2014年01月13日

光秀の定理 垣根涼介著。

《★★★★》


あれほどに信長に重宝された光秀。なぜあれほどまでの待遇で、迎え入れられたのか。
光秀の武将としての才覚や人柄を、若かりし頃の光秀と、辻博打を生業とする坊主、愚息と兵法者の新九郎3人の出会いを通じて、一生を語り抜く。

正直、私は光秀が好き。それは真保裕一氏の「覇王の番人」で目覚めた。
教科書ではただ一言、裏切り者として片づけられる明智光秀だが、実は領民想いで、一族への熱い思いと結束力、妻を生涯大事にする、教養もあり名家の出の光秀は、信長の人となりを見て、徐々に将来を憂いていた。

あの一冊は力作だった。それゆえに、垣根氏の「光秀の定理」が実は、そんな光秀を否定するものであったらどうしようと、手にしたもののなかなか読めなかった。

ところが!!私の光秀像を崩すことなく、真保氏とは全く違った角度と目線で描きぬいていた。

信長やのちの秀吉、光秀が信じていたにも関わらず手のひらを返した細川藤孝らとの心理戦など、真保氏の小説は読みごたえ十分で、歴史に疎かった私に、面白さを教えてくれた一冊であったけど、それらは一切触れておらず、ひたすらに愚息と新九郎との出会い、二人の生きざまに、光秀が絡んでいくという、私にとっては新鮮で、しかも私の持っている光秀像を汚されることもなく、面白かった。

そして、愚息と新九郎が亡き光秀を偲んで語る、その内容から、書き手の垣根氏も同じような気持ちでいることが窺えて嬉しい。

本当のところは分からないけど、実は本能寺の変は、秀吉の罠であったと私は思っている。細川藤孝も、諸説では、中立の立場でどっちにつけばいいか分からず迷っていた、とされてるけど、私の中では巧みに光秀を追いやった一人だと思っている。

戦国の、野心と野望の時代にあって、ずる賢い奴らが残り、真っ直ぐな光秀が滅んだ、と。

もちろん、私は歴史を後から知っている上での発言なので、当時、なにが真実であったかは分からないけど、秀吉って大嫌い。信長もちょっといっちゃった人みたいだし、子供のころ学んだ社会の歴史なんて、本当に上っ面だね〜。

かつて「覇王の番人」でも思ったけど、明智光秀って知れば知るほど好きになる。
知れば知るほど、魅力のある武将、他にもいたら教えてください。


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2013年07月12日

狛犬ジョンの軌跡 垣根涼介著。

《★★☆》


車好きの太刀川が夜中走らせていると、黒い物体とぶつかった。
見れば、大きな黒い犬らしきもの。轢いてしまったが、よく見れば轢いただけとは思えない傷口があり、黒犬を車に乗せ病院を探すこととなった。

ようやく病院で診てもらうことができたが、異様な雰囲気に動物病院の犬猫たちが一様に騒ぎ出す。
やむなく太刀川の家で様子を見ることにしたが、近所中の犬たちが敵意や怯えで動物病院と似たような光景になってしまった。

一体、なんなのか。
時折、言葉が分かるように察したり、傷口の治りが早かったりと、ただものではない。
正体がつかめないまま、太刀川はある記事を目にし、少年惨殺事件の犯人が黒犬、ジョンではないかと疑い、調べるが、それは確信へと変わる。

タイトル通り、狛犬なんだよね。
神社で破壊行為を犯した少年たちに、石像であったはずの狛犬に実体が与えられ、意識と意思の元復讐したわけだ。
たまたま出会った太刀川に助けられ、太刀川も太刀川で不思議な体験をするわけだけど。

あの弁当屋の女子高生の存在意味がよく分からなかった。恋人、麻子の絶対に結婚しないわけも、過去になにかあるのかな〜と思いつつ、ジョンの失踪と共にそのまま。

狛犬が動き出したっていう不思議な話に、太刀川や麻子、女子高生の組み合わせ一瞬合わない気もしたけど、それは垣根氏が書くと、そういえばこういう登場人物のカラーになるよな〜と納得。

ジョン、どこ行っちゃうんだろうね〜。周りの犬に敵意むき出しにされちゃうから、どこにも行きづらいとは思うんだけどね。

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2013年02月15日

勝ち逃げの女王ー君たちに明日はない4 垣根涼介著。

《★★★》


「君たちに明日はない」の第4弾。
リストラ請負業の真介は、今回もまたターゲットとなる会社で面接を繰り返す。
「勝ち逃げの女王」・・・ 航空会社AJA。赤字垂れ流しで、希望退職者を募ったら、定員を超えてしまった。今回は、退職者を定員に抑えるために、通常とは逆の引き留め作戦業務となった。
OLを経て晴れてCAとなった浅野貴和子。そして結婚し、子供もいる。フライトのときは夫の実家に子供を頼み、別に夫の収入だけでも生活できる貴和子は、いわゆる勝ち組。
そんな貴和子に、真介は夢であったこのCAという仕事に対する情熱を訴えたが、彼女が選んだのは、勝ち逃げだった。
私は、この章が一番納得いったかな。

「ノー・エクスキューズ」・・・ かつて日本の三大証券会社であった山三証券が突如経営破たんした。
それはこの日本で大企業神話が崩壊した始まりだった。その山三で働いていたらしき初老の二人と、真介は社長に引き合わされる。
社長の高橋の過去が垣間見れたり、仕事に対して行き詰まりを感じていた真介がこの、かつて日本の経済を引っ張っていた彼らの考え方を聞いてどのように感じるのか。

でも、正直、彼らの言ってたこと、よく分からなかった。この時代の男性って、妻に心配かけたくないから家には仕事持ち込まなかったって、そんな風に考えてたようには思えなかったけど。
どうせ言ってもわかんないだろ、的なことじゃないかと、私は思ってたけどね。

「永遠のディーバ」・・・ 楽器メーカーハヤマは、部門縮小で営業職をリストラしたい。今回はそこがターゲット。かつてバンドマンでダラダラと音楽業界にしがみついている飯塚正樹に真介はなぜか怒りをぶつける。
真介いわく、自分の才能に見切りをつけたら、二度とその業界にはいられない、みたいなこと言うんだけど、駄目かな?夢叶わなくて、だけど好きな業界にいるのってそんなに駄目なのかな?

真介の苛立ちは、共感できなかったけど、飯塚が得た答えは、この物語の中で一番幸せだったんじゃないだろうか。

「リブ・フォー・トゥデイ」・・・ 外食産業が中間層向けのファミレス「ベニーズ」を閉鎖することにした。ところが、この中で優秀な人材だけは他部門へ移籍させたい意向で、真介は森山と出会う。
森山は、進学校在籍当時からバイトの身分で責任者に抜擢され、幹部候補生として非常に期待され、是非とも残って欲しい人材だが、帰属意識のない森山は辞める事を選択する。

今回はこんな展開が多かったね。森山は、頭のいい人が考えそうな、固執しないっていうか、こだわりがないっていうか。私には縁のない生き方だけど。


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2012年04月22日

人生教習所 垣根涼介著。

《★★》

人生啓発セミナーに参加する、人生をやり直したい人々の話。
小笠原諸島の美しや歴史を語りたいのか、東大生の引きこもりや元ヤクザ、過去に訳ありそうな定年後の男性、なにやってもうまくいかない太目の女性などなど、キャラの立つ彼らの物語を描きたいのか、いまいちよく分からなかった。

あの定年後の男性の、過去がちょっと気になった。もしかして他の物語に出てたかな。
コロンビアだかどっかのマフィアが女の子養女にしたとか、あったもんね、そんな話。

小笠原の生活やキャラの立つ彼らの話がどうもどっちも中途半端な感じがした。

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2011年12月28日

月は怒らない 垣根涼介著。

≪★★☆≫

市役所に勤める地味な女性三谷恭子、そして、なぜか彼女の魅力にとりつかれて惚れてしまった三人の男たち。男たちの求愛を受け入れる恭子。
付き合う条件として、私生活を聞いてはならない、詮索してもならない、一緒に過ごす時間だけが恭子を知る時間。

風俗に身を落とした母親に育てられ、そんな母親を憎みながらもそんな女たちに母の影を思う梶谷。自身もヤクザ崩れだが、恭子の姿を見た瞬間忘れられず、強引に知り合う。
バーで絡まれていた恭子を助けようと逆に醜態を晒してしまった大学生、弘樹。チャラ男だったが、恭子を好きになり、嫉妬で身を焦がす羽目に陥る。
パトロール中に恭子を見かけ、既婚者でありながら告白する警察官の和田。

無関係な男たちが、恭子の背後にその影を感じる。なぜゆえに恭子は男たちを受け入れるのか。

公園で恭子と語り合う記憶障害の老人。

なにか不穏な動きあるのかな〜と期待しつつ、読み終えてみると、なんだ恋愛小説!?

恭子の過去になにがあったのかは明かされない、なにか辛い過去らしいんだけどね。
だからこそ、同じような香りのする梶谷を恭子は選ぶ。

正直、中途半端な感じもした。恭子の過去こそ鍵じゃないの?あの公園の老人ともなにか接点あるのかな〜って期待したし、それを覗き見してる男もなんだったのか。
大きく膨らみそうだったわりに、どれもこれも無関係で。

諦めて恋愛小説だったってことにしておくか。


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2010年10月07日

張り込み姫 君たちに明日はない3 垣根涼介著。

≪★★≫

「君たちに明日はない」シリーズ第3弾。
今回も、真介は色っぽいアシスタント川田美代子を従え、リストラ業に励む。
仕事ではビシッと決めてるのに、恋人陽子の前ではチャラ男になって、そのギャップがなんとも。
陽子とは一作目の出会いからではあるけど、私は三作目にしてようやく、この物語が、真介のリストラ業の話ではなく、様々な職種の人間模様の物語であるということに、今さらながら気付いた。
いやいや、前作の「借金取りの王子」から結構感動モノに仕上がっていたし、リストラされた人々が、なにを思い、どんな決断をして、再生していくのか。
その先導をしていくのが真介。

「ビューティフル・ドリーマー」 非常に印象の薄い物語だった。高学歴で、スキルも高い女性。人も羨む会社にいながらもなぜか長続きしない。いつも、自分の居場所を探しているような、どこにいてもどこか遠くを見ているような女性。

「やどかりの人生」 旅行代理店で、自分の能力を出し切らない男がいた。読んでる時は非常に面白かったのに、いざ終わってみると、思い出せない。

「みんなの力」 自動車ディーラーで、メカの腕はピカイチ。顧客の信頼も篤い宅間。
だがここでも人員削減のため、誰かが辞めなければならない。これはもう車好きの垣根氏の、入魂の作品って感じで、車の話が熱い熱い。
私は、ディーラー泣かせの、走ってくれればそれでいいっていう熱のこもってない客だけど、こればかりは仕方ないもんね。
ドライブは好きだけど、詳しいことはさっぱり。
車好きの者たちの物語。みんなで、一人の男の再生を後押しする。

「張り込み姫」 出版社の写真雑誌。文芸誌が売りだった会社に出来た写真雑誌部門。発行部数が落ち込み、廃刊が決まる。当然、人員は整理される。元々文芸誌志望だった恵は、上司の計らいで会社に残れることになったが、粘り強く続けていた仕事の中に、なにかを掴みとった恵の選んだ道は・・・。


正直、どれも印象薄かったかな。より一層、再生の人間物語の色が濃くなってきたので、陽子の存在いらないかも。

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2010年08月04日

ボーダー ヒートアイランドW 垣根涼介著。

≪★★★★≫

アキとカオルと柿沢と桃井に会えた〜!
もう二度とカオルとアキが会うことはないと思ってたのに。
しかもすっごいおまけつき!

数年前、裏金強奪をめぐって、裏世界に闘いを挑んだ若者がいた。それはプロの裏金強盗をも巻き込んでの、ヤクザへの殴りこみだった。
そしてその事件を機に、それぞれの道を歩むことを決めた若者たち。
アキは、決して戻れない裏の世界へ。
カオルは表の世界へ戻っていった・・・はずだった。

3作ぶりに(3作ぶりでいいのか?)カオルが戻ってきた。いや、戻ろうとしたわけじゃないけど、表の世界へ戻り、東大生となったカオルが、偶然自分たちの偽物がいることを知り、お灸をすえるために、アキらと共に一晩限りのワンナイトショーを行う。

そこには、垣根氏のデビュー作「午前三時のルースター」の少年がいた。カオルと慎一郎が出会うことにより、まったく別モノだった事件が今回の事件の保険になったりと、ファンからすると嬉しいおまけだった。
ただし、「ボーダー」という作品が、アキとカオルのその後を描くために「午前三時のルースター」をくっつけてみました〜、的な感じはしますが。
プロローグの直後、慎一郎の章なんだけど、すぐにあれ?って引っかかったんだよね。この人記憶にある〜って。
すぐに気づいた自分に、つかの間酔いしれた。

それにしても慎一郎の義妹の章は生意気〜!できれば今後、章とアキの物語も読んでみたいな。垣根氏ならやってくれそう。
一気に読んでしまった。



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2008年02月08日

借金取りの王子 垣根涼介著。

≪★★★☆≫
「君たちに明日はない」の続編が出るとはね〜。っていうか、続編で真介のむか〜〜しの女がまた出るかな、と思ったんだけど、すっかりもういいみたいだね、その過去は。
真介と陽子の時代なわけだ。二人の仲の進展と、真介がリストラ請負会社の仕事で出会う人々のそれぞれの人生模様(は大げさか?)。
時には涙あり、笑い(あったけな?)あり、感動ありで。

「二億円の女」はデパート業界。外商部で頑張っちゃう女の子と、やる気のないおじさん社員。それぞれの選んだ道。

「女難の相」は保険会社。決まったコースを歩んできた男が、なぜ外れた道と分かっていて異動願いを出したのか。なにかもっと大きな原因があるかと思ったら、違った。少し気楽に行こうよ、って感じで救われた。

「借金取りの王子」は表題作で、消費者金融。さすが、表題作だけあって、一番読み応えがあった。で、泣いてしまったよ。すっごいイケメンの店長。この店長の、入社以降にどんな出会いがあり、なにがあったのか。そして、今は?おお〜、そういう展開か!と、新入社員の頃に憧れてた当時の店長、これには泣かされたぞ。

「山里の娘」は不動産会社が経営する旅館。辞めさせることだけが真介の仕事じゃないんだね。

「人にやさしく」は、その陽子の事務局へ真介がスタッフを派遣する。
これって恋人同士だから、ここまで要望に応えられるんだよね〜、よくまあ気が利くこと。

ところどころ出てくる、陽子との仲は、なんか今作に限ってはちょっと邪魔。多分に、男性から見た理想の女性像が陽子に入ってる気がするよ。陽子に近い年齢だけど、ちょっと褒めすぎじゃないの〜?

posted by じゃじゃまま at 13:40| Comment(10) | TrackBack(8) | 垣根涼介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月03日

真夏の島に咲く花は 垣根涼介著。

≪★★≫
やっと読み終わったよ〜。前半はきつかった。
フィジーという島になにかを見つけにやってきたアコ。ワーキングホリデーで滞在しながらフィジアンのチョネと付き合っている。チョネと、インド系フィジアンのサティー、そしてその恋人である日本人のヨシは同級生。
ヨシは両親と共に8年前フィジーに移住してきて日本料理店を営んでいる。

この3人とアコのある一時期の青春?のお話なんだけど、前半はなにがいいたいのか、一体誰が主役なのか見えてこなくて、アコかと思えば、結局はヨシとサティーとチョネの三角関係の話だったんだよね。そこにアコがちょこんとお邪魔してるだけ。フィジーという国で起きたクーデター、確かにクーデターで運命の歯車は回り始めたけど、クーデターそのものとストーリーはなんとなくかけ離れてるような気もするんだよね。クーデターを持ってこなくてもこの結末に持っていけたんじゃないかな。
設定に無理を感じたことが、きついと感じた一つ目の理由。

そしてフィジーという国に行ったことも興味もないので、フィジアンというのがまず想像できない。アロハ〜みたいなハワイアンを想像してるんだけど、アコとサティーが惚れたチョネ、どうしても馴染めないんだよね。
垣根氏の作品は南米が多くて、本人も紀行エッセイを書いてるらしいから南国が好きなんだろうな。南米は今までも作品で出てきたので分かるんだけど、フィジーという国はどうなんだろう。
この作品で、フィジーという国、人柄、説明くさいのが目立って、作家が惚れて惚れて書き込んだ舞台というようには感じられなかったんだけど。
通り一遍調べたとおりに書いてみました、という風に感じたのは、まったくの私の気のせいかもしれなくて、本人が見たら怒っちゃうかも?
でもな〜んかすべてが説明くさいのが、きつかった二つ目の理由。

でもサティーとチョネ、ヨシの三角関係は面白かった。特にヨシの自分で自分の首を絞めちゃう辺りなんか。

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2006年07月22日

ゆりかごで眠れ 垣根涼介著。

≪★★★≫
コロンビアマフィアで組織のリーダーに立つ日本人のリキ。
コロンビア移民の日本人の間に生まれたリキ。両親をコロンビアのゲリラに殺され、その後女手一つで3人の子供を育て、末息子をリキの両親と同じようにゲリラに殺されたベロニカに引き取られ、育つ。

コロンビアでは貧しい町で生まれ育った者は、麻薬やマフィアの手先で生計を立てるしかなく、兄と慕うホルヘもギャング団に。
ベロニカは、リキは決してこのままでは終わらない、リキは頭がいいのだからここから抜け出し、立派になって欲しいと願うが、ホルヘとベロニカがギャング同士の抗争の犠牲になると、そのまま自分がトップに立つ。

とまあ、ここまでは垣根氏が書きそうなありがちな展開で、リキはなかなかハンサムで、冷静で残酷ででも完璧で、どんな人をも惹きつけてしまう。
元刑事の妙子、リキと接点が出来た時点で、リキの愛人にでもなるんだろうな。でも妙子には同性から好かれる要素がないのか、どうも最初から好きになれなかったんだよね。
もしかして垣根氏も書いててあまり好きなキャラじゃなかったのか、あえてそういう設定にしたのか、正直色物的な添え方で存在自体はどうでもよかったかも。

予想できそうな展開、と思いつつ、用意されていたラストは、切なかった。
陽気なラストを期待していたのから。カーサと妙子の対決も意外で新鮮だったかも。カーサは将来リキの隣に立ったかも、妙子に勝ったかも。見れないのが残念。

posted by じゃじゃまま at 22:43| Comment(6) | TrackBack(4) | 垣根涼介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月15日

クレイジーへヴン 垣根涼介著。

垣根氏ばっか読んでて、熱心なファンって思われても微妙な心境ですが、おいおい、主婦であり、二児の母である私がこんなの読んでていいのか?

どうしてこうハードボイルド作家って、狂気の世界を書くか、非常にロマンチストかに分かれるんだろう。
垣根氏は、前者だ。頭のいい人って、こういう狂った感覚に興味があるのか、勉強ができるとそのはけ口がクレイジーな世界に向くのだろうか、と勘繰りたくなる。

恭一は上司を殴って会社を辞めた後、地方の旅行会社に勤務している。でもいったんスイッチが入ると、外国人犯罪者が相手だろうがヤクザ相手だろうが執念深く、決して引かない。でもそれって、すごい危険だし、普通の感覚じゃないよね。
そして、恭一がなんとなく惹かれちゃう女、圭子。売春していてヤクザに引っ掛かり、殴られながらも決して逃げられない女。
この二人が、圭子の情夫市原を殺しちゃって、恭一は圭子のことを頭の悪い女だと思いながらも、結構自分だって似たようなもんじゃないかと私は思う。
頭に血が上って市原を殺しちゃったり、ヤクザの事務所に盗みに入ったり、なんていうか、やってることは圭子同様頭良くないって。

ただ恭一はそれがいつもうまくいくから、なんとなく格好いいんだけどね。

今私の手元には垣根氏の新作「ゆりかごで眠れ」があるんだけど、これはお下品なクレイジーさか、硬派なクレイジーさか、どっちなんだろう。
posted by じゃじゃまま at 22:36| Comment(2) | TrackBack(1) | 垣根涼介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月08日

ギャングスター・レッスン 垣根涼介著。

≪★★★≫

「サウタージ」の前にすでに「ヒートアイランド」の続編が存在していた!
やはり途中からファンになった作家の作品は、出版順に読まないとこういうことになっちゃうのね。

う〜ん、「サウタージ」への助走的な内容?だから、どうにもこうにも乗れなかったな〜。それに垣根氏って、かなり車マニアだよね〜、ハードボイルド書く人ってみんなそうだけど、銃器も大好き。
その辺の描写にこだわってるから、たいして興味のない私にとっては、非常にどうでもいいことばかり。
車がどうとか、銃がこうだとか、そんなことよりも早いとこハラハラドキドキの駆け引き、強奪、アクションやっとくれ。

「君たちに明日はない」は好きだけど、ハードボイルド系は、垣根氏、馳星周寄りになりそうでちょっと心配。
posted by じゃじゃまま at 10:40| Comment(4) | TrackBack(4) | 垣根涼介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

ワイルド・ソウル 垣根涼介著。

う〜〜、野生の魂???そのまんまで、熱い!熱すぎる!!!!
ブラジル移民たちの苦悩(なんてもんじゃないね!本当、絶望の連続の生と死を懸けての闘い!!)は読んでいて胸に詰まるものもあり、実際日系ブラジル人の知り合いがいるので、ああ、そうか、彼女たちの親はこんなに苦労したのか!とその過酷さ、生き抜いてきた人生に尊敬すら感じたけど、小説の中のケイや松尾たち、熱すぎる!

いや、ケイや松尾が熱いんじゃないね、垣根氏が熱いんだよ。事件そのものや移民たちの過酷さ、外務省の罪は分かる、それ自体はいいんだけど、マシンガンだかなんだかや、車の説明だとか、なんか垣根氏の知識がほとばしっちゃって、そういうのまったく興味のない私には熱すぎた。

物語の展開だけが知りたかったから、車やマシンガンの描写になると飛ばしちゃったよ。

垣根氏って好きなんだろうね〜。そういえばこの間読んだ「午前三時のルースター」でも車出てきたね〜。
作家は作品書きながらどうしても自分の嗜好が出ちゃうんだろうけど、読まされる読者はちと困っちゃう。特にど素人の女性には、ね。

そうそう、内容だよね。うん、もっとシリアスで真面目な??物語かと思ったら、どうも垣根氏の作品って悪者になりきれない??殺人があるわけじゃなく、いい奴は逃げ切り、嫌な奴はくたばる、きっと垣根氏はいい人なんだろうね〜。

でも山本さんだけが・・・う〜、切なかったよ。



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午前三時のルースター 垣根涼介著。

≪★★★☆≫

垣根氏のデビュー作になるのか。
すっごい読みやすかった、そしてすぐに引き込まれた。
少年の父に一体なにが起こったのか。4年前失踪して、当時発見された血まみれの上着。
ところが3年後、父親の姿が偶然テレビに。

そりゃあ、もう一体なにが起こったのか興味津々、知りたくて知りたくて堪らない。実の子供じゃなくたって、ベトナム行きに同行したくなるかも。

だけどだんだん、なんとなく寂しい方向に・・・ああいうのって男だから、父親だからできることなのかな。
これが母親なら、やっぱり出来ない。(たぶん私には)

結構クールな書き手なんだな〜とつくづく実感。メイとのことも、あっさりした別れだったし、少年と父との訣別も残酷なまでにクール。
まだ素人時代の作品だから??読者に媚がなくて、その変に甘さがないところが逆によかったかも。

それにしても無知な私は、タイトル、てっきり午前三時だから、どっかの高速でも走ってる車のことかと思った。


posted by じゃじゃまま at 21:34| Comment(12) | TrackBack(5) | 垣根涼介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

君たちに明日はない 垣根涼介著。

≪★★★≫
軽い短編かと思ったら、軽いは軽いだけど、ちょっと真介いい男すぎませんかね。
さすが男性作家というか、女性も格好よすぎ。41歳で、なかなかそういい女はいないと思うんだけど、なんか陽子を見ていると、ああ、男性が書くキャリアウーマン像だな〜と。

結局真介も陽子も美男美女、いい男といい女、なわけね。しかも仕事もバリバリできちゃう。

それにしてもどうして男性作家が書く女性って、こうも格好いいんでしょうね〜、欠点さえも欠点らしくないし。

ま、それはおいといて、首きり専門の会社、リストラ勧告するのに外注するんだね〜、そういう発想はさすがになかったかも。実際、あるんだろうか、ありそうだけど、余計金かかりそうだ。
ま、これもおいといて、クビに持っていくための理屈がすごくて、おお!!と感心していた。全編を通して、社会の厳しさを、経済小説のちょっと軽い版で書いてあるのかな〜と思ったら、軸は真介と陽子の恋愛小説?

だけどラストの真介が昔惚れてた女の登場は、格好よかったな〜。例に洩れず格好よすぎだけど。

これで終わって欲しくないな〜。できれば、真介と昔の女のその後、というか、一体彼女がどうして去ったのか、是非知りたいかも。

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2006年01月25日

サウダージ 垣根涼介著。

≪★★★≫

ほ〜、なるほど。
私がこの間読んだ本の続編は存在していたわけね。

アキのその後。桃井と柿沢も健在だった。折田のおっさんもちょこっと出てきてお元気そうでなにより。
ちょっと寂しかったのはカオルがまったく出てこなかった。この先カオルのその後を書いた話が出てくるのかな。

「ヒートアイランド」のアキと「サウダージ」のアキは別人だ。今作は、なんだか可愛い坊やになっちゃってて、あの雅のヘッドで肩で風切ってた男とは思えない。
年上の彼女には、メロメロタジタジだし、え〜〜〜。

桃井さんもなんだかそんなアキを可愛がってて、しかもお茶目だし。いっつもからかってくる辺り。柿沢の過去も知ってみたいし、シリーズものになったらいいかも。

日系ブラジル人耕一とDDのシーンは、えげつなくて嫌だったけどね。思わず馳星周読んでるのかと思っちゃった。
今回は、裏金強奪云々よりも、その辺の人間関係の描写に力入れたんですかね。

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ヒートアイランド 垣根涼介著。

≪★★★★≫

やくざから奪った裏金をめぐって、渋谷のチーマーと、プロの裏金強奪集団との攻防戦。
すっごいですよ〜。
出てくる登場人物がやたらとみんな強い!「雅」のヘッドのアキはもちろん、強奪集団のおっさんたち30代越えてるのに、これまたチーマーややくざ相手でも全然負けない。「雅」のメンバーはただでさえ強いのに、それ以上ってすごくないですかね?

ただ登場人物どれもこれも女性のハートをキャッチするなにかが足りない。たとえば〜、大沢氏の「新宿鮫」の鮫島のような、たぶん、人物描写でイメージする風体がハードボイルドファンの女の心に合ってないのかもね。そこんとこは垣根氏にお願いして、もっと素敵なおじさま書いてって。

主要人物たくさんいあるわりには、詳細が中途半端。カオルの過去は書かれてるのにアキについてはないし、多分貧しいであろうお母さんは出てきたけど、だからカオルがメインなのかと思いきや引き抜かれたのはアキだし。折田のおじさんも、冴えない電気屋に書かれちゃって、いい人だったのに。どうせ書くなら全員少しずつ書けばいいのに。

一番突っ込んだのは、やくざの経営するカジノバーから奪ったお金。当然やくざが追うんだけど、早い段階でどうやら強奪メンバーの一人(折田のおじさんなんだけど)がバーでチーマーに襲われてお金を奪われたらしいって知るんだよね。
警察には届けてないけど、でもたぶんどこかの病院にいるのは想像つくと思うんだ。お金も大事だけど、やくざからすれば犯人を探し出すのもめちゃめちゃ大事だと思うんだよね〜〜〜。だったら病院片っ端から探してけが人探せば、おのずとカジノバーの犯人たちにたどり着くわけで・・・それをわざわざ遠回りして、チーマーだの、敵対するやくざだの、いっぱい出てきてすごい騒ぎ。ま、そうならないとお話にならないわけだけど。
ちょっと気になっっちゃった。
posted by じゃじゃまま at 20:32| Comment(6) | TrackBack(2) | 垣根涼介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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