2012年09月11日

痛み 貫井徳郎著。

《★★★☆》


「見ざる、書かざる、言わざる」・・・ 貫井徳郎。
 会社社長が襲われ、指を切り落とされ、目はキリでつぶされ、舌を切られた状態で発見された。命に別状はないものの、こんな状態では生きている方が辛い。誰がいったいなんの目的で?
背景にあるのは、人を一人殺したら死刑という制度に対する反発か、挑戦か。
まるで誉田氏かと思ってしまったくらい残酷な描写だったけど、そうか、そうか。貫井氏もそうだった。
あまりにも衝撃的な被害者の姿に夜興奮(嬉しい意味ではなく)して眠れなかったよ。

「シザーズ」・・・ 福田和代。
 お初な作家さん。妻に蒸発され幼子を抱えた警察職員の城。子供のために刑事よりも通訳としての職種を選んだ。その隣に住む上月。風俗店の摘発に、偽ブランド品密売と芋ずる式に事件を手がけるが、一癖も二癖もありそうな城が出て行った妻を待ち続ける純愛ぶり、上月とのコンビはまるで挟みのようらしいけど、なんだか読むのに手こずってしまった作家さんだった。

「三十九番」・・・ 誉田哲也著。
 これぞ誉田氏。初老にさしかかろうかという感じの留置係員の警察官小西。独身でどうもまじめな警察官ではないみたい。
知り合いの刑事と共に風俗店から賄賂もらったり、若い子が好きらしいし。
そんな小西の元に川部という刑事が、去年ぱくった加賀見の所在を知らないかと聞いてくる。徐々に、小西は最もやばい犯罪に手を染めてるらしいこと、そして川部に追い詰められていることを知ることになる。
警察官が犯罪者を殺してしまう、それも強請りが原因で。あちゃ〜と思ってると、誉田氏だもん、そういうラストになるよな〜ってとこに落とされる。
だけどなぜか安心してしまったラストだった。なんだろう?小西に同情してしまったのかな。





posted by じゃじゃまま at 22:39| 神奈川 ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | アンソロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月24日

Happy Box 伊坂幸太郎著。

《★★★》


<幸せ>をテーマに、名前に<幸>を持つ五人の作家が書き上げた。
伊坂幸太郎の「Weather」・・・ 女好きの友人の結婚相手は実は元カノ。友人の過去がばれないように気を使ったおかげで天気博士になってしまった<僕>。友人の女癖を疑う元カノにスパイを命じられたが、結婚式には感動のサプライズが待っていた。
この新郎新婦の話はよかったけど、個人的には<僕>の幸せを見たかった。
式の席で空気の読めない新婦友人に対しての心の突っ込みは面白かったね。

「天使」・・・ 山本幸久。貧しい子供時代で窃盗で生計を立てるしかなかった福子。それでも一つ目金治との出会いにより、決して不幸ではなかった。ある日茶髪の男とタカシ君にカモられそうになった福子さんは、逆に財布をすり返す。怒り狂った茶髪男からタカシ君とお姉さんを救ってあげる福子さんの人生は、最後また幸せ。

「ふりだしにすすむ」・・・ 中山智幸。死期の迫った老人が、残してゆく妻を安心させるために来世でもまためぐり合えるという素敵な作り話をする。この作り話に利用された女性の、ほんの小さな奇跡の話。

真梨幸子の「ハッピーエンドの掟」・・・ 一番新鮮で、もしかして好きなテイストかも。
後味がどんよりと悪いけど、ドキドキした。かつて隣に住んでいた女の子に嫉妬してついた嘘。
母子家庭のアイコはホステスをしている母親にも、担任教師にも、なかなか本心を言えず分かってもらえない。ついそっちの方がいいのかな、なんて思って返事してしまうから、自分の本心とは別の方向に話が進んでしまう。本当は新しいパパも欲しくないのに、なぜか欲しいと言ってしまい、母親は再婚することにする。
玉の輿に乗る母親とアイコに、隣のチエちゃんがかけた呪文。怖かった。

「幸せな死神」・・・ 小路幸也。うっかりお酒をこぼしてしまったことにより死神を召喚してしまい、さらにはお酒をご馳走して契約をしてしまった帆奈。しかもとてもいい男で、死神じゃなければ恋人にしたいくらい。そんな死神がずっと帆奈のそばにいて、人生を見守っている。ちょっといい感じ。守護霊みたいじゃん。
その死神の願いを叶えてあげたとき、幸せと引き換えに別れがやって来た。

正直、「幸せな死神」と「ふりだしにすすむ」は分かり辛かった。「天使」も福子さん、幸せだったんだろうけど、茶髪男に襲われてしまって、小さな衝撃。
伊坂氏と真梨氏はよかった。
ちょっとこの先真梨氏はリストに加えてみようと思う。




posted by じゃじゃまま at 16:30| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | アンソロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月04日

蝦蟇倉市事件1

≪★★≫

なぜか不可能犯罪が多発する蝦蟇倉市。
事故が多発するカーブや、自殺の多い崖。
自動車事故で最愛の家族を失った者の復讐や、謎の殺し屋。
密室殺人や祖父の大事にしていた置物の秘密。

5人の作家のアンソロジー。

でもどうも波長が今ひとつ合わず、どれもイマイチで乗れなかった。
2も手元にあるんだけど、読まずに返却か。


posted by じゃじゃまま at 14:23| 神奈川 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | アンソロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月16日

小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所

「こち亀」の両さんがいた。鮫島と晶と藪、そして両津勘吉。すっごい組み合わせ。あと私が知ってるのは、柴田よしき氏の花咲慎一郎くらいかな。
いろんな作家の物語に、あの「こち亀」の両さんが登場するのだ。
最大の目的は鮫島と晶に会うことだったんだけど、ちょっと藪に違和感あり。もちろんお遊びだからいいんだけど、イメージが違うかな。

柴田よしき氏の「一杯の掛け蕎麦」は、イメージ通り。両さんもね。
そう、両さんなら、孫のお金を当てにしたり、こすい悪人に厳しそうだし、そのくせ実は人情に篤いのもそのまんま。
今野敏の「キング・タイガー」も、今野敏氏の作品は読んだことないけど、これもまたイメージ通りだった。一生懸命負けじと作ったプラモデル、負けを認めた瞬間に、両さんからお褒めの言葉。
逢坂剛氏の「決闘、二対三の巻」、東野圭吾氏「目指せ乱歩賞!」も、ああ、両さんがここにいたよ!とまさにやりそうで言いそうなセリフばっか。
さすが「こち亀」を熟知してるんだな〜。

石田衣良氏と京極夏彦氏だけは、馴染めなかった。
大学時代、バイト先にこの漫画が置いてあって、何気なく読んでたんだけど、わりとハマった。でも正直両さんみたいなタイプはまっぴらごめんなんだけど。


posted by じゃじゃまま at 16:13| Comment(10) | TrackBack(7) | アンソロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月24日

鼓動 警察小説競作

「雷鳴」大沢在昌 大好きな鮫島にこんなところで出会えるとは思ってなかったので、嬉しい驚き。相変わらず冷めていてそのくせ人の心に敏感で根っこは優しいんだよね〜。久しく鮫島と晶のその後を読んでいないので、新作出ないのかな〜。

「刑事調査官」今野敏 その昔なにか読んだ記憶はあるんだけど・・・。飛び降り自殺かと思われた事故を事件と睨み、その後に起きた放火殺人との関連を含めさすがベテランの検視官。そしてプロファイラーとして警察庁から出向してきた女性調査官と警視庁の一刑事。この二人が検視官のアドバイスを受けながら解決していくんだけど、刑事はどうも人付き合いが苦手なようで、特に女性の。でも女性調査官はなにげに距離を詰めたがってるようにも見えて、二人のその後も気になるけど、どうやらシリーズ2作目が出たようで。
一体誰が主役なのかな。3人とも出てるのかな。

「誰がために」白川道 この作家さん初めて読んだ。被害者遺族の辛さを書いた作品。短編なのでさらりと終わったけど、でもどんなに短編でも、被害者側から書いた作品は、読んでいても本当に悲しい。
特に被害者になんの落ち度もなかったり、集団で暴行の末の殺人は、遺族にとって、大事な身内の最後を知るにつれ、生きる力を奪っていくと思う。
被害者が加害者に天罰を下す。それが許されてもいいんじゃないか、と読むたびに思う。

「ロシアン・トラップ」永瀬隼介 この作家さんも初めて。週刊誌記者だと言うから、偏見かな〜。裏街道からやって来た感じがする。
警察官の妻でありながら、ホステス上がりで、昔の男と浮気している。そして夫の上司に盗聴さればれてしまい、昔の男と共に転落していく。
昔の男はやばい仕事をしており、そいつもクズだけど、それを追う夫も上司もクズ。勢津子はかつて自分の息子を見殺しにしてしまったイリヤと漆黒の闇へ消えていく。きっと二人はお互いの開いた部分を埋めるために寄り添っていくんだろうな。明るい未来ではないとしても。
でも「鼓動」の中でこの作品が一番好きだった。

「とどろきセブン」乃南アサ もうこれはご存知「ボクの町」の続編「駆け込み交番」の中の短編ですね。久しぶりに読んで、なんかほのぼのしてくるんですよね。でも「駆け込み交番」読めば分かるけど、この短編はほんの始まりで、聖大は使いっぱなんだよね〜。
「ボクの町」は聖大のお話だったけど、「駆け込み交番」はまさしくとどろきセブンのお話なんだよね。
鼓動―警察小説競作鼓動―警察小説競作
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] 鼓動―警察小説競作
[著者]
[種類] 文庫
[発売日] 2006-01
[出版社] 新潮社

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posted by じゃじゃまま at 11:42| Comment(0) | TrackBack(1) | アンソロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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