでもいる女の子で、特別容姿端麗でもなく、どちらかというとみんなと同じに出来ない不器用な感じの女の子。
水絵も、大学卒業後、フリーターで映研にOGとして参加しながら、ミニシアターでバイトしてる女の子。
大学の後輩の右京君のことが好きで好きで堪らないのに、恐らくどこかで付き合いに無理を感じちゃってる。

右京君との、もしかしたら期待持ってもいいかも感のある自然消滅な別れ、全然物語的には、結局なんだったのよ、の二人の関係なんだけど、でもこれまた大島氏らしく、読み終えた後、水絵が一歩踏み出したのが分かるんだよね。大事件もない、誰でも経験してそうなことなんだけど、成長してるんだよね。

三人姉妹っていうんだから、もちろん、長女の亜矢。見合い結婚で経済的に恵まれてるとろこへ嫁いだものの、冒頭では離婚するだのとすったもんだしてる。大人になると、そう簡単には決められないこともあって、騒いでみても、それで気の済むこともあり、亜矢はなんだかんだいって祖父江家で居場所確保してる。

次女の真矢は、不倫を脱しバリバリキャリア志向で働いている。
グンジさんの気持ちに気付いていながら、グンジさんはゲイだということにして、ちゃっかりグンジさんとの友情を確立しちゃってるところが私にはさすがに見える。
でも、本当は気づいてないだけで、真矢にはグンジさんが一番なんじゃないかとも思ってる。なんたって謎の病気を治してくれるんだから、グンジさん。

水絵の視点で、福池家のあれやこれやが語られて、でもやっぱり末っ子の水絵が、なんのかんのと言いながらも二人の姉にいろいろと人生教えられるところがいいよね。
亜矢の天敵、小姑の雪子も、水絵とは仲良しって表現は合ってないけど、水絵にとって血は繋がってないけど、3人目の姉みたいで、興味のある関係だよね。

大島氏の作品には、それが決してメインではないんだけど、うまくいかない恋っていうのがよくあって、なんともいえない親近感があるんだよね。この身近な感じが好き。


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2008年04月22日

かなしみの場所 大島真寿美著。

≪★★★★≫

最初に読んだのは3年くらい前?きっとあの当時なら五つ星だね。
これがきっかけで大島氏のファンになったんだもん。
免疫できちゃってたから四つ星でごめんね。でもきっかけだった作品なのに、忘れちゃってるから、もう一度再読してみました。

不思議な人々が集まってる。寝言が原因で、離婚歴のある、昔誘拐されたことのある果那。
その果那が作品を納めている骨董品屋の梅屋。これも不思議な空間。そこに働いているオーナーの姪のみなみちゃん。チャキチャキしていて気持ちがいい。果那の両親、叔母夫婦、従兄たち。
一番好きなのは、従兄の住んでるマレーシアに叔母夫婦が行ってしまい、留守宅を預かる果那をねぎらいに、お正月みんなが集まるところ。
なんだかあったかいんだよね〜、賑やかで。

誘拐犯に会いに出かける果那と、誘拐犯との再会。この人も不思議ワールドだよね。そして、大島ワールドはあったかいんだよね。
今まで存在を忘れていた叔父は、母から聞かされた話よりも、もっともっと暖っか。
ろくでもないと思ってたのに、どこか憎めなくて、やる時はやるって感じで、体の弱い妻のために、朝晩一生懸命働く。ただの怠け者じゃなかったわけだ。
こういう人って、肉親だったりすると苦労するけど、でも飄々としてて羨ましくもある。浮世離れしてるちゅうか。

この作品に出てくる人々は、みんなどこか飄々としていて、サクサク生きてる感じで、すごく好きなんだよね。ああ、大島ファンになったのがよく分かる。



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2008年03月06日

やがて目覚めない朝が来る 大島真寿美著。

大島ワールドの余韻を残しつつ、なんだか寂しいような・・・今までのどこかふわりと嬉しくなるような物語と違って、そう、余韻は残ってるんだけど、少女がちょっと大人になった感じ?
大島ワールドはどこか江國ワールドとも似てるんだけど、やっぱりなにか違う。
蕗さんの話を誰かにしたくなる時がある。蕗さんは私=有加の祖母であり、自分たちを捨てた父のお母さん。そこへ、母と共に転がり込み同居生活が始まる。母と蕗さんもまた、父と出会う前からの知り合いで、嫁姑とは違う。
蕗さんは元有名舞台女優で、母も元モデルと舞台監督の夫妻の娘。蕗さんの周りには、個性豊かな人々が集まる。ミラさん、一松さん、田幡さん、蕗さんの代わりに母親をしてた時期のある事務所の富樫さん。
みんな、有加や有加の母のぶちゃんを大事にし、のぶちゃんの元夫で有加の父で、蕗さんの息子の舟ちゃんも愛してる。

これは彼らの生きた証であり、有加の一部だった時間のお話。
これが、江國ワールドなら、舟ちゃんがどれほどのぶちゃんを愛していたか、それゆえに一緒にはいられなかったことを中心に、二人の愛の物語になったかもしれない。有加とイギリス人の短かった結婚生活を書いたかもしれない。
でも大島ワールドは周囲の人々や家族に焦点を当ててる。
なぜどこか寂しく感じたのか、こんなに魅力のある人々のほとんどが今はもういないことなのかもしれない。
いつか、みんな「やがて目覚めない朝が来る」から。

彼らが今そこにいないこと、胸がシンとする。


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2007年09月25日

ふじこさん 大島真寿美著。

≪★★☆≫

パパとママが離婚するためリサの親権を争っている間、リサは週末だけパパのいるマンションへ行くことになった。そこでパパの恋人のふじこさんと出会う。どこをどう読んでもパパの魅力ゼロで、たいしてリサのこと大事とも本当に親権が欲しいとも思ってないのに、なんだかな〜、このオヤジ、って感じ。
でもリサにとってふじこさんとの出会いはすごく大事なものだった。リサを対等に扱ってくれたから。
大島氏ならではの、大人なのに大人らしくないふじこさんは、まあまあ素敵だった。
でも今ひとつ、だったんだよな〜。リサの親を嫌いになる(実際には好きでも嫌いでもない、一番悲しい距離)描写なんて、少女の心のうちをよく分かってるな〜と。
リサとふじこさんの突然の別れからいきなり再会(実際はふじこさん本人じゃないけど)するまで、その間の十数年がないのは無駄がないけど、寂しい物語だった気がする。

「夕暮れカメラ」は同級生のおばあちゃんとは知らずに、遺影の撮影をしていた小椋。まさか自分のおばあちゃんが同級生に遺影を撮影させてるなんて思いもしなかった藤岡君。
ぼけてると家族からは思われてたけど、実際は寂しさでいっぱいの心を抱えてたおばあちゃん。誰も口にしなかったけど、実は家族がそれぞれ無理に役割を演じてたんじゃないかな、それ分かってたから、おばあちゃんは家を燃やそうとしたのかな。考えてみればこれもまた寂しい話だった。
小椋さんと藤岡君はその後どうなったんだろう?かみ合わない二人の会話だから、小椋さんが藤岡君を好きになることはないか。

「春の手品師」は、すんません。ちょっと理解できませんでした。疲れてたせいもあるけど、これもまた家族で孤独を抱えてる女の子の寂しいお話なのかな、ってだけで。

結局「ふじこさん」は全部寂しい話だった?


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2007年09月18日

ぼくらのバス 大島真寿美著。

≪★★★≫
もっと大島ワールドを満喫したくて、のんびり読んだつもりなのに、ものの数十分で読み終わってしまった。
字も行間もゆったりしてるし、児童書だからか、あっという間。
児童書といっても、大島ワールドは侮れません。大人だって、読んでるうちに子どもになっちゃう。

小学5年生の圭太は夏休みやることがなくて暇。友だちはみんな習い事やらなにやらで忙しいし、ゲームは弟の番だし。
そして突然思い出した。1年生の頃、お母さんに連れていってもらったバスの図書館。おじいさんが亡くなって、ずっとお休みになったままのあの図書館。弟を連れて、覗きに行った。そして、その日からそこは彼らの秘密基地になった。

読んでるうちに、自分も小学生になって一緒に冒険してるみたいな気分になった。圭太や順平の今の時間が、なんだか自分にもあったような、共有してるような不思議な気分になった。
自分はここまで大胆なことはしたことないんだけど、当時のあんなことやそんなこと、思い出して、もしかしたら、今思えば、そんなことあったね、っていう話でも、当時の私たちには充分に冒険だったんじゃないかな。過ぎちゃった子どもの時間がものすご〜くキラキラして大事に思えた。

そういえば、生徒立ち入り禁止の日に友だちと忍び込んだっけ。体育館の裏で遊んでたら先生に見つかって追いかけられたよね。あれは4年生か5年生。
ああ、友だちの家の庭に物置小屋があって、毎日そこでおままごとしたっけ。あれは2年生。
自転車に乗って、知らない町までよく探検に出かけたよね。
実は私たちの子ども時代も、圭太に負けないくらい結構いい線いってるんじゃない?

おばあさんもいい味出してた。


posted by じゃじゃまま at 21:04| Comment(4) | TrackBack(2) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

青いリボン 大島真寿美著。

≪★★★★≫
小さい頃から両親の家庭内別居の中で、それを不幸なこととも思わずに、そういう形の家族なんだと思いながら成長した依子。
高校生になった時、父の転勤、母の海外出張と、一気に「離婚」に向けて家族が動き出す。
それまでは家庭内別居とはいえ、安定した3人のバランスが一気に崩れだした。

一人依子を置いてはいけぬ、と母の実家に行かされそうになるところに、「うちにくれば?」とクラスメートの梢の遠隔操作により、居候慣れしている梢一家に下宿することになる。

本当に作家さんのカラーによって、物語っていろんな色に染まるんですね。大島カラーになると、不思議な重力でほんわかほんわかと柔らかい風船のように物語は進んでいく。
依子のきょとんキャラ、梢一家の家にいつも知らない誰かがいて、それを受け入れる包容力とでもいうんでしょうか、賑やかで、こんな風に前向きで自然体で生きていけたら、って大島作品を読むといつも思う。

ここで、依子の前に夜逃げ?で台湾に行っちゃったクラスメートの沖田君の存在も忘れられない。台湾に行った後、二人の会話の中でしか登場してこないんだけど、きっと沖田君と依子は淡い相思相愛なんだよね。卒業して台湾で会っても、その後進展しないかもしれないけど、沖田君の存在は、支えになるんだろうな〜と予感させてくれちゃう。そのくせ登場回数の少なさは潔いよね。

いつも大島作品では書くけど、終わった後に主人公の女の子が少し成長してることに気付く。どうってことのない日常、話なのに、うつむきがちだった女の子が、すっと顔を上げたように、そんな小さな成長だけど、感じることができて嬉しい。

依子も、親がこのまま本当に離婚するかもしれない、だけど、依子も一歩踏み出さなきゃいけないって気付けて、依子だけじゃなくて自分にもエールを送りたくなっちゃう大島作品に、バンザイ!
posted by じゃじゃまま at 10:53| Comment(10) | TrackBack(5) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月30日

宙の家(ソラノイエ) 大島真寿美著。

大島氏の作品らしくないといえばそうなのかもしれない。大島さんの作品には、いつも不思議な優しさが溢れていて、「宙の家」は最初それがないように感じたから。
地上11階に住む雛子の家は、単身赴任で不在の父、理一、その母である祖母萩乃、姑と同居という形で母、圭以子、そして弟、真人で形成されている。

ある日萩乃が通信不能な状態になり(ボケという)、母が騒ぎ出す。そしてそれをヒステリックな状態と位置づけ、雛子だっておばあちゃんの様子がどこかおかしいと気付いていながら、なにも行動は起こさない。私は母、圭以子の心配も背負ってしまうであろう重荷も分かるから、雛子の態度は好きになれなかった。決して。それが大島作品では珍しいことなんだ。主人公の女の子をこんなに嫌いになるなんて。
萩乃を失ってからの家族は、ある意味大島ワールドというか、ようやく温かみを帯びてきたかも。

萩乃の着物の袂に入れてあった鋏と時計。その意味に雛子が気付き、真人と一緒に行動を起こす辺り。そして外側から応援するいとこの良一。

「空気」は「宙の家」の後日談。ここには萩乃がいなくなってから眠った状態だった雛子が起き出すまで、真人の親友のフミマルの兄、波貴をまじえて再生するお話。大島ワールドがまた輝きだした作品だけど、波貴だけは異端な存在と感じた。
その他はみんな大島ワールドの住民。確かに。
私はこの話を雛子と波貴の物語というよりも、雛子と真人と良一、そしてフミマルの物語だと位置づけたい。

「宙の家」も確かに読み終えた後、雛子が少しだけ成長していた。やはり大島ワールド健在!
posted by じゃじゃまま at 13:49| Comment(6) | TrackBack(3) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月18日

虹色天気雨 大島真寿美著。

≪★★★★≫

なんか不思議。大島ワールドが生み出す空間って、江國さんと似てると思ったんだけど、江國さんの空間って、たとえば内巻カールでふわりとした膝丈のスカートが似合う日常なのに対し、大島氏の空間は、お洒落というより、どちらかというと見てくれなんか気にしない!って女の子を想像してしまう。
でも共通してるのは、普通の日常って面倒くさいものなのに、その面倒な部分がなくて、淡々した日々も、なんか楽しそう、悠々と過ごしてる感じがするんだよね。

「虹色天気雨」は、夫が失踪したといって探しに行く友人の子どもを預かることになった市子。市子の周りには不思議な人がいっぱい。それでいてすごく楽しそう。後輩と付き合ってる学生時代からの友人、ゲイの友人とその会社の人たち。
なにかっていうとみんなで集まって、時間を共有してる。
この仲間たち、どうやら学生時代からの付き合いのようで、市子と夫が失踪した奈津は、一番古く中学生からの付き合いみたい。

そんなことも、なんかいいな〜って思っちゃう。昔から知ってる仲間内って、一番楽しい時間を共有していて、思い出も一緒。ふむふむ、と羨みながらも、だんだんと奈津の夫の失踪の理由が知りたくて知りたくて、まりちゃんと後輩の彼のことも気になって、ああ、この仲間に加わりたいな、読んでる間は自分も仲間の一人になったような気分でいた。
posted by じゃじゃまま at 22:19| Comment(10) | TrackBack(8) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月06日

香港の甘い豆腐 大島真寿美著。

≪★★★★≫
17歳の夏。今までずっと会ったこともなかった、父に会うために香港に行くことになった。それも突然。
人付き合いが下手で、友だちから離れたら、すっとしちゃった彩美。
そんな自分の不器用さも、すべて父親がいないせいにしていた。
それなのに、突然、父親に会うために香港に。

うまくいかないのは、なんとなく自分の生まれながらの境遇のせいにしていた女の子なのに、香港という知らない街で、力強く息をしている。
すごいと思った。そんなに香港という街には、なにか不思議な力が、魅力があるのだろうか。
出てくる人々も、なぜか温かく善人ばかり。

大島作品は、知らず知らずのうちに主人公が成長してるんだよね。そのことに読んだ後気付くのって、ああ、やられたな〜って思っちゃう。
江國ワールドに似てると感じたのだけど、似ているようで、トーンが違うね。でも好き。

香港の甘い豆腐、豆腐花、どんな味なんだろう?


posted by じゃじゃまま at 22:47| Comment(9) | TrackBack(6) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月21日

ほどけるとける 大島真寿美著。

すごく不思議なんだ。江國ワールドとはこれまた違う、ほんわかした感じ。

高校辞めた美和ちゃん。やる気なさそうで、その後のことなんて考えてない。でも別の世界があると思って高校辞めたはずなのに、辞めても世界は同じ。おじいちゃんの銭湯(スパか?)大和湯でバイトしながら、べつにぃ〜って感じで生きてる。
大和湯の常連さんの佐紀さん、年上のはずなのに、友だちになってたり、3Dみたいにぽっかり浮いてる男性好きになってたり、佐紀さんの担当編集者・君津と美和ちゃんが付き合うことになったり。

大和湯に昔からいるおばさんや業者のフジリネンのおじさん。
どれもこれも特別ではなく、どこかで美和ちゃんのような女の子やおじさんたちが生活してても全然おかしくない。

ありふれた生活風景で、なにも起こりそうもないのに、物語が終わる頃には、大きな一歩を踏み出してる。美和ちゃんがしっかりと一人の女性として成長していったのが見える、感じる。
君津と付き合ったことは、ありふれた生活風景の中でもひときわ現実的で、逆に他の人たちがファンタジックに感じてしまうほどだったけど、最初君津の存在なんて物語としてはたいしたことないと思ってのに、実は一番重要な存在だったかも、美和ちゃんにとって。

決してすべてがハッピーエンドではないけれど、美和ちゃんは若いんだ!これからだ!昔の美和ちゃんではない、今はしっかり目標を持って歩いてる!
美和ちゃんはきっと幸せを掴むために努力するだろう。出会った頃のべつに〜の美和ちゃんじゃないんだ。

不思議なお話だな。読み終わった後、なぜだか元気になったぞ。

ほどけるとけるほどけるとける
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] ほどけるとける
[著者] 大島 真寿美
[種類] 単行本
[発売日] 2006-07
[出版社] 角川書店

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posted by じゃじゃまま at 09:37| Comment(12) | TrackBack(12) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月24日

ココナッツ 大島真寿美著。

≪★★☆≫

「ちなつのハワイ」も「ココナッツ」も小学生3〜4年生向けなんですね。気になる作家はすべて読破したいのが私なので、手に取った瞬間「げっ!」と思ったけど、凝り性の私は読むことにしました。

私が好きなシーンは、屋上へ行ったらどこまでも続く海が見えたことかな。昔は海だったから、町の上にキラキラ輝く海があって、その下に町が眠ってる、そのシーンがとても好き。今はあるはずもなく、見えるはずもないものなんだけど、もしかしたらその逆で、本当はあるのに、見えてないだけって大人になるとあるのかも、なんてほんの一瞬思っちゃった。


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ココナッツ
posted by じゃじゃまま at 21:39| Comment(2) | TrackBack(1) | 大島真寿美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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