2012年08月30日

花酔ひ 村山由佳著。

《★★★》


四人の男女の純愛か、それとも異常?平穏な生活を送っていた二組の夫婦の愛の覚醒の物語。
浅草の老舗呉服屋の一人娘麻子。会社を辞め、家業を手伝いながら新たな店を立ち上げる麻子は、一本の電話の声の主に、興味をそそられる。

子供を作ろうともしない妻のお気に入りに日常や、妻の実家の選民意識にひっそりと疎外感と嫌悪感を抱きつつ、おとなしい夫の仮面を被っている誠司。ある日玄関に揃えてあったヒールの高い靴に欲情し、持ち主の艶然とした微笑に一瞬にして奴隷になった。

幼い頃の叔父の虐待により、支配欲に目覚めてしまった千桜。その本性を隠し、葬儀屋の社長令嬢として生きてきた。仮面の下に野心を隠した男を夫とし、その夫は妻の本性に気付かぬまま、二人の性生活はすれ違っている。千桜の求める下僕な男は麻子の夫誠司だった。

野心家の正隆はまんまと千桜の婿養子になったが、千桜との性生活にはずれを感じている。
そんなある日、東京から着物の買い付けにやって来た麻子と出会い、恋に落ちてしまう。二人は生まれてはじめて激しく互いを求め合い、結ばれた。

麻子の祖母は言う。
出会うべく人にしか出会わない。だけど、神様は時に間違えてしまう。

組み合わせを?と聞く麻子に対し、「出会う順番をだよ」。

この物語は、出会う順番と組み合わせを間違えた男女の話だけど、でも誰にも賛成できない。
麻子のかまととぶりは嫌だね〜。誠司が朝顔市だっけ?付き合いながら「子供も作ろうともせず、毎年の恒例にしてはしゃぐ」麻子に対してイライラっと来てるのには共感できちゃう。
なんだろう、同性に嫌われるタイプかも。

その誠司はマゾで変態じゃん。千桜に溺れてしまったあの後、どうなるんだろう?
ダブル不倫に気付かないのは麻子だけで、我を見失った誠司があの後千桜を忘れられるとは思えないんだけど。意識が戻ったら是非誠司には千桜を追っていって欲しい。
なんにも気付かない麻子に気付かせてあげたい。

千桜も自分の求めていた性癖を満足させてくれる誠司を手放して欲しくない気がする。ただ千桜と正隆は互いの欲しい表の顔を成り立たせてくれる理想の相手だから別れないよね〜。
だから誠司は愛人ってことで。
誠司の鬱々とした煮え切らないところが鬱陶しいので、そう、このまま駄目になって欲しかったりする。

で、おぼこな麻子にもガツンと現実見させてあげたいし。

嫌いな麻子だけど、麻子と正隆のカップルが一番実は理想的。
とはいえ、応援してるわけではないけど、番外編でその後が読みたい。
だけど、結局正隆は千桜を救うために麻子の元を去ったというのが憎いね。

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2010年12月09日

アダルト・エデュケーション 村山由佳著。

≪★★★≫

男と女の、大人の物語。

「あと少しの忍耐」・・・ 恋人と安定した関係なのに、どこか満たされてないと感じる美羽。
高校の同窓会で、特別な関係だったオカザキと再会した美羽は、我慢はお互い様だと言われる。

「それでも前へ進め」・・・ 仕事では男にも女にも厳しい陽子。そんな陽子に甘え惚れてた隆一だったが、所詮男は庇護したくなる「可愛げ」のある女に戻る。

「あなたのための秘密」・・・ 自分の性的嗜好を恋人に知られないために、他の男と会う。それなのに、その恋人の性的嗜好を知ってしまった私は、二重の秘密を抱えることになった。

「最後の一線」・・・ 弟を愛するがゆえに、弟の恋人を寝取った姉。女しか愛せないのに、抱かれたい男は弟だけ。三人で一つなのだ。

「これでおあいこ」・・・ 昔、従兄弟が自慰にふけるところを見てしまった志保だったが、今度は見られてしまった。これでおあいことなるのか。

「言葉はいらない」・・・ 姉のものであったユーリだが、姉が海外へ行ってしまい、ユーリと共に取り残されてしまった。いつしか信頼と愛情で結ばれたが、ユーリは突然いなくなってしまった。

「不死鳥のはばたき」・・・ 一人前の女優に育て上げてくれた滝田から巣立つために、そして自分の道を突き進むために、刺青を入れた。そして、痛みに耐える瞬間すら官能的。

「聖夜の指先」・・・ クズ野郎に騙されアダルトビデオに出たナオ。せっかくの聖夜なのに、デートは台無し。でもようやくクズをクズと認識できた夜、心配してくれた美容師さんがシャンプーしてくれた。その指先は、さっき起こった悪夢さえ忘れさせてくれる。

「哀しい生きもの」・・・ 店に来た官能小説家と関係を持ったママ。すべてが小説の材料のためで、若い編集者との三角関係さえも、恐らくそうなのだろう。

「ひとりの時間」・・・ 一緒に暮らし始めてから、うまくいかなくなった。太ったから抱く気がしないと言われても、一人になりたいと思うことがあっても、それでも好きだから失えない。
切ない。

「罪の効用」・・・ 母の妹である玲ちゃんは夫だけでは満足できずに、秘密を持っている。常々秘密を持つことを勧められていた菜々だが、本音は玲ちゃんの夫が欲しい。玲ちゃんの留守中、菜々はある行動に出る。

「誰も知らない私」・・・ 心療内科の担当医師と患者として出会った二人だが、治った彼はアダルトビデオの男優だけでなくセクシャル・マッサージ師になった。ほのかな想いを抱きながらも割り切り、仕事として抱いてもらう。

個人的には、「罪の効用」と「誰も知らない私」が好きかな。おばの夫が好きで、おばの留守中、頭に手を乗せられた時に確信しちゃったところとか、参ったな、ちくしょうなんて言いながらそんな風になっちゃうところが、もえ〜〜〜って感じ??
「誰も知らない私」も、冴子は真崎と距離を置こうとするけど、なんとなく真崎は冴子のこと好きなんじゃないかな〜って思えて、好き。

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2010年09月03日

遥かなる水の音 村山由佳著。

≪★★★☆≫

<お願いがあるんだ。僕が死んだら、その灰をサハラにまいてくれないかな>
周(アマネ)の願いを叶えるため、姉の緋沙子、ジャン=クロード、中学時代からの親友、結衣と浩介はパリからモロッコへと旅立つ。
物語は、周の死後、周、緋沙子、ジャン=クロード、浩介、結衣、そしてガイドサイードの視線で、周が好きだったモロッコの景色や音や匂いと共に、それぞれの心の内が語られていく。そして明らかになるもの、変わっていくもの・・・。

緋沙子はパリで恋人と暮らすが、フランスでは婚姻制度にとらわれない人も多く、緋沙子の恋人もそうであった。紙切れ一枚で義務のような生活をしたくない恋人と、それでも愛を形で願う緋沙子。愛してるのに寂しさが伴う恋人とつかの間離れ、最愛の弟周のために、周の大切な人たちと、彼の遺灰をサハラにまくために、旅に出る。

ジャン=クロードは、同性愛者である。アマネとは互いが抱かれる側であり、肉体関係を持たないが、最愛の人である。アマネが病に倒れてからもずっと傍で付き添い、最期の時までアマネの理解者であり、母親のようであり、大きな大きな愛情で彼を包んだ。
皮肉屋で、旅の間中一言付け足すが、4人の中で一番大きな悲しみを堪えていたのはジャン=クロードだ。

結衣は、浩介と共に雑貨店を経営している。昔はここに周がいた。だが周は菓子職人になるためにパリへ行ってしまった。ただの共同経営者であった浩介と一夜を共にしてしまい、男としての浩介を受け入れたいが、そんな自分を認める勇気がないために、二人の関係はぎくしゃくしている。モロッコへ向かう途中、浩介の乗った飛行機が行方不明になる事故に遭遇し、ようやく結衣は自分の気持ちに正直になれる。

浩介、周の愛したただ一人の男。周は一途に、ひたすらに愛し続け、そして隠し続けた想い。
ところどころに映画【シェルタリング・スカイ】のシーンや作者のことに触れ、それがますます物語の雰囲気を作り上げてた。

そうそう!私はこの映画を観てたんだよ。そうそう!なんかすごく悲しい気持ちで見終わった後歩いてたの覚えてる。
まるで救いがなくて、なんなんだよ、これは!って戸惑ったの覚えてる。
いまいち理解できなかった当時ではあるけど、愛する人を送るため、遠い地までやって来た彼らの物語を読んで、もう一度【シェルタリング・スカイ】が観たくなった。

周の好きだったモロッコを辿り、サハラ砂漠へと向かうなんて、そこまでしてくれるなんて、どれだけ周はみんなから愛されていたのだろう。
タイトルの通り、遥かなる水の音を感じさせる物語だった。

posted by じゃじゃまま at 23:42| 神奈川 | Comment(2) | TrackBack(0) | 村山由佳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月06日

ダブル・ファンタジー 村山由佳著。

≪★★★≫
人気脚本家、高遠奈津は、正真正銘の女だ。どうしようもなく淫乱でもある。
夫ではダメで、強く深く愛した男からは疎んじられ捨てられ、傷ついた心と体を癒してくれた先輩、だけど、少しの不在にも耐えられず、積極的に近づいてきた大林と結ばれる奈津。

奈津は、いったいどこまで恋愛をしていくのだろう。
きっといつまでも、一人の男で安住することはなく、愛しては傷つき、また愛されては一人になってを繰り返していくんだろうな。

正直、自分には決してできないけど、どこまでも女でいる奈津、果てには孤独しかないような奈津の生き方って、羨ましくも思う。じゃ、替わる?と言われてもお断りだけど。
官能小説っていうけど、そんな風には思わなかったな〜。
そして、決して嫌いじゃないかも。

posted by じゃじゃまま at 21:56| ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | 村山由佳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月23日

永遠。 村山由佳著。

物語は、亡き母のかつての恋人、そして19年間その消息を知らなかった父の傍で、決して娘です、と明かすことのないまま2年間父の働く大学で生徒として見つめてきた弥生が、卒業式を終え、町へ帰る日のお話。その見つめ続けてきた2年間の日々の話じゃなくて、その日、幼なじみの哲也が弥生を迎えにやって来る。待ち合わせの水族館で、二人の会話や哲也の回想から、弥生の境遇、父とのことが分かるって寸法。

ものの30分ほどで読み終えてしまいました。その前に恩田作品「中庭の出来事」で充分手こずっていたので、これはもう素直に簡単に。映画「卒業」のコラボレーションとして生まれた作品、って書いてあるけど、コラボレーションってなんぞや?の世界。
どうも映画が先で、それ見ながら「永遠。」を書いたっぽいんだけど。
映画を見ていないので、映画ではどんな風に弥生や真山悟が描かれていたのか分からないけど、弥生像、真山像、はたまた映画ではまったく出てこなかったという哲也像は、壊されていないだろうか。

多分大丈夫なのだろう。小説「永遠。」は短いお話だけど、そこから充分弥生の芯の強さ、真山が弥生の母葉月を愛していたか、そして哲也がどれほど弥生を大事に思っているかが伝わってきたので、小説がこれだけ透き通ってるのだから、文句はないだろうな、と思った。
サイドストーリーは、読者や観客にとって思いがけないプレゼントだよね。

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2007年03月11日

僕らの夏 村山由佳著。

≪★★☆≫

おいしいコーヒーのいれ方(2)をようやく読みました。
ひゃ〜、赤面ものですね。でも勝利が惚れに惚れぬいているかれんが、23歳にしてはちょっと嫌味なくらいじゃないですか?あの鈍感ぶり。
そんな天然いますかね??もし実在するって言うなら、それはもう計算ずくの嫌な女だって。

きれいで、ナイスボディで、性格もよくて、同性異性問わず人気者なんて、いないいない!いや、たとえばタレントでも、夏川純ちゃん(今どういうわけかそれしか思い浮かばない)は顔は可愛いし、性格もよさそうに見えるけど、でもね〜、「私って可愛い。うふっ」って思ってそうだし、かれんみたいに謙虚な奴なんていないって。

やっと(2)を読んだわりには、全然話進んでないし。この調子で10年以上続いてるわけね、このシリーズ。
お互い好きなんだからさ〜。いいじゃん。
そうだ!勝利がかれんの写真とグラビアくっつけて怒っちゃったけど、23歳にもなってやめてくれる〜、カマトト。(死語!)

ま、なんだかんだいいつつ付き合いますよ、この二人に。
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2007年01月14日

へヴンリー・ブルー 村山由佳著。

≪★★★≫

これは「天使の梯子」のおさらいか?
村山氏がいかに「天使の卵」を大切に思っているか、が分かる。夏姫と歩太、春妃、この3人の物語、何度でも何度でも書きたいくらい大切なんだな、きっと。
私は「天使の梯子」から読んでしまったので、結構順番って大事でね、先に夏姫とフルチンを知ってしまったので、応援したくなった。この二人の恋を。歩太の存在が逆に不思議で、邪魔にさえ感じてしまった。

後から「天使の卵」を読んで、先に夏姫を知ってたし、歩太と春妃のことはもうすでに過去のことだったから、私にとっては夏姫とフルチンが主役だった。
高校生くらいの二人なんて、妙に現実味なくてね〜。

でも「ヘヴンリー・ブルー」で、夏姫がどれくらい歩太のことを思っていたのか、そして後悔してるのか。歩太にとって春妃がすべてだったのか、改めて?というかようやく合点がいった、感じ。
1時間くらいでさらっと読めてしまったし、これといってなにがあるわけではないけど、私が読んで思ってる以上に、この物語は大切にしなくちゃいけないんだな、きっと。


posted by じゃじゃまま at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 村山由佳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月13日

キスまでの距離 村山由佳著。

やっと着手いたしました!シリーズ9だか10作目?くらいまで出ていそうなので、順番に読みたかったし、読むなら続けてがよかったので時期を待っていました。
表紙を見た瞬間、コミックかよ!とげんなりしましたが、よかったよかった、小説だった。コミックちっくじゃないのもあるのか分からなかったけど。ま、ティーンエイジャー向けの感は否めませんが、いいんじゃないの〜。ちょっと気障で照れる部分もかなり多かったけど、勝利君とかれんちゃんの今後、いいね〜。
高校生と新任教師。これから絶対波乱万丈だよね〜。

勝利君の方だって、今後の大学?生活で女の子とも出会うだろうし、そろそろお年頃のかれんちゃんだって、美人だもの(これで性格もかなりいいときてる)、わんさか男は寄ってきそう。そのたびに、二人の絆が試されたりして、勝手な想像だけど、そうなりそうな気もするし(それが普通は定番だよね!)やきもきさせてくれそうで。
いやだよ、シリーズ後半で、別々の人と歩むこと決めました!ってのも。
ああ、早く次読まなくちゃ。
読みやすくて、ティーンエイジャーではないけど、頬がにんまりと緩んでしまう。



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2006年12月03日

もう一度デジャヴ 村山由佳著。

コミックと小説の合体版だった。ちょっとびっくりというか、ちょっと苦手な絵で、読む気が失せてしまった。といいつつ、コミックの方を読んで、小説の方・・・省略したくなった。
絵が苦手なら、小説の方を読むべきだったんだけど、ああ、どれもこれも失敗。

でもとりあえず目は通したからいいかな?微妙な感想しか書けない。
なんか子どもの頃読んだ、里中満知子の「オーロラの彼方」だったっけ???なんだっけ?あれも何千年の間生まれ変わりすれ違い続け、結ばれない二人を描いたものだったけど、あれを思い出した。

以前読んだ他の著書で「ソウルメイト」というのがあって、そこに「結ばれる人と今世ですれ違ってしまうと次に生まれ変わり出会うまでは今世では無理。でも一度出会い結ばれれば離れることはない」って一説があって、「もう一度デジャヴ」は、それを思い出した。
「キスまでの距離」も嫌な感じの表紙でコミックかとビクビクしたら、一応小説だった。まだ読んでないけど、あのシリーズはコミック?小説?両方あるのか?予約する時は気をつけねば。





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2006年06月06日

星々の舟 村山由佳著。

今私が感じてることを表現するのに、上手な言葉浮かばないんだけど、今まで村山氏の作品ってどこか軽い感じのしか読んだことなかったので、ああ、重厚な一冊というか、人間の悲しさとか人生の厚み???をじ〜〜んって感じた作品でした。

ある家族のそれぞれの人生のお話で、兄妹なのにそうとは知らずに愛し合う二人。どうなんだろう?暁はやはりまだ紗恵のこと忘れてないでしょう?
紗恵は、思わず電話をかけてしまって、暁が呟いた名前を聞いて(終わった)と思ってしまって、それっきり?
許されない関係だろうと、私は二人を寄り添わせてあげたい。

宮本輝氏の作品には、そのテーマの作品あったよね。そして二人は愛し合ったよね?なら、いいじゃん、暁と紗恵も・・・って別の話と分かっていながら、二人を寄り添わせてあげたい気持ちに変わりはない。

長兄の貢も、末っ子の美希も正直、あまり興味はなかったかな。貢は本当にいつも鈍感だし。
しいていうなら、貢の娘聡美の苦しい初恋の決着を見届けたいかも。

父の昔の忘れられない時代、まさかこんなところで、戦争について考えちゃうとは思わなかった。そんな心構えがまったくなかったから、本当ひょっこり出会ってしまった感じ。

韓国や中国の対日本への反発、知ってはいたし、そうだよね〜とは思いながらも正直、しつこいな〜って思ってた部分もあった。でもね、最後の父の章で、初めて(今まで散々小説や映画を見てその都度考えてはいたけど)共感できたというか。あれほど日本戦にムキになることがすんなりと理解できてしまった。特に韓国はすごいよね。でも、仕方ないね、過去がある限り、もうそれは変えられない国民感情、と、まさかこの作品でそんな思いにたどり着くとは。

父、重之が謝りたい人間はもうみんないない、妻や前妻、そして・・・って聡美の章で最後に呟くんだけど、それがすごく後を引いて、とても気になった。
それが最後の章で明らかになるんだけど、対日本戦になるとムキになる国民性を身近に共感してしまった。

おいおい、そんな話じゃなくて、暁と紗恵、そして家族の話だったのにって自分でもびっくり。暁と紗恵の未来なんて吹っ飛んだくらい、重之の章はズシンときた。

posted by じゃじゃまま at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 村山由佳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月08日

すべての雲は銀の・・・ 村山由佳著。

どなたかが「すべての雲は銀の・・・」を薦めていたので読んでみました。
村山氏の作品は、「天使の梯子」「天使の卵」以外では初めて。

こういう青春小説っていいですよね。最近は大体はミステリ・サスペンスなどが多いため、とっても新鮮。
そういえば十数年前は青春小説ばかりだったな〜。古くはコバルト文庫(本当に青春小説ばかりだった、佐伯千秋氏とか、ああ、「ヘッドフォンララバイ」も読んだな〜)、最後に読んだのって誰のだったでしょう、ってくらい。

恋人を兄に取られちゃった祐介が、悪友タカハシに勧められ長野の宿で働き始める。そこで出会う様々な人たちと、悩み、励ましあい、一緒に成長したり、教えられる姿は本当にこっちまで一緒に過ごしてるかのよう。
でもずっとずっと祐介が恋人だった由美子と兄の裏切りを許せなかったのは、すっごく分かる。
宿「かむなび」の瞳子や園主、茂市や源さん、桜ちゃんに花綾、美里たちと溶け込んで新しい自分を取り戻せば取り戻すほど、私は由美子とお兄さんが許せなかった。

どうしてタカハシは由美子の肩を持つのだろう。お兄さんが「由美子に一言許すと言ってやってくれ」と言いにきたときは、祐介は彼なりに一生懸命罵倒していたけど、甘い甘い。
心変わりなんてことはよくあることだし、他の小説読んでてもここまで由美子たちの立場の人間を卑劣だとは思わないんだけど、この作品に限り由美子、お兄さん、私は大嫌いだな。

結局ついぞどういう理由で由美子が心変わりしたのかも語られることなく、当の由美子自身さえ人の話の上でしか登場しないし、だからこそ裏切りの正当性を聞くことなかったから、最後まで私は祐介の味方だったのかも。

お兄さんも本当嫌な奴!普通、結婚なんてできないと思うけど。祐介の親も、やっぱり嫌だと思うな。この間まで弟の恋人だった女が、いきなり兄の恋人になって孫まで、なんて。姑の立場だったら好きになれない、いや、同じ女として警戒するな。

由美子の口から言い訳を聞いてみたかった。ああ、本当に腹が立つ!自分で裏切っておいて、ストレスから切迫流産?悪くて悪くて、だから祐介に許して欲しい????そう思うなら結婚なんてできないはずなんだけどね、私の経験上????

「かむなび」での日々が温かなものだっただけに、由美子のことが出てくるシーンは、いつも不愉快モード全開。
ああ、青春小説でこんなに盛り上がる自分が、懐かしく心地いいかも。

posted by じゃじゃまま at 22:08| Comment(2) | TrackBack(3) | 村山由佳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月21日

天使の卵 村山由佳著。

切ない恋愛小説だな。昔はこの手の小説苦しくて読めなかった。
若かったんだな〜。十数年前の玉岡かおる氏もこんなの書いてなかったっけ。
で、「天使の梯子」を先に読んでしまっていたため、ああ、なるほどね!そういうことね!と思い出すのに苦労しました。
夏姫が年下の男に恋されるのと、お姉さんがいたことは覚えていたんだけど、年下の男(慎一ですね)と「天使の卵」の歩太が混同しちゃって、あれ?なんだっけって・・・。

「天使の梯子」にも歩太出てたよね、看板かなにかに絵を描く仕事で、慎一がヤキモキするんだったっけ。
歩太と夏姫、そして春妃にはこういう過去があったのか。そして十年後があんな素敵な小説になるなんて、私はとても素晴らしいと思う。
「天使の卵」も「天使の梯子」も大好きです。

人を好きになるって、こんなにも力強くて、脆くて、苦しいものだなんて、もうすっかり忘れていたよ。
ちょっとあのラストはないんじゃないの?医者のミスっていうのは、ちょっとね〜〜〜。
でも歩太と春妃には、そういう未来しか待ってなかったんだな、と仕方ないと納得する部分もある。もう一度、十年後の彼らを読んでみようと思いました。

「天使の卵」か「梯子」かどっちの感想だったのだろうか。(苦笑)


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posted by じゃじゃまま at 20:43| Comment(2) | TrackBack(2) | 村山由佳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

天使の梯子 村山由佳著。

きれいなお話書くんですね、村山氏って。
初めてかな、読んだの。
実際にはこんなきれいな恋愛なんてそうそうないんだろうけど、なんだかきれいだな〜って感じた。
江國さんとはまた全然違ったきれいな・・・きれいなというのは、実際にはなさそうな、男女の本当の心なんてもっとドロドロしてて人間臭いのに、そういうのがないから、きれいな、ってことなんだけど。

フルチンの夏姫に寄せる思い、夏姫との出来事、慎一とおばあちゃんの暮らし、慎一の生い立ち、どれもこれも、たぶんいいところ、時間しか書いてないからかもしれない。
もっと慎一の、バイトしてない時間、数少ない友人との関わり、もっとそんなものがあるはずだけど、夏姫との時間と、おばあちゃんとの思い出ばかりだからきれいなんだろうな。

おばあちゃんとの最期の出来事なんて、もう泣いちゃったよ。

慎一の生い立ちも、これで彼がハンパじゃなくぐれちゃって、残酷な青年になっていたらまた別なんだろうけど、真っ直ぐに、あんな生い立ちのわりには生きていたから・・・きれいなんだよね。

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posted by じゃじゃまま at 21:16| Comment(2) | TrackBack(6) | 村山由佳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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