2015年05月06日

ウエンカムイの爪 熊谷達也著。

《★★★》

一気に読んでしまった。
一番読みたかった「ウエンカムイの爪」。
そう、私はヒグマの食害事件、怖いんだけど、興味があるのだ。北海道での事件やワンダーフォーゲル部の事件、数年前に起きた東北の熊が脱走して職員の女性が被害に遭った事件など。
それこそリアル鬼ごっこ。

ヒグマに遭遇して、危機一髪の瞬間、謎の女性に助けられた写真家吉本。彼は一年後、北大の、ヒグマの生態研究の取材に同行することになった。
その前にキャンプ中の大学生たちが襲われる事件が起きており、緊張感の走る中、吉本は謎の女性が研究チームの責任者と知り、調査の過程でヒグマと対峙することとなる。

読みやすさもあるけど、展開もサクサクしてて、多分ほんの数日間の出来事なんだよね。
もっともっと読みたかったけど、あっという間に終わってしまいました。

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2014年12月28日

昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉著。

《★★★★★》

ほっこり温かくなる小説。
読む前にドラマを途中まで見てしまったので、イメージができてしまった。
テツコは仲里依紗だし、ギフは鹿賀丈史だし、岩井さんは溝端淳平。シュウマイにかけるウスターソースまでばっちりイメージできる。

ドラマの優しさがそのまま読んでいてイメージできて、本当によかった。

不思議な感じの物語だったけど、夫が死んでそのまま義父と同居するテツコ。
息子を亡くす父と、夫を亡くす嫁。二人は大事な人を亡くすという悲しみを共有し、二人で乗り越え、いつの間にか義父はギフへ、徹子さんはテツコさんとカタカナ表記の呼び方に・・・変わる感じのニュアンスも、ドラマで見ていたおかげで伝わってきた。

かといってドラマを絶賛ってわけでもなく、いやいや、絶賛してもいいんだけど、それはやっぱり原作のよさがあるからなんだろうな〜。
あの原作に流れる温かさ、優しさ。すごい独特。

そこへテツコの恋人岩井さんも登場して、いやいや、夫は死んでるんだからテツコのことを思えば岩井さんも大事なんだけど、でも夫のことも忘れて欲しくなくて、ギフとも仲良くして欲しくて。
そんなわがままが全部ハッピーエンドになるとっても素敵な小説だった。

ドラマを最後まで見られなかったので、最後の章のあの出会いは、テツコと一樹だったのか確信が持てないのが残念だ。


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2014年06月26日

悪医 久坂部羊著。

《★★★★》

一人のがん患者と、一人の外科医。
治療法はもうない、あとは余命を後悔のないように、と治療を拒否される患者と、これ以上の治療は患者の命を縮めるだけと、治療を拒否する外科医。

もう死ねと言ってるのか!と激昂する患者、小仲。自分たちは患者の命を救うために治療してきた。その治療がもう患者の病を治すためではなく、苦しみだけを与えるのなら、治療をしないことが患者のため、と思って告げた外科医、森川。

両者の言い分、気持ちはどちらも切実で、ものすごく考えさせられる小説だった。
最初は、医師が薬を使って患者を殺したりする話なのかと思ってたけど、実はすごく重いテーマだったんじゃないかと。

自分ががん患者なら、素直に受け入れるという森川医師は、それでも治してくれ、治療してくれという末期のがん患者に閉口する。
森川の妻は、夫に同調するでもなく、淡々と患者の立場に立って森川に助言するが、医師としての森川はその気持ちが分からない。

でもこの外科医は、筆者自身かもしれないけど、真摯に受け止め、苦悩する。
患者のために治療はしないのか、患者のために苦しい治療を続けるのか・・・。

その答えは出ないようにも思えた。どこまでいっても平行線だから。

だけど、森川医師は答えを見つけたんじゃないか。
小仲が、死の間際に森川に託したメッセージの中に。

「患者は希望は病気が治る、ということだけじゃない。医者が見離さないでいてくれることが、励みになる。そしてそれが、死への勇気へつながる」と。

私自身もどっちが正しいのだろう、答えなんてあるんだろうか、って分からなかったけど、最後に答えを見つけた。

そうだ、患者は医者に病気を治してもらいたい、でもそれだけじゃないんだ、末期だからもう治療はしない、というのではなく、それでも懸命に医者が尽くしてくれる、そうすればたとえ病は治らなくても絶望はしないんだ、って。

二人の末期がん患者。治療はもうない、と言われ、小仲は自分でいろいろな病院を周るが、結局どこも治療法はなかった。ホスピスに入り、心の準備ができるまでは紆余曲折、波乱万丈だったけど、最期は心安らかに受け入れ旅立っていった。

もう一人の患者は、最後まで森川の話に耳を貸さず、薬に頼り、副作用と病気の進行に苦しみながらそれでも治療を懇願してやってきた。
どちらも治らないだろう、どちらの死が正しいのか、それもそれぞれだと思う。

でも互いに、自分の意思で決めた選択だから、小仲の、副作用で苦しもうがなんだろうが、治療をしているときは病と闘ってるんだ、という、やることはすべてやったという気持ちで、最期を迎えられるのではないのか。

正しい、とかそういうことじゃなく、心安らかか、闘いながらか、どちらの最期を選ぶのか、ってことなのかもしれない。

今まで考えもしなかった視点で、考えさせられた作品だった。


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2013年10月23日

悪の教典 下巻 貴志祐介著。

《★★☆》


下巻読む前に映像化を観てしまったんで・・・。
でもやっぱり原作の方が奥深いよね。

女子生徒や教師から絶大な人気と信頼を得ていた蓮実。邪魔者は冷酷なまでに排除し、生徒たちをコントロールし、女子生徒をも欲しいままに弄んでいた。
自分の本性に気付いた生徒を罠に嵌め殺戮し、どっかでばれそうなものなのに、なかなかばれない運の強さというか。

映画ではなぜ蓮実が生徒全員皆殺しまで行ったのか、唐突でなんの説明もなかったような印象なんだけど。
小説では計画の狂いがきちんと書かれていた。蓮実の本性を暴こうと圭介が探っていることに気付き、逆に罠にかけ殺害した。
ところが、アリバイ工作で圭介の携帯を持っていることに女子生徒に気付かれ、そのために文化祭準備の日、自殺に見せかけ殺そうとしたところから悪夢が始まる。

屋上に呼び出して投げ落としたが、二人の気配に気付き後を尾けていた生徒がいた。
それも口封じのために殺す羽目になり、死体を一時的にトイレに隠したが、どんどんほころびが出そうになり、結局全員殺すことを決意する。

広い校舎、生徒数十人、よくもまあやり遂げたもんだ。

怖いけど、究極のリアル鬼ごっこだね。

広いんだからなんとか逃げ切れそうなものなのに、監視カメラやどこの窓を開けたか分かるシステムにより、どのように逃げようとしても蓮実に分かってしまう。
怖いね〜。
映画を観ていたので、どのように逃げ切った生徒がいたかは知ってたけど、ここだけは映画の方が迫力あった。
でも蓮実の異常性は映画では描ききれないよね。

次のゲームって・・・死刑かそうじゃないか、ってそういう闘いは結構かな。

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2013年07月25日

悪の教典 上巻 貴志祐介著。

《★★★》


生徒から絶大な人気を誇る教師、蓮見。
その裏の顔は共感能力に欠け、邪魔と感じたり、本性を見抜かれると次々に殺していくサイコキラーだった。

まだ上巻では、一人ずつ、計画に則って殺害しているけどいつから連続殺人鬼になっていくんだろう。
いや、すでにもう連続殺人鬼なんだけどね。
学校に何度も乗り込んでくるモンスターペアレンツを放火で殺したり、同僚教員を電車で宙吊りにしたり、邪魔者を人身事故を偽装して学校から追放したり。
前任校では自殺に見せかけて生徒を4人殺害している。
そんな息子の本性を見抜き、警察に突き出そうとしていた両親でさえ、彼は中学生のときに強盗殺人に見せかけ殺している。

恩師、両親、なんということか。

今、彼の本性に気付き始めた同僚、生徒たち。どう攻防戦が繰り広げられるのか。下巻、期待する。

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2012年03月10日

しらない町 鏑木蓮著。

≪★★≫

映画監督を夢見る青年門川は、故郷を離れ、大阪でアパート管理会社でアルバイト生活をしていた。そんなある日、自分の担当する棟で老人の孤独死に遭遇する。
上司の命令で、遺品整理をしている時に、帯屋老人の撮った8ミリフィルムを発見する。
そして、そこに映っていたリヤカーを引く女性の姿、そのフィルムに心惹かれ、帯屋老人の人生、フィルムに映っていた女性に興味を持ち、孤独死をテーマにドキュメンタリー映画を撮る決意をする。

帯屋老人のノートに書かれていた謎の言葉。帯屋老人を知るために訪ねた人々は、ノートに書かれていた和美という名前に異常に反応し、拒絶する。
戦友、特殊任務、前妻、親友の死、フィルムの女性。

作中で、門川の上司が「連ドラのキャラが変わるのはおかしい」って言葉が、そのまんま当てはまる小説だった気がする。

帯屋老人は、孤独死をするにはそれ相応の人物で、どうも周囲から嫌われてた出だしだったのが、仲間思いの人物だったし、上司の甲山もやな奴に見えて、本当はいい奴?な振りして結局はしたたか、って展開にしたかったんだろうけど、キャラ掴めなかったし、前妻と、親友の妹との関係が、そこまでぎくしゃくするものなのかも今ひとつしっくり来なかったかな。

一番は、門川が惹かれたという8ミリフィルムの魅力が、文章から伝わりきらず、残念ながらどうでもいい読後感になってしまいました。


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2011年01月16日

TOKAGE 特殊遊撃捜査隊 今野敏著。

≪★★★★≫

ひので銀行の行員3名が誘拐された。
警視庁にある特殊犯捜査係の、誘拐事件専用電話がなった。
特殊犯捜査係のバイク部隊通称トカゲの上野も、現場に向かう。銀行の隠蔽体質が捜査を阻み、現場で犯人と身代金の交渉を任される特殊犯捜査の者たちと、指揮本部で犯人たちに迫る捜査員。本部内でも誘拐事件の捜査員と、殺人事件の管理官と捜査方針がぶつかり合う。

出だしは、登場人物も多く、様々な役職で、誰がどの部署でどっちが偉くて、なんて考え込んだりもしたけど、徐々に物語自体にのめりこんだ。
相馬管理官と特殊捜査犯の高部係長のぶつかり合いは面白かった。冷静沈着な高部と、階級が上ですぐに感情的になる相馬の対照的な二人。そして常に高部の意見を支持する捜査一課長の田端。
捜査の成り行きを、上野や和美といった捜査員が見守りながら物語が進行していくのも、非常に分かりやすかった。

犯人像については、高部たちと同時進行くらいで、もしや、って気付いたけど、このシリーズは面白そうだ。人物たちの記憶が新しいうちに読み進めたい。

posted by じゃじゃまま at 17:18| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月08日

まず石を投げよ 久坂部羊著。

≪★★≫
医師が医療ミスを遺族に告白した。自ら賠償金も支払った。
医療ルポライターの菊川綾乃は、医師の告白に疑問を持ち取材を始める。
果たして医療ミスだったのか、究極の誠意、の告白なのか。
制作会社チーフプロデューサー宍村の、医療ミス隠蔽体質の医療界を暴くための番組制作に関わるうちに、綾乃は、ヤラセとも取れる過激な取材を目の当たりにし、ある医師が自殺した。

医療ミス・・・私たち素人にはそれがミスなのかなんなのか判断できない。すべてを医師に賭け、任せる以外にすべはないのだから。
自ら過ちを告白してくれたら、謝罪してくれたら、真実を話してくれたら、三木の行為にはこれからの医療界に、まず石を投げたのか。

ただ、中途半端な物語だった。三木の告白はいったいなんだったのか。彼が研究してたものと、彼が途中で告白していた患者への嫌悪、それは両極端で、どうしても一貫性がない。
慶少年の存在も、結局なんだったのか。彼が見た三木の研究とやらも意味深なだけで、ラストとすっきり繋がらないしね。

綾乃の夫泰典の不審な行動も、結局そのまんま。そもそも綾乃が結婚していなければいけない設定自体にも疑問。
番組途中で自殺してしまった医師。番組制作の行き過ぎの話ならそれはそれでいいんだけど、それも中途半端。

ほとんどが中途半端で疑問ばかりが残った。



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2009年02月02日

東京島 桐野夏生著。

≪★★★≫
夫との世界一周の航海で遭難し、無人島に漂着した清子。後に、同じく遭難して漂着してきた日本人と中国人と共に、トウキョウと名付けた島で救出を待ちわびながらも、生き延びるためのサバイバルが始まった。

てっきり「バトルロワイヤル」みたいな殺戮が繰り広げられるのかと思ってたけど、そこまで残酷ではなく、精神に異常をきたすものもいれば、病に倒れるものもいるけど、このいびつな島社会で生き延びようとするサバイバルだね。
中年で一番太っている清子が、島でただ一人の女性というだけで、性を武器に開放的になってたのは、ちょっと気持ち悪かった。

何年待ち続けても救出は来なくて、島でのけ者にされてたワタナベが、数年ぶりに島に廃棄物を投棄しにきた業者に救われるところは皮肉すぎる。でもなぜかスッとしてしまった自分もいる。
新たな生き方を確立した彼らは、本当に幸せなんだろうか。

清子のその後って、なんともいえず後味悪い。
でも「だから、なに?」と言えなくもない作品だったかも。


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2008年12月10日

ファイナル・ゲーム 黒武洋著。

≪★☆≫
う〜ん、とっても微妙。
大学時代「試全倶楽部」だったメンバーが、突然召集を受ける。
発起人であり部長の桜には逆らえない。メンバー5人は桜によって離島に連れていかれ、そこで死んでデスマスクを写真に撮れ、と指令を出される。5人の中には、桜の命令を受けた「犬」も混じっているらしい。いったい誰が「犬」なのか。本当に自分たちは死ななくてはいけないのか。疑心暗鬼になり、そして一人、また一人と殺されていく。

第1回ホラーサスペンス大賞を受賞した「そして粛清の扉を」は、欲を言えば、最後の詰めが甘かったところもあったけど、わりと好きだったんだけど、続く何作かは、う〜〜ん。
これも路線としては同じかな。

ただ、メンバー5人プラス桜のキャラがいまいち。一応の主人公らしい貫太郎の視点で書かれてるんだけど、他の4人のキャラがいまいち掴みかねちゃって。誰が誰だか・・・。
「試全倶楽部」っていうのも、聞けば聞くほど、読めば読むほど、超悪趣味な倶楽部。最低の人間の悪ふざけに、気分が悪くなった。

同じく悪趣味な集まりとして、誉田哲也氏の「ストロベリーナイト」の集団があったけど、まだそっちの方が物語としては成り立ってたかな。
どうしてだか、この「試全倶楽部」は受け入れられなかった。
そして、桜の狙い、動機も、まったくもって説得力がない。

それでも★をつけたのは、「犬」は誰なのか、いったいなんのために桜はこんなことをしたのかが知りたくて本を置くことができなかったから。
貫太郎のキャラも惹きつけられなかったし、他の誰にもだけど、彼らの背景っていうのがないんだと思う。

辛口になってしまったのは、黒武氏の新作楽しみにしてたからっていうことにしておいて。
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2007年10月13日

ひとがた流し 北村薫著。

どうも相性が悪いのか、読みづらかったです。
急に視点が変わって一体誰の目線で語ってるのか、ついていけなくて戸惑うこと数回。
たとえば、類の個展で牧子とさきと美々と娘の玲と合流する。
類と玲が喫茶店に移動するんだけど、そこには牧子とさきもいるのかと思いきや、類と玲だけで、そうなんだよね〜、親子の会話に牧子たちがいるのはおかしいと思ったよ、でも流れが掴み辛いんだよね〜。

牧子と千波と美々。幼なじみプラス高校時代の友人の3人の女性。一体誰に自分の視線を預けようか、すごく迷う。
余命を宣告された一人の女性の姿と、友人としての二人の女性。それぞれが結婚、離婚を経験していて、千波だけが母や仕事に縛られ経験できずに生きてきた。でも最期に支えができて、ああ、よかったねって感じ?

そのくせ終盤は、泣けてきた。物語が・・・というのではなく、40歳くらいで病に倒れるというのは、今の自分には他人事でもなくく感情移入しやすいから。
ただ、どうもこの3人の女性にはあまり入り込めなかった。

そうそう!男口調なんだ!会話が「〜〜〜だろ」とか。40歳の女性がそんな話し言葉しないよね。私でさえ、どんなに親しい友人と話してたってそんな口調にはならないし。その辺に違和感を感じてしまった。
北村氏の作品は、友人に勧められて「覆面作家は二人いる」とか「スキップ」「ターン」「リセット」など読んだことはあるけど、そうだな〜、貸してくれれば読むけど、自分から手に取ることはないかな。
しかも氏が男性だと、今知った。
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2007年07月08日

県庁の星 桂望実著。

≪★★≫
映画は見逃してしまったけど、昔見た伊丹十三監督「スーパーの女」を思い出してしまった。
なんでも杓子定規のエリート県職員がスーパーによって変わるのか、だらしないスーパーが、エリート職員によって変えられるのか、一体どっちなんだろうと思ってたら、どっちもどっちで、なにを応援すればいいのか前半は迷ってしまった。
役人は、民間じゃ使えない奴だし、かといって、民間企業も結構だらしなかったり、そして聡を導いてくれるのかと思ってた二宮泰子も、母として、妻としてはちょっと欠陥ありだったし。

見てないくせに、映画の柴咲コウが、いかにも強そうで、駄目な役人、織田裕二を教え込む!ってイメージだったもので、勝手に二宮は完璧だと思い込んでた。

ただ、ふと気付くと、全員が変わり始めてた。なにがきっかけだったんだろう?みんなが聡のことを小馬鹿にしてたことに気付き、よ〜し!やってやるぞ!と聡が立ち上がったことかな。上から目線だった聡が視線を同じくらいにし始めて、ようやくみんなも受け入れ出した。そして頼るようになる。
そっか、ちょっと欠陥あり人間同士が、お互いを変えていった話か。

それにしても、あの聡が騙される話はいらなかったと思う。そこだけ全然、いかにもちょっと事件入れてみました〜って感じで浮いてた。
でも映画は、楽しそう!?

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2007年02月04日

つばき、時跳び 梶尾真治著。

≪★★★≫

う〜ん。梶尾氏ってタイムトラベルものが多いとは聞いていたけど、こういうことか。百椿庵という屋敷に祖父の代から住んでいる井納惇。その屋敷には女にしか見えない幽霊が出るという。
父に頼まれ、百椿庵に住むことになった惇。そしてつばきと出会う。つばきが幽霊の正体か。つばきは140年前の時代に生きていた女性だった!

結局、謎は残る。どうしたら過去に戻れる、とかタイムマシン云々はいいんだ、そんなの説明つかないし、変に小細工されると頭ごちゃごちゃになっちゃうから、純粋に、屋敷に装置があるってことで。

でも、百椿庵に出るという幽霊は、なぜゆえに女性にしか見えないと言われていたのか。つばきは一体どんな理由で屋敷に見え隠れしていたのか。
惇の書いていた歴史小説。あれって別になくてよかったよね〜。てっきり過去に戻った惇が、歴史上の人物と出会って、小説のヒントでも得るのかと思っていたけど、まったく関係ないし。

すごく盛り上がるのかと思ってたら、肩透かしな気分。どうでもいいことが多かった気もする。
でも「りょじん」さんの正体、惇の決断、最後の最後でおおぉ〜と唸ってしまった。

梶尾作品は「黄泉がえり」があるけど、かつて読んだとき、映画化されてあんな風に感動の作品になるとは思ってなくて、映画を後から見て、初めて「あれは感動する作品だったのか」と気付いたくらいだった。本当は梶尾作品には感動のエッセンスが散りばめられているから、「つばき、時跳び」ももっと奥深いものがあるのかな?

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2006年11月11日

夜の公園 川上弘美著。

川上作品初めてです。本作は雑誌で推薦されてて、タイトルに惹かれたんですよね。夜の公園って、昼の公園とは別の顔だろうな〜、そう思っただけで心がシンシンと寂しくなるんです。
夫のこと「好きじゃない」なんて、そんな恐ろしい現実。ちょっと目を逸らしたいというか、気付きたくない事実というか・・・。
リリは、そんなことにも淡々としていて、暁と不倫するのも、親友に裏切られるのも、淡々としていて、そういうところが江國香織さんに似てますね。

もっともっと葛藤したり、苦悩したりするんだろうけど、江國氏と同様、内面をじくじくと書くことなく、さらっと書いちゃうので、セックス自体もだたの出来事みたいで、爽やかですらあったりして、そういうの私好き。

春名の裏切りも、ちょっとこれには意表をつかれたかな。リリの予想よりも春名は積極的だった。そして、春名・・・は本気だったんだな。その春名の最後の裏切りには、本当に意表をつかれた。妙に切なくなって、でも引きずらないですんだのは、川上氏の淡々とした表現のおかげだろうか。
もう一度最後を読み返してみると、結局あの4人はなんだったんだろうか。
いや、リリと春名ってなんだったんだろう?

すごく日常のいろんなことが、簡単に済まされてる感じが、江國氏に似ていて、好き。
でも江國氏とは書かれる小説の行方が違うようにも感じるけど。

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2006年10月17日

船泊まりまで 片山恭一著。

すんまそ〜〜〜ん。先に謝っておきます。
駄目!駄目!全然駄目!!何日かけても進まない。読めば読むほど眠くなって、時間の無駄ってことに気付いたので、私にしては珍しく?途中放棄。挫折。
「世界の中心で、愛をさけぶ」の時も、淡々とした文章で、可もなく不可もなくだった。逆に物足りないくらいの淡白さで、ドラマや映画の方が肉付けされていて内容豊かになったと思ったくらい。

この「船泊まりまで」、もしかするとあの後なにか物語がどど〜んと進んだかもしれない。そう思って、パラパラと最後の方読んだら、代理出産の話が出てた。
ちょっと興味を惹かれたけど、飛ばし読みしただけでイマイチ。
それに、そこまでたどり着くまでが長いって。全然盛り上がらないんだもん、気持ちが。

結局、冴子が、まだただの隣人だったときに、なぜ毎日泣いていたのか?
分からずじまいだけど、いいや、合わないんだな。
さようなら、片山氏。
船泊まりまで船泊まりまで
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[タイトル] 船泊まりまで
[著者] 片山 恭一
[種類] 単行本
[発売日] 2006-06
[出版社] 小学館

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2006年09月17日

無痛 久坂部羊著。

教師一家惨殺事件。小さな子どもまでもがむごたらしく殺害された。
一体誰が?
病気は、診察などしなくても見ただけで兆候が出ているらしい。
診ようする意思さえあれば、体を観察するだけで分かってしまう、その予後までも。
この話の中では、為頼の説にみんな首をかしげるけど、私は信じる。確かに診るつもりさえあれば、病気は体にシグナルを出している。

ある日、為頼が町ですれ違った男。眉間にうねるように盛り上がった皺。
一目でこれからこの男が殺戮を行うであろうと判断した為頼は、さきほど別れたばかりの女性とその子どもを救う。
為頼になにか特別な力があると感じた菜見子は、救いを求める。
教師一家惨殺事件に関わっていると、ある少女が告白している。それが本当なのか確かめて欲しい。

心に深い闇を背負った少女、為頼と同じ能力を持ちながら対極の場所にいる医師白神、彼の元で働く、痛みを感じない男イバラ、刑法三十九条と激しく葛藤している刑事早瀬、菜見子を逆恨みする前夫が、教師一家惨殺事件の犯人の追跡の周囲には常に彼らがいる。

途中、タイトルの「無痛」とイバラ、タイトルになるぐらいだから無関係であるはずがない、と分かっちゃう部分もあるけれど、医師だからといってここまでの惨劇シーンが書けて当たり前でもないし、これはもう久坂部氏の文才なんだろうなと、素直に賞賛してしまう。
厚みのあるあの一冊を、最後まで飽きさせることなく書ききった久坂部氏の「無痛」はなかなかのもんだと思う。

そして読み終わった後、刑法三十九条について、今までは以前の早瀬のようであったけど、少しだけ精神異常者に対してのわずかな理解の光がほんの一筋見えただけでも、これは充分読みごたえのある一作ではないだろうか。

でも、少女がなぜ白神とともに逃げたのか、白神はなぜ少女を選んだのか、そこんとこがちょっと唐突だったかも。
イバラに実験を繰り返していたその本当の理由、教師一家惨殺事件に駆り立てた理由(私からすれば、そんなことで?って気もするし)、凡人には分かりづらかった。
無痛無痛
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] 無痛
[著者] 久坂部 羊
[種類] 単行本
[発売日] 2006-04
[出版社] 幻冬舎

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2006年07月24日

リアルワールド 桐野夏生著。

≪★★★≫
そういうことね〜〜。
紹介文に、
「隣家の少年が母親を撲殺して逃走。女子高生4人の遊び半分で始まった冒険云々」って書いてあったので、なんか軽い感じで始まり、終わるのかと思ってたら、そうだよね〜、桐野氏だもん、軽く笑っちゃう話じゃないはずだ!

読み始めたら、もう止まらない!一気に育児放棄してまで(は嘘だけど)、読み進めた。中盤、子どもたちは主人に任せ、ひたすら読んだ、読んだ。
ほんのちょっとの軽い気持ち、隣に住む少女十四子のほんの小さな決断の沈黙から、同級生の友人たちが遊び心で関わり、その果てに見たものはなんだったのか。

高校生達がどんな目で親を見つめ分析しているのか、ちょっと怖くなった。
そういう自分にも女子高生時代あったっけね、親の不満あれこれぶつけてたっけね。自分が親になるとすっかり忘れちゃうんだよね、あの頃の自分たちが感じてた大人への不信感。

テラウチが言う、母親を撲殺した少年のしてしまった「取り返しのつくこと」、テラウチが抱えている心の内が「取り返しのつかないこと」ってその違いがイマイチよく分からないけど、遊び半分で逃走に関わった少女たちの「あの日」は、取り返しのつかない。

それまでうまくいってたはずの友情も、人生もすべて終わった。後に残ったこの空虚さはなんだろう。
それぞれの少女が自分をうまく隠して使い分けてるつもりでも、友人たちはそれに気付いている。そして気付かぬ振りして仲良し4人組を演じてる。
この怖さ。でもその反面羨ましかったりする。
そんな風に使い分けなんて、私なんていい大人になってから、しかも最近ようやく出来るようになってきたってのに、キラリンは17歳にしてできちゃってるんだから。

でもキラリンやテラウチの行く末は、取り返しがつかない。
テラウチのいう「取り返しのつかないこと」しちゃったのは、十四子のほんの小さな嘘。十四子が始まり。自分では意識していない言動が、なにか取り返しのつかないことの始まりになってるのでは、・・・怖
くなる。
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2006年05月25日

愛のあとにくるもの 孔枝泳著。

「冷静と情熱のあいだ」を読んで、同じように期待していると裏切られるかも。
二番煎じというか、江國&辻ペアで大成功したから、これもまた、と期待したかもしれないけど、残念。
やはり江國氏だからこそだったんじゃないかな〜。辻氏の「愛のあとにくるもの」は今読んでる最中だけど、なんていうか、「冷静と情熱のあいだ」に関しては、私は江國ファンなので、江國氏の方がイチオシだったけど、今回の「愛のあとにくるもの」に関しては、辻氏よりになりそうです。

韓国人女性と日本人男性の恋のお話で、誤解あり、別れあり、再会ありで、ロマンチックなんだろうけど、どうしても江國氏と比べてしまう。一瞬、江國氏が書いてると思い込みそうになるんだけど、えてして外国人が書いた作品って、感覚の違いなのか、翻訳のせいなのか、表現が理解しづらいんです。

孔氏の今作に至っては、まどろっこしいというかまわりくどいというか、結局なにがいいたいのか分かりづらいし、もしもこれが江國氏だったらな〜とどうしても思ってしまう。江國ワールドはすごいもん。

で、結局潤吾と紅の二人の絆って、ふ〜んって、説得力がないっていうか、でもま、よかったじゃんって程度で終わってしまった。

しつこいけど、これが江國氏が書いてたら、もっともっと二人の間にある絆、信じられたんだろうけど、勝手に「冷静と情熱のあいだ」を思い出して期待して比べたこっちが悪いんだろうけど。

辻氏版に今期待してます。
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2006年03月24日

Presents 角田光代著。

≪★★★☆≫
はじめて角田氏の作品読みました。
どれもこれも胸がキュンと切なくなるようなお話ばかりで、時には悲しくなったり、時には励まされたりと珠玉の短編集とでもいうのでしょうかね。

個人的には「初キス」と「ヴェール」が好きかな。
中学生の初恋、可愛いじゃないですか。人を好きになるってことが、まだどんなことなのか分からなくて、面倒くさいなって思ってる少女が、今まで意識したことのない男の子に呼び出され、一緒に帰るうちに、なんか素敵な男の子に見えてきちゃって、どんどん知りたくなって、突然キスされちゃう。
夏休み、二人でどこか行こうな、なんて可愛くてキュンとなっちゃいました。

こんな風に私も告白された中学時代を経験してみたかった。あの時代は、まだまだ男子女子照れてばかりで、付き合うとか告白なんてごくごく一部の人にしか縁のない話で、そのごくごく一部の人たちがとっても大人っぽくみえていたっけな。

「ヴェール」は高校時代から続いてる女5人の友情物語ですね。
どんな時も一緒にいて、これから先も既婚未婚、結婚離婚、関係なくずっとずっとそばにいて笑い合い励ましあう友情物語。

ああ、結局私は自分にないもの、憧れてるものばかりに感動してるらしい。
高校時代か〜、楽しいはずだったのに、ついぞ気の合う友達に巡り合えず、表面だけの上っ面な友情しかなかったな。
だから結構感動したんだ、「ヴェール」。

実は「絵」もウルウルしてたけど。息子の描いた絵を大事に大事に、額縁入れようって思うお母さん。不器用で自分の親と同じ失敗を繰り返してるお母さんだけど。これだけは、別に私の憧れでもないものねだりでもなく、ああ、下手すると自分もこうなるかも〜、なんて思いながらウルウルしてた。
posted by じゃじゃまま at 15:24| Comment(9) | TrackBack(5) | その他 か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

サスツルギの亡霊 神山裕右著。

ん〜〜〜、微妙。
この人って、前作はケービング?で、今回は南極調査隊で、どうやら探検がお好きなようで、こういうのって取材とか本人も分かってないと書けないのは、まるで真保氏のようだし、それはいいんだけど。

ただ、ストーリー自体が入り込めないんだよね、毎回。独特の、その世界にしか分からない魅力があるのは、なんとなく分かるんだけど、そうじゃなくて、軸となるストーリーに、引き込まれないんだよね。
今回は、南極越冬隊で3年前に事故死した兄の真相やら脅迫やらいろいろと興味深い題材はあったのに、だんだんどうでもよくなってきて、結局あと数ページ残したとこで断念。

これ以上読む気なしって感じ。

特殊な世界の題材と、ミステリーの要素がうまく絡み合ってないのかな〜?

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サスツルギの亡霊
posted by じゃじゃまま at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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