2015年01月12日

首折り男のための協奏曲 伊坂幸太郎著。

《★★★》

首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。 (あらすじ紹介)

他のレビュー見ると、最後に繋がってすっきり!とかバラバラのパズルが一つになった!とか書いてあったんだけど、なんだか置いてけぼり。

え?パズル一つになった??
繋がったの???
っていうか、首折り男が借金取りの事務所で死んでたのはなんで?誰が、どうやって殺したの?
ところどころに死んだ話が出てくるけど、あれは首折り男が全部成敗してくれてたの?
そういうところをすっと納得して楽しめればいいんだけど、いちいち止まっては分かってない自分を気に病む。一応気に病んだりはするけど、引きずらない。

外科医とか浮気ばかりしてる男、トランクから見つかった遺体とか、ちょこちょこと話しが出てきた人たち、もしや繋がってるのか?と。
できればあの番組プロデューサーだっけ?久喜山だっけ?あいつもどうにかなって欲しかったけど。

伊坂ワールドは不条理な設定が多くて、それを受け入れる柔軟さがないと苦しめられる。
私は苦しむほどまでには真剣に捉えないことを学んだので、分からないときは分からないまま終わらせる。
ただ、見かけは大きいけどいじめられ気質の大男は、偶然にも首折り男によって解放されたし、子供を轢き殺された男の罪をこれまた首折り男が救ってくれたし。

時空のねじれも、いいでしょういいでしょう、そういうのもありですよ。

個々に楽しめたので、それはそれで面白かった。

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2014年09月13日

チルドレン 伊坂幸太郎著。

《★★★》

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。 (「BOOK」データベースより)

そんな風に書いてあったけど、何気ない日常に起こった、って結構陣内の日常って何気なくないんだけど。
五つの物語が一つ・・・になったっけ?

なんていうか、常識がないようにも見える飄々とした陣内君の、周りで起こる、そして陣内君の周りにいる人々の、物語。
ほとんど一つの物語だよね。陣内君が大学生だったり、社会人になってたり、また家裁の人目指して勉強中だったりと、時間を前後しながら、一つになったというより、最初から一つの物語。

銀行強盗に遭ったり、誘拐事件の身代金受け渡し現場にいたり、的外れな考えしてそうで、的を射ていたり。
付き合うと疲れそうだけど、あの飄々とした中にも、強さがある気がして、あんな風に生きてみたいな〜と、自分にはないものだから憧れる。

陣内君のお父さんは、女子高生のストーカーってこと?
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。
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2014年02月09日

ガソリン生活 伊坂幸太郎著。

《★★★》

それぞれの家の車たちが会話してる。
面白いのに、読むのに2週間もかかってしまったのはなぜだろう?
善人の望月良夫と、小学生らしくない弟亨。二人は愛車デミオを運転中、超有名人である荒木翠が突然乗り込んでくる。
追われてるから助けて欲しい、と。その翌日、翠はパパラッチに追われてトンネルで追突事故死してしまう。

こうして望月兄弟は、翠の敵を討つために、パパラッチの玉田に会いに行く。
事件は、翠の事故死から始まり、長女の彼氏江口君が悪事に加担させられそうになり、家族全員が窮地に陥ったところを、隣人の校長先生と玉田に救出される。
小学生の亨の同級生、やさいトリオへの復讐も、小さな出来事も、すべて辻褄があい、忘れそうな小さな事件もちゃんと意味があり、解かれる、その無駄のなさが伊坂氏だよね。
そして最後はハッピーな気持ちになれるハートウォーミングな小説。

様々な事件も、乗っている車同士の会話や、車中の会話でしか私たちは知ることができないんだけど、走行中のいろんな車が情報持っているから、案外情報たくさん持っていて楽しい。
事故死したはずの翠の恋人、丹羽っちが、ちょっと神経質っぽくってやだけど、伊坂氏の小説は、窮地に陥りながらも最後は救いがあるから、好き。

ラストは、あの騒動から数年後なんだけど。長女には二人目の子供がお腹にいて、月日の流れを感じさせる。
売ってしまったデミオが、再び望月家に現れるところなんて、さすが伊坂氏!!!!ってブラボー!って感じ。

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2013年09月11日

残り全部バケーション 伊坂幸太郎著。

《★★★》


伊坂氏らしい、どこかとどこかが繋がってる物語。
安心したな〜、ああ、いつもの伊坂氏だと思って。
溝口と岡田、悪いことを毒島さんから請け負って、コツコツちまちまとちょっとしたことをやって人を困らせて、報酬をもらっている。
こんな人たちが、いろんなところでいろんな人たちと絡み合って、それぞれの物語は進んでいく。

「残り全部バケーション」
父親の浮気が原因で家族離散の早坂家。そんなときに「お友達になりませんか」なんて怪しいメールが届き、なんだかこざっぱりしたお母さんが「面白そうね」なんていって、みんなでその誘いに出かけちゃう。
それは人々を困らせる仕事から足を洗いたい岡田に、「友達ができたら」という条件を出した溝口のアイデアだった。
で、なんだか毒島さんを怒らせた溝口は、それを全部岡田のせいにして、奇妙なドライブの最中に毒島さんの手下に岡田は連れて行かれてしまった・・・。
岡田君は無事なんだろうか。

伊坂氏のことだから、全然悪くない岡田がどうこうなっちゃうわけないよね。

「タキオン作戦」 
またもや人を困らせる仕事をしていた溝口と岡田は、たまたま公園で父親から虐待されている少年を発見する。
どうにか耐えて、生き残れ、なんて言う溝口と、脅迫してる人を使って小細工をちりばめ、奇想天外な方法で少年を救おうとする岡田。
実は頭いいんじゃないかなって思ってしまう、岡田。人相悪くて、チンピラにしか見えないような岡田だけど、実は心は正義で溢れてたりして。

「検問」
女性を誘拐してある場所に連れて行く依頼を受けた溝口。岡田の後釜で太田と組んでいる溝口だけど、議員が襲われたっていうんで検問にひっかかり、誘拐した女性を後部座席に乗せたまま警察官と会話する。馬鹿なんだか実は鋭いのか。
盗んだ車のトランクにはなぜか大金が入っていて、あれこれ推測し合ってるんだけど、不倫の末に誘拐された女性と、襲われた議員、溝口に舞い込んでいた二つの依頼と、女性の秘密。
ちょっとややこしかったけど、あらゆる事情が交錯しあっていて、奇跡だよね、こんな巡り合わせって。

だけど、あの検問時のおまわりさん、真相は分からないな〜。

「小さな兵隊」 
そういえば岡田が言ってたっけね。自分の友達のお父さんにスパイがいたって。
思わぬところでいろんな出会いがあるもんだ。岡田の少年時代、やっぱり岡田って馬鹿じゃないんだ。見た目が悪いだけで。
父親がスパイだと信じている友達と、担任の先生の悪口を書いた犯人を突き止めるためにデパートの屋上に行くと、そこで岡田は運命的な出会いをしていた。
やがて先生に付きまとっている男との対決、友達の父親の正体、(スパイなんかじゃないってのは、友達が知らない女性に話しかけられた時点で、これって浮気相手っぽくね?なんて思ってたんで)窮地を救ってくれた本当の恩人(恐らく話しぶりから溝口であろうとは思ってたよ)、なるほどね〜の連続。

だからやっぱり岡田はなんでもできちゃうのかも。

「飛べても8分」
またもや溝口の相棒替わってた。
いい加減な奴なのに、どうしてこう毒島さんから可愛がられるのかいまいち分からないけど。
頭の悪そうな奴なのに、会話のセンスはちょっといい感じ。
ドタバタ演劇を見ているようで、玉突き事故のように出来事がどんどんと進んでいく。依頼された仕事をちまちまとこなしているときに、運悪く太股を轢かれてしまった溝口。
毒島さんの知り合いの病院に運ばれると、そこに毒島さんを狙っている奴も侵入してきて。

溝口は岡田のこと好きだったんだな〜。自分のせいで毒島さんに消されてしまったと、罪悪感から行動を起こすんだけど、毒島さんも馬鹿じゃないんだから、岡田は悪くないって知ってると思うんだよね。

で、ブログの正体で意見が分かれてるらしいんだけど、私は岡田生存説なので、岡田じゃないの?って期待してるんだけど。っていうか、岡田、生きてるよね。

連れ去られた車の中の会話が想像できちゃうし。結構おちゃめな会話をする岡田にユーモアを感じるのは、私の勝手か。それともそもそも伊坂氏だからね、会話を製造してるのは。
きっと毒島さんの言った通りなんだと思うよ。

伊坂氏の作風からいってもそっちがしっくりくるし。いや、最近作風変えました、これからはワイルドに、残酷にいきますっていうなら話は別だけど。

ただ、なぜゆえに毒島さんが溝口を許したのか分からない。
できれば岡田の生存の伏線もっと欲しかったな。あ、早坂家ももっと見たかった。

posted by じゃじゃまま at 11:48| 神奈川 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月14日

夜の国のクーパー 伊坂幸太郎著。

《★★☆》


ああ〜、こういうなにかの喩え話みたいなの、苦手。
猫と戦争と、世界の秘密の話。

戦争で負けた国に、敵国(鉄国)の兵士がやって来る。そして王を殺し、町の住民はこの先どうなるのか不安になる。
その国では、毎年クーパーを倒すための兵士が選ばれ、戦い終わると透明の体になるという。そして、透明になった兵士は、国を救うため戻って来る、と言われている。
敗戦国となり、鉄国の兵士がやって来た今、クーパーの兵士が救いにやって来るのは、今ではないのか。
その時、誰も乗っていない馬からなにかが降りた。砂埃は立つのに、姿は見えない。
それは・・・。

ガリバー旅行記を思い出すのは安易すぎるか?

どうにもこうにも、こういう訳の分からない話って苦手で、さっさと読もうととっととページをめくる。
もしかしたら、伊坂氏得意のリンクにはまったく気付かず来てしまったかもしれない・・・それでもいいや、ととっとと読み進めたけど、苦手な割には頭に入って来た。

鉄国の兵士の正体や、尊敬していた王の本性、おお〜!そう来たか。

あの迷い込んだ釣り人は帰れたのだろうか。

posted by じゃじゃまま at 16:39| 神奈川 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月06日

PK 伊坂幸太郎著。

《★★》


正直、なんだかよく分からない話だった。
「PK」「超人」「密使」の三篇からなる短編小説で、どれも微妙に繋がっている。
サッカーの試合でPKを決める日本人選手、脅迫されている大臣、架空の次郎君話で子供を脅かして躾けようとするお父さん、浮気相手から電話をかけられる作家。マンションから落ちる子供を救った新人議員。
時代を超えながら、ああ、この人があの人か、おお、この人があの人!!みたいにパズルのピースが合うように。

でも、まったくもって話についていけず、どこにも感情移入することもできず、正月早々苦しい読書明けになりました。
posted by じゃじゃまま at 12:38| 神奈川 ☀| Comment(3) | TrackBack(1) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月10日

マリアビートル 伊坂幸太郎著。

≪★★★☆≫

東京駅から盛岡まで行く新幹線<はやて>。それぞれが様々な事情を抱え<はやて>に乗り込む。そこで巻き起こる数々の事件。
ごちゃごちゃに絡まってるように見えた糸が、端と端を引っ張ってみたら、するすると一本の糸になるように、次から次へと事件が巻き起こるわりに、終盤に向けてどんどん整理されて、ラストが気になって仕方なかった。

息子を中学生に屋上から突き落とされ、復讐するために<はやて>に乗り込む木村。
誘拐された峰岸の息子を助け、身代金のトランクを運ぶよう命令された業者、蜜柑と檸檬。
トランクを奪い上野駅で降りるはずだった業者、七尾。
そんな彼らが、思わぬトラブルに見舞われ、盛岡まで行く羽目になる。

なんといっても木村の子供を屋上から突き落とした王子。
中学生という子供の仮面をつけ、<はやて>で起きているなにか異常な出来事を敏感に察知し、面白半分に自在に操ろうとする、この中学生、王子には、冒頭からイライラさせられっぱなし。
なぜ木村の息子が選ばれたのか、木村は何度も王子と出会っていた。よもやそれがこんな結果になるとは思わずに・・・。
伊坂氏の小説には、結構そういう不運な出会いがあるから、切ないんだよね。

この物語には数々の業者が現れる。
天道虫の七尾。頭は悪いけどトーマス好きの檸檬に慎重な蜜柑。ホラ吹きの狼に、なんでも「悪い話といい話」って切り出す仲介屋。起されると機嫌の悪い寝起きの悪い業者。毒針で一刺しのスズメバチ。
さりげない会話の中の伏線。

<はやて>に集う殺し屋たち。

木村親子がよかった。ああ、この人だったのか!って。歳は取っても嗅覚は衰えない木村父が格好いいね。
そうだよ、王子は許しちゃいかん!

posted by じゃじゃまま at 11:07| 神奈川 ☀| Comment(3) | TrackBack(1) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月08日

バイバイ、ブラックバード 伊坂幸太郎著。

≪★★☆≫

星野一彦はなにか大きなミスを犯してしまい、<あのバス>に乗り、一度行ってしまったら人間として戻って来られないようなところへ連れて行かれるらしい。
そして<あのバス>に乗せるために監視役として派遣されてきた繭美と共に、星野一彦は、付き合っていた女性たちに別れを告げに行く。

五股もかけていた一彦。
女性たちの元へ行くたびに、出会いが語られ、そのたびに「あれも嘘だったのね」となじられる。
それもそのはず、二ヶ月も姿を消した挙句、突然恐ろしい容貌で女とも思えない繭美と結婚するから別れてくれ、と言われるのだ。
繭美は星野一彦の元交際相手の女性たちに、容赦なく罵詈雑言を浴びせ、無理難題をふっかける。

なかなか物語がつかめず、当惑してしまった。
星野一彦がいったいなにを犯したのか、<あのバス>が連れて行くところはどこなのか、なにをさせられるのか、一切分からないまま、嫌な予感だけが残る。
大きな借金の肩に、売られていくのだろうか。

五股もかけるくらいだから、恐らく優柔不断で優男なんだろう星野一彦にも、繭美のぶっきらぼうさにも、事情はよく飲み込めないまま、なんとなく慣れてしまう。

五人の女性もそれぞれ、さまざまで、か弱そうな女性、子連れの女性、キャッツアイ並の女性に、計算好きの女性、最後は女優。
毒づきながらも<あのバス>に乗せるまで行動を共にした繭美は、最後<あのバス>に乗っていった星野一彦を、どうしたのだろう。

私は、救うために追いかけると思う。

それにしても意味不明な物語だ。なのに慣れてしまうところが伊坂氏か。

posted by じゃじゃまま at 13:33| 神奈川 ☁| Comment(4) | TrackBack(4) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月08日

オー!ファーザー 伊坂幸太郎著。

≪★★★≫

由紀夫には父親が四人いる。母は一人なのに。
ギャンブル好きの鷹、元ホストで居酒屋経営の葵、中学教師の勲、大学勤務の悟。父親全員が、由紀夫の父であることを望み、母を愛している。
そんな由紀夫の周りには、理解しがたいキャラの人間がいっぱい。いつもトラブルを運んでくる友人、鱒二。その鱒二を執拗に追い回す牛蒡男。
気のない由紀夫に動じない同級生、多恵子。登校拒否の小宮山。
裏世界を牛耳る富田林さん。

知事選、ドッグレースでの鞄すり替え、不登校の小宮山、町の不良に追い掛け回される鱒二。

張り巡らされた蜘蛛の糸に絡まれるように、彼らが、いくつもの出来事が、絡み合っていく。

しつこい多恵子も、自分のトラブルを由紀夫に振ってくる鱒二にもイライラヤキモキしたけど、どんな時でも由紀夫自身には切羽詰ったものはなく、自然体で受け入れてしまうので、だんだんこちらも怒っても仕方ないか、という気分になる。

そして不思議なんだけど、図々しい人間のオンパレードで、あれほど嫌いだった多恵子や鱒二が、最後にはさほど嫌いではなくなってる。
四人の父親も、一人が本物で残りの三人偽物じゃん!なんて引いてたのに、トラブルを解決してくれて、いつの間にか頼もしい父親たちじゃん、って好感持ち始めて。
由紀夫たちと一緒に、時間を過ごしたからかな、彼らのよさが分かってきたのは。

それにしても面白かったけど、面倒くさい話だ。

posted by じゃじゃまま at 14:18| 神奈川 ☁| Comment(5) | TrackBack(4) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月03日

SOSの猿 伊坂幸太郎著。

≪★★≫

家電量販店の店員遠藤二郎の元へ、かつて近所の憧れのお姉さんだった辺見のお姉さんが相談にやって来る。
息子が引きこもりで、どうにか助けてやって欲しいと。
ただの店員の遠藤二郎だが、イタリアで、二郎の人のSOSをキャッチしてしまう性格を見抜いた友人の紹介で、悪魔祓いをする神父と知り合い、なんとなく日本でも必要に応じてするようになったのだ。

そして二郎の話と交互に、証券会社の社員の操作ミスで20分の間に300億円の損失を出した責任の所在を、調べるよう依頼された品質管理部の五十嵐真の話が交ざる。
五十嵐真は物事の因果関係を調べる男で、それが仕事でもある。
五十嵐の話の中には、猿やらサソリやら不可解な生き物も登場して、現実離れしてしまってて受け入れるのに意識が必要だった。
でも最後で、なるほど、そういうことだったのか、って思ったけど。

遠藤二郎が引き受けてしまった引きこもりの青年と西遊記の孫悟空。

実は、青年と孫悟空の話で、遠藤二郎は準主役だったのか??と気付く。五十嵐真に至っては、脇役で、しかも利用された脇役??

なんとまあ、ややこしい話であるかも。気付けば気付くほど、ごちゃごちゃしてくる。
最初に、五十嵐真の物語は「因果関係」である、みたいに書かれてるから、うっかり五十嵐真だけを見てしまったけど、実は実は、すべての事柄が、因果関係だった。

だよね、五十嵐真の話は、誰が語っているのか。それに気付いたら、急に思い出した。
孫悟空が遠くまで行って暴れてたつもりが、実はお釈迦様の掌の上だったってこと。

せっかくの考え込まれた物語なのに、面倒くささを感じてしまった。


posted by じゃじゃまま at 11:49| 神奈川 ☀| Comment(5) | TrackBack(3) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月11日

あるキング 伊坂幸太郎著。

≪★☆≫
勝つことが求められていない弱小球団。試合中のファウルボールを避けようとベンチに頭部を強打して後、監督が亡くなった。
同じ時刻、監督のファンであった夫婦の元に一人の男児が生まれた。その名を山田王求。
彼を野球界の王とするために、彼の人生は悲劇を繰り返し、それでも彼は王であり続ける。

なんとも読後感が微妙な作品だった。
野球少年の話なら、それはそれでよかったのに。なんでまたこんな回りくどい話にしてしまったんだろう。

どうでもいい物語だったくせに、逆にいつまでも印象に残ってしまいそうだ。



posted by じゃじゃまま at 21:10| ☁| Comment(7) | TrackBack(3) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月28日

モダンタイムス 伊坂幸太郎著。

≪★★★≫
浮気を疑う妻が差し向けた男に、拷問されそうになる渡辺。会社では、得体の知れない会社ゴッシュの仕事を任され、前任者の五反田は「見て見ぬふりも勇気だ」と謎の言葉を残し行方をくらましている。
ある言葉をキーワードにして検索をすると、なにかが起きる。
それは一体なんなのか、なんのために。誰が?

五年前に起きた播磨崎中学校襲撃事件、浮気を疑う妻佳代子、友人の作家が示してくれたヒント、拷問しようとした男岡本との奇妙な距離、もりだくさん。

すべてが監視されてるとしたら。ネット情報の怖さや脆さをこれでもか、これでもか、って、いや〜、ボリュームあったよね。

「ゴールデンスランバー」と並行して書かれていたそうで、だからなのか、ネット情報の怖さ、捻じ曲げられた真実、逃げてるあっちの主人公がところどころで浮かんできた。
それぞれが言われた作業を仕事としてこなしてるだけで、システムは変えられない、それが奥底にある。それが怖い、本当に怖い。

結局、桜井ゆかりはなんだったのか。不倫は、運命だったのか、それとも仕組まれたものだったのか。
佳代子も恐い妻なのに、なぜか終盤頼ってしまってる自分がいたりして。佳代子って一体何者だったのか。



posted by じゃじゃまま at 08:56| 🌁| Comment(6) | TrackBack(3) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月28日

砂漠 伊坂幸太郎著。

≪★★★★☆≫
素晴らしい〜〜〜っ!と読んでる間と読み終わった後思った。
合コンで場の空気を白けさせても飄々として自分の説を唱える西嶋。そんな西嶋なら、砂漠に雪を降らせることが出来るかもしれない、この男なら奇跡を起してしまうんじゃないか、そんな男と出会った北村。
そんな北村が大学で巡り会った仲間、女好きで将来はスーパーサラリーマンになると宣言している鳥井。鳥井の女好きが原因で、とんでもない事件に巻き込まれ、大学4年間はその事件との決着をつけるために過ごしたかも。
そんな鳥井をずっと見つめてきた不思議な力を持つ南。誰もが振り向く美女なのに無愛想な東堂。その東堂を袖にした西嶋、この二人の行方やら、鳥井の事件やら北村の4年間は実に中身が濃くて、読ませたね〜。

まず、この5人プラス北村君の彼女の鳩麦さん。会話のセンスがいいよね〜、こんなテンポのいい会話、よっぽど気が合ってないと出てこないし、頭のいい人たちだね〜。
鳥井君が巻き込まれてしまった事件は、まさか「アヒルと鴨のコインロッカー」のように切なくて暗い方向に行くのかなって不安に思ったけど。
あの空き巣たちは、もしかして黒澤かな。多分どっかとリンクしてるよね。通り魔もどこかにチラッと出てなかったっけ?
そこも気になるけど、この物語自体もよかったよ。
大学生活のあの4年間は、彼らにとってどれだけ重要だったか、読んでるこちらまですごい充実した時間を一緒に過ごしたような気がする。読みやすかったし。

東堂さんと西嶋君の、あの時間をかけた展開も、好きだったな〜。
長谷川さんはほんとに腹が立った。

posted by じゃじゃまま at 22:33| ☔| Comment(10) | TrackBack(6) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月22日

ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎著。

≪★★★≫

力作じゃないっすか。JFK暗殺事件と同じようなことが日本でも起こったら、無実の人間が大きな陰謀によって罠に嵌められていく怖さ。JFK暗殺事件と重ねられて、オズワルドはきっと嵌められたんだろうって分かっちゃいるけど、なにか裏の組織の陰謀をプンプン感じるけど、でもまだまだ真相は明らかにされてないよね。誰が?って。多分、みんな、そうだろうな、そうに違いない、とは分かってるけど、でも断言する勇気ない。
この作品も、いったい誰がなんのために、どういう理由で、暗殺を企て、陥れる無実の人間を選んだのか。
そこは明らかにされない。
青柳雅春の不幸が、いったいどこで決まったのか。

それよりも、彼が罠にハマり、逃げ延びた二日間。もうどうなるのか心配で心配で、ルール違反を犯してしまった。チラッとラストを読んでしまった。いけない、いけない。
そうでもしないと、我慢できないんだもん。

ビートルズには詳しくないから、さっぱりだけど、何者かの陰謀により、たくさんの人間が犠牲になった。
20年後の章が、すごく気になった。真相に気付きそうな者も抹殺するなんて、大きすぎる!ばかでかい力には、小さな庶民なんて敵いませんよ〜。でも、勝ったとは言えないかもしれないけど、頑張った青柳が嬉しいね。

お父さんや昔の彼女、職場の先輩、彼らへ送ったメッセージ、ツンときました。「大変よくできました」は、何度も何度も読み返してしまった。
伊坂作品だから、いったいどこにどんな登場人物がいるか気になったけど、コンプリートしてないから気付けない。
posted by じゃじゃまま at 17:25| ☁| Comment(15) | TrackBack(9) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月06日

アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎著。

これもまた前半エンジンかからず、読んでは寝て、読んでは寝て、と中盤に辿り着くまで眠かった〜。物語の助走が長くて、動き出すのが遅いんだよね。
本屋の襲撃も頃もまだまだ物語が動いてなくて、本当に動き出すのは、襲撃後しばらくしてからと、過去の琴美が拉致されそうになった辺りかな。ただ、すべて読み終えてみると、その助走も充分に楽しめて、ああ、そういうことか!と分かってくる。ほんと、このパターン多いよね。

でも、なぜか読後、寂しくなった。
2年前とその2年後、過去を知らない椎名と、その過去に遭った不幸。なに一つ悪いことなんかしてないのに、現在ではいない人たち。
椎名には関係ない2年前と、2年後に関係してしまったこと。
すべてを繋げると、すごく寂しかった。

琴美たちがペット殺しの犯人たちと遭遇したことと、その2年後、本屋の襲撃を頼まれる青年、椎名の、この出来事がいったいどうなのよ?って感じで、そうか、読み終えるとじわじわと恐怖が湧いてくる。
頻発してたペット殺しの犯人たちと遭遇してしまった琴美の不運がすべての始まり。でもペット殺しという事件そのものは薄かったよね。伊坂氏の物語の焦点は、ペット殺し事件を解決しようとか、あいつらをとっちめよう、とかそこにはなくて、そこから始まる琴美、河崎、ドルジ、麗子さん、椎名たちが遭遇する物語を、あえてバラバラにして、そして最後に繋がる。
「一緒に本屋を襲わないか?」のセリフでイメージされる物語よりも、もっと静かで悲しい作品だと思う。

誰かがいなくなっても人と人の繋がりって途絶えることなく続いているんだな。
posted by じゃじゃまま at 10:31| Comment(12) | TrackBack(8) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月01日

ラッシュライフ 伊坂幸太郎著。

これもまた出来上がったストーリーなのに、また読むのに苦労してしまった。少し読むと眠くなり、また次の日も眠くなり、と時間のかかった本だった。どうして?「オーデュポンの祈り」もそうだった。完成度は高いと思うのに、なぜか疲れる。
多分、物語が加速して動き始めるまでが長く感じるから、疲れるんだろうな。

「ラッシュライフ」のような時間が前後するのって、映画でもよく使われる手法、なんていうんだろう。
で、一体なにがこの物語の一番初めなんだろう。
佐々岡の妻が「離婚しよう」って佐々岡から電話が来るのが一番最初?いや、その前に、河原崎が黒澤さんのマンションの隣の部屋で塚本を殺したのが?
凝りすぎているので、もう一度読めばすっきりはっきりするんだろうけど、今「アヒルと鴨のコインロッカー」に挑戦中で、これもまたなぜか眠くなってる最中で、頭がすっきりしないため、考えられない。

決して面白くなくはないのに、疲れる。ただ「ラッシュライフ」は加速してからが早かった。数時間で一気に読んでしまった。中盤以降かな。あの郵便局の強盗は、可笑しかったな。

河原崎の父の言葉で「嫌なことや悩み事は考えなきゃいい。胸にある時は漠然としてるのに、それを頭で考えるから深刻になるんだ。まずいんだ」ってあったんだけど、これずっと黒澤さんの言葉だと思ってたんだけど、すごくいい言葉。
確かにそうなんだよね。いやだな〜と思ってることを、あれこれああでもないこうでもないと考えるから余計悪い方向にしか考えられなくなってどツボにハマる。

でも考えなきゃいいんだよね。
これ、収穫。漠然とした不安は、いちいち深く考えないことだ。
「アヒルと鴨のコインロッカー」もやっと中盤。頑張らねば。
posted by じゃじゃまま at 22:50| Comment(8) | TrackBack(9) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月03日

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎著。

≪★★★≫
いきなりの展開で、びっくりした。すでにコンビニ強盗を起こした後で、捕まえられたのは中学の同級生の城山で、こいつがとんでもない悪魔ということ、どうやら逃げてきて、いつの間にか日本の地図から消されてる?誰も知らない荻島っていうところに伊藤はいる。なぜ自分がここにいるのかも思い出せず、轟というおっさんの舟で運ばれてきたらしい。
そしてそこには未来を知っている喋る案山子、優午がいた。

城山については、ところどころにその残虐さは語られるけど、伊藤の背景についてはそれほど描写も少なく、荻島という仙台から行ける距離で、でも誰も知らず、その島はその島だけで生きてきた、ここにポイントが絞られてる。

案山子の優午は未来を知っている。なのにその優午が殺された。なぜ??

ラストで、優午はなぜ自分が殺されることを予知できなかったのか、という謎が解き明かされる。

すごくすごく興味深くて、なんなんだ!?と気持ちははやるのに、なぜか眠かった。先が知りたいのに、読み始めるとだんだん疲れてくる。たぶん、濃いんだね。長いんだ。それだけ伊坂氏がこの作品で語り掛けたかったことがたくさんで、それに溺れそうになったのかも。
でもこれを半分にすると、それはそれで呆気なさそうだし、難しいところ。

一つ、城山の存在が中途半端な気がしてた。でも、よ〜〜く考えると、優午の計画は完璧だった。本当に完璧。
もっと城山いたぶってもよかったと思うんだけどね。

で、お次は伊坂作品、なにを読んだらいいんだろうか。個人的には「ラッシュライフ」にいってみようかと思ってるんだけど。

posted by じゃじゃまま at 11:30| Comment(11) | TrackBack(7) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月01日

フィッシュストーリー 伊坂幸太郎著。

伊坂作品はこれで2作目ですが、なんてうまい作家を私は知らずにいたのだろう?と思ってしまった。妙な余韻を残し続け、決して不快ではない絶望感を体験した「終末のフール」。
そして「フィッシュストーリー」で決定打って感じ。
特に4編のうちの「ポテチ」に感動!これを表題作にすれば、と思ったけど「ポテチ」よりも「フィッシュストーリー」の方が確かにタイトルとしてはお洒落な感じするもんね。

「ポテチ」と「サクリファイス」は連作で、「ポテチ」は書き下ろしとなってるので、空き巣の黒澤さんを書きたかったのかな?

「ポテチ」の登場人物はすべて愛すべき人たち。妙な人間関係なのに、みんな愛嬌があるというか、会話も伊坂氏のセンスのよさを感じさせるね。
空き巣に入った先で大西の自殺予告の電話を聞いてしまい、助けに行き、なぜかその後同棲してる二人。
その今村を軽く馬鹿にしながらも、誰にも引き取られなかった子犬をほっとけないって感じなのかな?そばにいる大西。

ちょっとお間抜けな今村が、母に対して思うある感情。
「ごめんな!母ちゃん!本当は母ちゃんの息子は・・・」胸がぎゅ〜〜〜〜っと締め付けられて、今村母、大西、今村の会話だけでも充分いい作品だけど、やはりこれがあってこそだよね。

「なに言ってるのよ。私の息子はこのバカ息子なんだよ」って、本当は今村にそのセリフを聞かせてあげたかったな。
できればこの人たちで、長編を是非。

あ、表題作「フィッシュストーリー」、解散しちゃったロックバンド、そのファンもどき、そしてその息子が、見えない繋がりで長い月日を紡ぐ物語も、こてこてしてなくてよかったけど。
でも「ポテチ」に押されちゃったね。
posted by じゃじゃまま at 11:20| Comment(13) | TrackBack(10) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月27日

終末のフール 伊坂幸太郎著。

世界が終わるまであと3年。5年前にそう宣言された。小惑星が衝突するらしい。残された3年、仙台北部の丘に建てられた団地「ヒルズタウン」の人々の姿を通して描いている。
ところどころに出てくる映画のタイトルが嬉しい。「キャプテンスーパーマーケット」なんて普通出てこないよ。(笑)

妙に心温まったり、悲しくなったり、辛くなったり。でも全体を通して、やはり温かい。一時期は、無差別にいろんな人が殺されたそうだ。絶望でパニックになり自暴自棄になった人たちが、苛立ち、暴徒と化すことによって紛らわせていたんだろうな、恐怖を。
「ヒルズタウン」の人々の身内も、缶ジュースを買いに行って撲殺されたり、自殺しちゃってたり、すごく悲しいはずなのに、悲しんでるよりも、終わりを分かっているのにそれでも生きなくちゃいけない方が辛いのかな、と思わせる。
世界の終わりを宣言されてからの5年間がどんなものだったのか、そのパニックの中生き延びられたことの方が不思議に感じてしまえる。

物語は、その5年間は回想の中で、そんなだった、と語られるだけで、あと3年生きていられる、生きなくちゃいけない人々の物語。

ずっと絶縁状態だった親子、ずっと子どもができなかった夫婦、妹の敵を討とうとする兄弟、あと3年で恋をしたいと思う女性、強くなりたいと思う少年、自殺する前に旧友に会う青年、家族ごっこをする家族を亡くした人々、ビデオ屋さんの家族、それぞれがなんだか温かいんだよね。世界は終わるのに、最後に家族円満だったり、本当は後味悪いはずなのに、もし世界が終わるなら、やっぱり平和で終わりたいな、家族でいたいな。

土屋さんの気持ち、家族で一緒に最期を向かえられるのが幸せなんだよ、って、そうだ、これが、終わるのに前向きでよかったんだよね。
伊坂作品は初めてだけど、どうですかね?いい作家さんですかね?



posted by じゃじゃまま at 22:17| Comment(10) | TrackBack(7) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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