2007年08月16日

花嫁人形 佐々木丸美著。

「雪の断章」の飛鳥、「忘れな草」の弥生、残る一人の従姉妹、昭菜の物語。先の2作品の姉妹編。
三人の娘の持つ血筋は、ある三つの企業の取締権を託されている。
この辺の真相は、企業小説でもなくファンタジーなんだけどね。
だから推理小説を読もうと思って手に取ると、全然違う世界に招待されちゃいます。

自分のためのまとめ書きなので、ややこしいし、万が一うっかり読んでしまっても、深く考えずスルーしちゃってください。書いてる私だって、まだまだ分からないことだらけ。

「忘れな草」の弥生の父である上久には、二人の妹がいて、一人が「雪の断章」の飛鳥の母。そしてもう一人が昭菜の母。昭菜の母は、昔から敵対している北一商事の一人息子と恋に落ち、引き戻されやがて昭菜が生まれた。
三人の従姉妹は連名で東邦産業、北一商事、北斗興産を動かす力を約束されているため、上久に三人の少女たちを託された友人の禾田氏は、敵対する一派から娘たちを隠そうと、飛鳥は孤児院に、弥生は囮の少女と一緒にある邸へ、そして昭菜は敵の本岡家に預けられる。

そう、この本岡というのは「雪の断章」で飛鳥が引き取られた本岡の実兄。昭菜の父である本岡は北一商事の代表取締役で、この北一商事には、飛鳥の婚約者である祐也がいるんだよね。
で、弟である本岡の方は東邦産業というとこに勤めていて、実は祐也は東邦産業の御曹司らしい。
だから「雪の断章」で散々飛鳥をいじめてたけど、本岡弟は、自分の会社の取締権を持つ飛鳥と、御曹司に楯突いてて大馬鹿。
ま、「雪の断章」のときはまだそんなこと知らずに、飛鳥と祐也は出会い愛し合うんだけどね。

もっともっと複雑なのは、従姉妹たちの父母である飛鳥の母、弥生の父、昭菜の母、この兄妹の父は、滝え雄司といって、なんと祐也のお父さんかおじいちゃんなんだよね。
ってことは、飛鳥と祐也は従兄妹か、まさか異母兄妹?
東邦産業と北一商事になにやら因縁があるらしいのは、祐也が家に反発するために東邦産業やそのグループ企業である北斗興産を蹴って敵陣である北一商事に入社したって記述もあったし、昭菜の母が北一商事の一人息子と駆け落ちして連れ戻されたっていうんだからね。

はっきりとはどこにも書いてなかったけど、本岡兄は北一商事の代表取締役。昭菜の母が恋に落ちた相手は、本岡兄だったのか?と、思ったのもつかの間。すぐに間違いに気付く。
昭菜の母は確かに、北一商事の一粒種と恋に落ちた、と書いてあるけど、本岡には、剛造という昭菜の従姉妹、飛鳥をいびりぬいた弟がいたんだった!

「忘れな草」の弥生の母は、南原夕子といって、北斗興産の創始者の末裔だった。東邦産業の血縁である上久家。北斗興産の創始者の末裔の母。その娘の弥生の争奪戦が始まり、昭菜の父もまた北一商事の一人息子。三つの企業の血筋が入り混じってる!
飛鳥だって東邦産業の血縁だし、婚約者の祐也にいたっては東邦産業の御曹司なんだし。

ところで、今回は昭菜が主人公であった。
北一商事の社長の本岡の元へ預けられたのは、禾田氏の知恵だった。あえて敵の中に大事な少女を置くことにより、敵の動きを封じ込め守る意味があった。
少女たちは自分たちの身の不運に、隠された運命があることなど知らずに、特に昭菜は、本岡兄を父と慕ってるのに、愛されず教育も取り上げられ、姉達にも言葉をかけられず、たった一人孤独に耐えていた。
母の弟だけが昭菜を愛してくれていた。誰からも許されず祝福されない愛。
壮大なスケールの一族の歯車により、姉の恋も翻弄され消えていく。
消えいく前に、昭菜へ渡された手紙。そこには愛されてなかったと思っていた父母の、隠された愛が綴ってあり、「花嫁人形」のなにが好きかって、ここが一番好きなの。
あんなに冷たかった父母、やはり親として子どもを愛せないわけがない。ドドドッと一気に涙が出たシーンであります。

そして昭菜は自分の幸せのために動き出す。飛鳥、弥生と共に運命が味方し、叔父のつよしと二人、禾田氏の元へ飛び込む。
で、結局、この先東邦産業、北一商事、北斗興産がどのようになっていくのか、隠された秘密も曖昧で、18年前に一体なにがあったのか、詳細は分からずじまい。「雪の断章」で出てきた西村刑事がまた出てきたり、一野木少年=高杉青年も、弥生の前に現れられないほどの、どんな復讐を遂げたのか知りたかった。

佐々木作品すべて読んだけど、これ以上彼らの過去を解く鍵はどこにもなかった。これで完結してしまったらしい。残念でした。

で、この姉妹編3編は、実は同時進行していることが随所に出てきます。昭菜の運命が、「忘れな草」の弥生の早計な行動により狂ってしまったことも出てきますしね。そして、「雪の断章」で飛鳥を大きな愛で愛してくれてた近端史郎がどの作品でもラストに出てきます。

ちなみに、「忘れな草」の高杉青年は「風花の里」にも出てるし。

posted by じゃじゃまま at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 佐々木丸美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月12日

忘れな草 佐々木丸美著。

「雪の断章」の姉妹編。飛鳥の従姉妹、上久弥生。飛鳥と弥生と、もう一人の従姉妹には隠された運命があった。上久の血縁は、北斗興産、北一商事、東邦産業、この3つの大きな企業を背負う後継者の血筋なのだ。
そして、バックアップする一族に一野木家。3人の少女を守るために眠れる獅子として手綱を握る父の友人、禾田氏。

この3つの企業に縁する血筋には、昔から誘拐、事故死などが絶えない。弥生を守るため、弥生と、二人の従姉妹たちは幼い頃隠された。飛鳥は孤児院へ、もう一人の従姉妹は敵の手の中。
そして「忘れな草」の弥生は名前を変え、もう一人の少女とどちらが本物の弥生なのか敵を欺くためにある屋敷に預けられる。
14年後、二人の少女のうちどちらが本物の上久弥生なのか、分かるのは禾田氏だけ。禾田氏により少女たちは引き取られ、一野木邸で暮らすことになる。
弥生は、一野木少年に愛され、愛し、14年という空白の時間。それでも弥生は一野木少年を愛し、少年も弥生を愛している。

ところが、邸には一野木少年はいない。高杉という青年がいるだけ。
14年前、一野木少年の父は、敵の手に落ち殺される。少年は復讐のため姿を消し、弥生たちの前には現れない。
そして弥生は、一野木少年を愛しているのに、高杉青年を愛する。
愛せるのは一野木少年だけ。高杉青年は一野木少年なのか。
高杉青年も弥生を愛してる。一野木少年はどこへ行ったのか、高杉青年なのか。

本当にややこしくて、相関図を何度書き直したことでしょう。「忘れな草」で初めて「雪の断章」の倉折飛鳥と弥生が従姉妹であることを知り、もう一人の従姉妹昭菜の存在を知る。
そして、飛鳥と祐也の愛は、運命の導きによるものだということも分かる。祐也の素性、史郎の父、すべてが運命により繋がっていた。

「忘れな草」の高杉青年の正体は、「風花の里」により決定打を打つ。
本当に3人の少女たちの数奇な運命に酔いしれる姉妹編。





posted by じゃじゃまま at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 佐々木丸美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月10日

雪の断章 佐々木丸美著。

昭和58年第1刷の本、24年間何度も読み返したせいで、表紙はボロボロ、ページも黄ばんでバリバリ。ところどころセロハンテープで補修してある。

孤児の飛鳥。同い年の娘がいる本岡家に引き取られ、5歳の女の子なのに休む間もなく働かされる。飛鳥は、蔑まれるためだけにそこにいなければいけないのか。
運命の力がそっと飛鳥を後押しする。堪らず飛び出した飛鳥。そこである青年と出会う。
導かれるように青年と再会し、やがて引き取られる。
そこで飛鳥は、祐也の深い愛、史郎の大きな愛に囲まれ成長する。

高校生になったとき、本岡家の長女、聖子と再会。そして殺人。
疑惑。祐也と飛鳥を嫉妬で引き裂こうとする家政婦。チビちゃんと呼びながら、史郎の心が大人の男の愛に変わっていくのも、心を見せない祐也よりも、私は好きだった。
孤児ゆえに頑固で自分の世界を崩そうとしない飛鳥。そんな飛鳥に戸惑いながらも、祐也と史郎は見守り愛し続ける。

飛鳥はどちらの愛を選ぶのか。

飛鳥の視線で語られるので、一人よがりで思い込みも激しく、祐也に他の女性の影がちらついても、結局それは謎のまま。
二人の大人の男が、まだ幼い少女だった飛鳥を育てながら、徐々に一人の女性として愛し始め、飛鳥の心は祐也にありながらも、それが叶うのか、史郎のストレートな愛に応えるのか。
私はここが一番好きだった。まさか、飛鳥の出生の秘密が、すべてに繋がってるとは知らずに、純粋にそこだけで感動していた。

殺人者は誰なのか。一体なぜ?
運命、まさにこの物語の人物たちは、運命によって引き寄せられ、私に大きな影響を与えた作品。
どうにもならないとき、飛鳥の背負ってきた運命を思うと、自分も自分の運命を受け入れてみよう!という気になる。
posted by じゃじゃまま at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 佐々木丸美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

佐々木丸美さん

私は佐々木丸美氏の「雪の断章」を愛してやまない。
本当はずっと、そっとしておきたい作品なのだけど、自分のメモ書きとして書き留めることを決意。

「雪の断章」「忘れな草」「花嫁人形」は、ある一族の壮大なスケールで描かれる、陰謀と謎と隠された運命の物語。でも、ミステリと思ってはいけない。陰謀や謎がすべて解き明かされるわけではないので、一体なにが起こったのか、一体なにをしたのか、誰が犯人なのか、なんてことは謎のまま。
ただ「雪の断章」は序章で、最初の一端でしかないけど、この作品に関しては、これから始まる壮大なスケールの運命の物語は、一言も語られていない。
次に続く「忘れな草」「花嫁人形」と、3人の従姉妹の、陰謀と謎と隠された数奇な運命が常にどこかでリンクし、間に数作品挟み「風花の里」で一応の一族の物語の決着を迎える。そして作品を追うごとに、哲学的なもの、内面を重視した内容が幅を利かせて、「雪の断章」が一番ロマンティックで単独でも感動できる。

飛鳥の出生の秘密を知り始めると、どツボで、相関図を作れば作るほど眉間に皺が寄ってしまった。

24年前に読んで以来、何度も何度も、一番読み返した、私の宝物。
佐々木氏は他にも崖の館に集まる、これまた従兄妹たちの不思議な運命の神秘の館シリーズ作品があったり、「沙霧秘話」もこれまたしかり。
そしてすべての作品が、どこかで繋がっていたりする。

共通して、生命の神秘、仏教的思想、心理、など奥が深い。
大好きな「雪の断章」だけど、昔斉藤由貴主演の映画になったけど、私からすると問題外。
愛してやまない者としては、この作品を映画化するならば、続く「忘れな草」「花嫁人形」も視野にいれなければ、飛鳥の本当の意味での物語は成立しないし、できれば、ファンとしては中途半端な形で映画化することはやめて欲しかった。

まだまだ語りつくせないけど、続きは「雪の断章」で。
posted by じゃじゃまま at 12:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 佐々木丸美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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