2015年09月13日

闇に咲く〜おいち不思議がたり あさのあつこ著。

《★★★》

江戸の町で夜鷹殺しが起こった。
時を同じくして、おいちの父の診療所の元へ、松庵の噂を聞きつけて小間物問屋「いさご屋」の主人がやって来た。
自分の中に、幼くして死んだ双子の姉がいる、と。
二つの出来事がやがて一つに繋がって行く。

犯人はこっちに見せかけて本当はあっちじゃない?と思ったら、やっぱりこっちだった、っていう話だった。

叔母さんと松庵の掛け合いは面白いけど、ちょっと長いよね。
だけど、おうた、松庵、仙五朗親分、新吉、おいちの周りには本当にいい人ばかり。
早くおいちと新吉、進展して欲しいな〜。



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2012年12月14日

花宴 あさのあつこ著。

《★★★》


代々、藩の勘定奉行を務める西野家の一人娘紀江は、祝言の後もかつての想い人を忘れることができなかった。うしろめたさに苦しみながらも、慎ましい暮らしを送っていた彼女だが、ある朝、夫から思いもよらない事実を告げられて・・・。妻となり、子をなしても、かつての婚約者の面影を追い求める紀江。すれ違う二人に訪れるのは・・・。夫婦の悲哀を描ききった、感涙の時代小説。(「BOOK」データベースより)

切なかったな〜。
紀江が母の形見の簪を落としてしまい、思わずその場にいた武士に声をかけてしまった。
女が男に物を探させるために膝をつかせるとは、その失態に気付いた紀江だったが、いち早く膝をつき雪でぬかるんだ土に指を入れ探してくれた武士がいた。
その武士に続き、みなが探してくれた。
「ようございましたな」探し出してくれた武士の名は三和という。その眼差し、声が忘れられない。
その三和が紀江の婚約者として再び現れた。喜び、幸せに包まれる紀江だが、三和の兄が殺され、そのあだ討ちのために破談となる。
ずっと互いが忘れられない。後に紀江の婿として父が名を挙げたのは新佐衛門。物静かな男で、欲や諍いを好まず、なぜ父がこの男を選んだのか、三和を思い続ける紀江には物足りなさと不満があったに違いない。

そんなすれ違う夫婦が、切ない。
最初は、互いを想いながらも結ばれない三和と紀江が切なかったけど、紀江が夜三和の名前を呟いちゃったり、妻に自分以外の想い人がいることを知りながらも紀江を想う新佐衛門に徐々に切なさが募った。

新佐衛門は最初からきっと紀江が好きだった。紀江が三和の方を向いていたとしても。
それでも静かにそっと想い続けていたんだろうなと思うと、なんと男らしい。
父が殺され、その裏に陰謀が隠されていることを知り、紀江は初めて、父がこの男を娘の夫として最大に信頼していたことに気付く。
そして、昔、母の形見の簪をいち早く探すために膝をついた武士こそが新佐衛門だということを思い出す。
皮肉にも夫の優しさ、強さを知ったとき、三和との対決が待っていた。

こんなに切ないラストだとは。思わず泣いちゃった。泣くとは思ってなかったけど、泣いた。

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2012年08月19日

桜舞う おいち不思議がたり あさのあつこ著。

《★★★★》


「おいち不思議がたり」の第二弾。
でもこれで終わりなんじゃないかって思ってしまった。
おいちは父松庵の元で、長屋で診療を手伝っている。貧乏だけれど、人々と関わり、人々の助けになっている、そんな父を誇りに思い、自分もそう生きたいと願っている。
母はいないが、母の姉の伯母おうたがなにくれと世話をやいてくれ、篤い愛情をかけてくれる。
そんなおいちには不思議な見える力があり、幼馴染みのおふねちゃんが苦しんでいるのが見えた。おいちは走った。でも間に合わなかった。助けられなかった。そこで出会った田澄十斗。
実は十斗はある人物を探しており、おいちの名を聞き、探していた人にたどり着いたと思った。

おいちはおふねちゃんが助けて欲しかったことに気付き、おふねちゃんを死に追い詰めた人物は誰なのか、おふねちゃんはなにを伝えに来たのか、考える。
そんなとき、おいちを二度も襲おうとしたやくざものたちが殺される事件が起きる。
疑われてしまったのは、おいちのことを想う職人の新吉。だが、松庵も岡っ引きの仙五朗親分もこれは医者が関わっているのではないかと疑う。
十斗がおいちを訪ねてきて、松庵の弟子になりたいと申し出るが、おいちは十斗の本当の目的は他にあるのではと見抜く。
お松が父親の借金のかたに身売りさせられるかもしれないと知り、またもやおいちは走るが、そんなとき、松庵に人殺しと詰め寄る十斗の声を聞いてしまった。
過去になにがあったのか。それはおいちの出生の秘密でもあった。

松庵と十斗の過去。おいちの出生の秘密。お松ちゃんの失踪。
クライマックスは怒濤のようにやって来た。
お松ちゃんの失踪とおふねちゃんの死。三度走るおいちに危険が迫る。すべてがハッピーエンドではないけど、でも長屋で松庵と暮らすおいちには、そこでの人々との関わりがすべて。小さい頃からよくしてくれた長屋のおかみさんが死んでしまったり、縁談を進めるおばあさんや伯母。悲しいことも嬉しいことも、全部おいちはここで感じながら松庵と生きていくんだな〜。

新吉とどうなるのか、おいちもまんざらではないようなので、できればくっついて欲しいけど、なんとなく終わりなのかなって。松庵の過去も分かって、実はおいちと十斗は兄妹で、それでも松庵とおいちは親子だし、おうたにとっても大事な大事な姪っ子なのだ、とじんわり泣いてしまった。
だからこの先はもうないのかなと思ってしまった。遠野屋シリーズも終わりのようだったし、これでおいちシリーズも終わってしまうと寂しいな。


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2012年07月16日

東雲の途 あさのあつこ著。

《★★★★》


心に深い闇を抱える小間物問屋、遠野屋清之介。その闇を嗅ぎ取り、執拗に遠野屋にこだわる同心、木暮信次郎。どこか人間として欠けていると、つかみどころのない信次郎に呆れながらも、離れることができない岡っ引き伊佐治。
清之介と信次郎は対極にいながらも、どこか根っこの部分は似ている。
伊佐治は執拗に遠野屋に絡む信次郎を、憎まれ口をききながら諌めることもできる。
暗殺者としての過去を捨て、商人として生きると決めた遠野屋、その陰にしつこくつつきまわる信次郎にはハラハラ、イライラしながら、でもこのシリーズはもしかして終わりなのかな。

今までずっと遠野屋にこだわり続けてきた信次郎。水死体が上がり、商人に化けた侍がなぶり殺しにされていた。その事件が、またもや二人を引き寄せる。
その水死体からある物を取り出した信次郎は、これはなにか密書の類で、きっと裏があると見破る。
時を同じくして、遠野屋の元へ、兄者の側近がやって来る。なんの因果か、その水死体を遠野屋に引き取って欲しいと頼みにやって来た。
この伊豆という武士と、木暮、伊佐治は遠野屋の屋敷で対面してしまう。

やはり遠野屋は死を引き寄せる、と信次郎はクツクツ嗤う。

ここまでは今までと同じパターンで、せっかく静かに生きようとしている清之介の邪魔するんじゃないよ!と思ってたんだけど、本当に過去と向き合い決別するために、遠野屋は自分の過去を木暮信次郎や伊佐治にさらけ出し、不毛な天下取りを止めさせ、商いで平和を築こうと生国へ向かう。

その展開に、なんと、信次郎は旅立つ遠野屋と同行する伊佐治を品川で引き留め、遠野屋に、必ず生きて帰って来いと、こんなストレートにではないけど伝える。
伊佐治にも、用心に用心を重ねろ、と今までの信次郎のイメージを覆すかのように実は人間だったじゃん、と安心した。
なによりも、意地悪にしか見えてなかった信次郎が、今回の事件を通して、初めて遠野屋の味方になった気がして、嬉しくなった。
今までも信次郎は別に遠野屋を嫌っていたわけではないんだろうけど、二人が、そして伊佐治を含めて三人がぐっと近づいて、遠野屋は生国が経済で立ち直ることにも成功させた。

もしかして弥勒シリーズ、私には遠野屋シリーズだけど。終わりなのかな〜。
今まで執拗に遠野屋に絡んできた信次郎だけど、遠野屋が自分の過去を語り、認め、その上でまっとうに商人として生き切ると宣言して、隠してきた今までと違い、もう信次郎がこだわって意地悪しなくてもよくなったし。仲良くなった三人をもう少し見たいな。

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2011年08月31日

燦 あさのあつこ著。

≪★★★≫

田鶴藩藩主の次男、圭寿の側仕えである筆頭家老の嫡男、伊月。
ある日、藩主を襲った燦と出会う。
神波の一族であるという燦。伊月の父、伊佐衛門から聞かされた、一族を滅ぼした田鶴藩の罪、燦との隠された宿命。

物語はまだ始まったばかり。
伊月と燦の出会い、伊月と圭寿の固く結ばれた信頼関係。次男であるために藩政には関係ないとされていたが、嫡男である兄が病死し、とうとう圭寿が表舞台に立つことになる。
三人の人生が大きく変わろうとしている。

今までまったく藩政に興味のなかった圭寿だけど、なにか秘めた能力があるように思える。藩主を襲った気配にいち早く気付いたのも圭寿だし、今まで兄の後ろであえて控え目にしていただけなんだろうな。
そしてその圭寿を支え守る伊月と、互いを引き寄せあうように近づいていく兄弟、燦。

江戸に舞台を移した彼らの成長が早く見たい。
この前に「ちょちょら」を読んでいたおかげで、藩というものがすんなり入ってきたのがなんだか嬉しかった。


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2011年01月12日

暗き夢に閉ざされた街T あさのあつこ著。

≪★★≫

魔布家に流れる宿命の血。明け方結祈は空を真っ赤に染めるオーロラを目にした。
その日から、街には不穏な空気が流れ始め、奇怪なことが起こり始める。
そして、結祈は祖母から自分の背負った使命を知らされ、果たすために立ち上がる。
代々魔布家には女子しか生まれないはずであった。だが、結祈には双子の弟香楽がいる。
その意味は?
闇の者たちとの闘いに勝てるのか。

うん、とっても簡単な感じ。たとえば同じように魔物と闘う話では、柴田よしき氏の「炎都」が私は好きだし、小野不由美氏のシリーズに似たような感じもするけど、それよりもイージー。
印象としては、子どもの頃見てたNHKドラマシリーズの「ねらわれた学園」とか、「謎の転校生」のような、夕方子ども向けドラマで見たい、つまり子ども向けって感じってことか。

目が覚めたらこれは夢だった。町は元通り平和だった、みたいな夢のような物語。緊迫感をああんまり感じないんだよね。

まだ続きがあるので、とりあえず彼女たちの闘いがどうなるのかだけは知っておこうかな。


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2010年09月09日

火群のごとく あさのあつこ著。

≪★★★≫

当代一といわれた剣士と謳われた兄が闇討ちに遭い、斬殺された。
兄の死の真相を知りたい、兄嫁の七緒、母上、そして新里の家を守るため、強くなりたいと願う林弥。
そんな林弥が仲間の源吾、和次郎と共に通う道場に、気性の激しい野中を、余裕さえ感じさせる竹刀さばきで圧倒させた、小憎たらしい少年がやって来た。
強くなりたいと願う林弥には、その竹刀さばきに心を奪われる。

その名は樫井透馬。兄が江戸詰めの時に、剣の手ほどきをしたという。兄が認めた剣。
透馬もまた結之丞の死が、闇討ちで、むざむざ斬殺されたとは信じがたく、真相を突き止めるためやって来たのだ。

二人は、結之丞を心から慕い、その結之丞がそれぞれの剣を認めた。
自分が兄から剣を学ぶ前に、手ほどきを受けていたという透馬に嫉妬する林弥。
心から慕い続けた結之丞の弟に生まれた林弥を羨ましく思う透馬。
そんな二人は、認め合い、友情を育んでいく。
そして結之丞の死の真相をめぐり、14歳の剣士たちは藩内の権力争いに巻き込まれながら、大人になっていく。

仲間であった源吾の悲劇、それぞれに生まれついた家での決められた生き方。
窮屈そうに見えて、あの時代は今よりもみんな大人だったよね。
きちんと家のことを思い、親からの言いつけに従うのって、実はしっかりした人間じゃないとできないんじゃないかって、そんなことを感じてしまった。

結之丞や、過去にも斬殺された事件があったけど、殺気を感じさせない殺意、一瞬、あさの氏の他のシリーズの主人公が犯人か?って思ったけど、よかったよかった。ちゃんと別物語で。

それにしても、やっぱり時代小説はいいね〜。活気を感じるよ。



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2010年03月12日

神々の午睡 あさのあつこ著。

≪★★★≫
この地でまだ神々と人間が共存していた時代。その記述が記されている羊皮紙が発見された。
その時代、この地には神々と人間と、神と人の間のクウという3種類の者たちが共存していた。

「リュイとシムチャッカの話」 雨と雲を司る力を授けられたシムチャッカ。祝祭が人間の手で執り行われるはずだったが、女神が人間に恋をした。その悲恋。シムチャッカの弟であるリュイは優しい姉を失った。

「グドミアノと土蛙の話」 死を司る神グドミアノ。あまりにも美しい死神。その幼なじみの沼の神フィ。あまりの容姿の醜さに酒と豊穣の神である母に捨てられた。それゆえか、母という存在にこだわり続ける。
死の沼で、フィはある少女と出会う。その命をグドミアノから守れるか。フィの想いが切ない。

「カスファィニアの笛」 心清き者にしか奏でることが出来ないという
笛。その笛を欲しがる姫君のために戦では負けたことのない将軍が、愚かなプライドのために身を滅ぼす。

「盗賊たちの晩餐」 自らの失策のために仲間を捕えられた盗賊たち。その仲間を助け出すために、風の神のサンダルを盗み出すという大胆な作戦に出る。
唯一明るい話だった。

「テレペウトの剣」 莉の国の王の弟が謀反を起し、皇子であるラジャだけが生き延びた。大好きだった伯父が父を殺してしまうなんて・・・。
だがそれは、世を平和にしようとした戦と守護の神であるテレペウトの
失敗だった。

「終わりと始まり」 この世は終わろうとしているのか。この地で生きる者すべてを作り上げてきた大神の仕業か。今、大神の身になにかが起きている。人間の仲間を救うため、リュイは父である大神に会いに行く。

なぜ羊皮紙が発見されたのか、ラストで種明かしがあって、読み終わってみるとなかなかに面白い物語だった。




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2010年03月04日

ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり あさのあつこ著。

≪★★★☆≫
こんなカタカナのタイトルだから、てっきり女子高生の物語かと思ったよ。時代物じゃん。
町医者である父松庵と長屋で暮らすおいち。母とは幼い頃死に別れ、その後は裕福な紙問屋に嫁いだ母の姉であるおうたがなにくれと世話を焼いてくれている。
おいちは、情念を背負って苦しんでいる人を瞼裏に見ることができる。それは自分がなにか人のために役立つことの一つではないかと、おいちは感じている。

ある晩、おいちはその瞼裏に苦しんでいる女の姿を見る。松庵と共に長屋に訪れるのを待っていたが、来たのはおいちへの縁談の話だった。
生薬屋「鵜野屋」の直介は、昔松庵が命を助けたという。その恩を、当の本人の直介も、その父母も片時も忘れたことがなく、ずっとその恩に報いたいと願っていた。

おいちは、直介との縁談よりも、確かに見た助けを乞う女が気になり、鵜野屋を訪ねる。
そこには、女の情念が渦巻いていた。

一作を通しておいちと鵜野屋の物語であり、面白かった。
まるで遠野屋シリーズ?でも見ているよう。ただ短編連作ではなく、長編だった。
きっとこれは続くのではないだろうか。
おいちと鵜野屋は夫婦になることはないだろうけど、それよりもあの簪職人の新吉が気になるよね〜〜〜〜。
次作では、絶対にまた新吉出て欲しいし、岡引の仙五郎も伊佐治みたいでいい。

それに、父松庵の過去。まだ謎がありそうで、明らかになってないしね。松庵とおいちの関係もあるじゃ〜〜ん。
すごい楽しみ。

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2010年02月28日

木練柿 あさのあつこ著。

≪★★★☆≫
刀を捨てた小間物問屋の主、遠野屋清之介。遠野屋って男の周りには死が寄ってくる。死を呼ぶんだよ、あの男は・・・。そう言い切り、自分自身も遠野屋に構わないではいられない同心木暮信次郎と、そんな二人をはらはらと見守る岡引伊佐治。シリーズ第3弾。

おりんを失い、遺された義母と共に、互いを労わり傷つけないように暮らしてきた遠野屋とおしの。
その遠野屋の過去に執拗にこだわり、その傷に触れずにいられない信次郎。
互いに互いを認めながらも、素直にならない二人。
信次郎の行き過ぎに腹を立てながらも、鋭い洞察力には舌を巻いている伊佐治。
一作目では伊佐治と信次郎がうまくいってなくて、え〜、こんなんでいいの?ってそっちに気が行ってしまった。
二作目では信次郎はそれなりに遠野屋に一目置いてる風だったのに、三作目ではすっごい意地悪。

ただシリーズ進めば進むほど、遠野屋の過去がどうしても切り離せなくて切なくて、事件が起こるたびに遠野屋が只者ではないことが分かってしまう。
このシリーズ絶対にまだ終われない。必ず遠野屋には過去の陰を精算しなくてはいけない時が来ると思うから。


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2009年11月23日

ぬばたま あさのあつこ著。

≪★☆≫
すべてを失った男。幼き頃、母が去った山。その山に足を踏み入れた。
女たちが舞っていた。男は獣に変身していく。

成美は15歳まで住んでいた山間の小さな町に、晶君を置いてきてしまった。たった一人ぼっちで。待たせてしまった晶君に、成美は会いに行く。

恭平の幼なじみの輝樹が自殺をした。夏休みに入ったあの夏。恭平と卓也と輝樹は、釣りをしに行った帰り、少年らしい冒険心で、老人の蛆の湧いた死体を発見してしまった。そのときの黄色い蝶を見た、と言って輝也は死んでいった。

私には見える。死んでいることに気付いていない人たちが。
その人たちに山へ還りなさい、って言ってあげることが、私にできることだから。
山は、人の魂が還るところだから。

山に呼ばれた者たちの、悲しみと狂気の物語。
暗くて、切なくて、読んだ後、なんともいえない気持ちになった。



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2009年11月18日

弥勒の月 あさのあつこ著。

≪★★☆≫
以前読んだ「夜叉桜」のシリーズ1作目。
こちらの方が1作目だったのに、うっかり「夜叉桜」を先に読んでしまって、かなり面白かったので、シリーズ1作目期待してたんだけど、あれ?後の方が面白かった。

同心の信次郎と、信次郎の父の代から仕えてる岡引の伊佐治、まだしっくりいってない間柄。
ある夜、女が川に飛び込みをした。
遠野屋という小間物問屋のおかみだという。主に、この飛び込みの件を調べ直して欲しいと頼まれた信次郎と伊佐治。
遠野屋の主に、なにかを感じている信次郎。調べはなかなか進まない。
そして、次々と遠野屋のおかみの飛び込みに関わった者たちが、命を落としていく。

この事件の裏にあるものは?

なんと切なく暗かった。
「夜叉桜」もほとんど忘れてるけど、まだ遠野屋の謎は続くらしい。
でも大丈夫。このシリーズは後にいけばいくほど面白いんだから。


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2009年09月26日

朝のこどもの玩具箱 あさのあつこ著。

≪★★☆≫
不思議だったり、切なくなったり、ほろりとしたりの短編集。

「謹賀新年」は、お父さんの再婚相手の麻衣子さんを、あたしのお母さんと思う人はほとんどいない。そんな若い麻衣子さんとあたしを遺して、お父さんが病気で亡くなってしまった。
ただそれだけのお話なんだけど、ほっこりしてくる。
お父さんが、どれだけ麻衣子さんを好きだったか。そして「あたし」と麻衣子さんの関係が良好であるか、それが分かるから。
しいていえば、麻衣子さんがどれだけお父さんを好きだったか、知りたかった。

「ぼくの神さま」 フユンの住む街で奇病で死者が出た。フユンの父も犠牲となった。次々に死者が出る、そしてみんな同じ工場で働く者たちだった。その工場でなにが行われているのか。新薬の人体実験なのか?
短い物語の中では、なにも解決も解明もしない。
フユンがこの先、どう立ち上がっていくのか、見届けることはない。

ただ、この物語の続きがあったらな〜と思う。

「がんじっこ」 村で一番の嫌われ者のおばあさん。頑固で強情で、という人をがんじっこと言うらしい。がんじっこのおばあさんの昔話は、胸にじんとしたものが来た。

「孫の恋愛」 息子の提案した「プロジェクト0」。人間社会に潜り込み、自分たちの居場所を守るための任務。ところが、孫が人間に恋をした。多分、そんな展開だろうな〜とは思っていたけど。

「しっぽ」 朝起きたらしっぽが生えていた。言いたいことが言えずにいた少年は、そのしっぽのおかげで強くなれた。でもその代償は・・・。
ふっと、道尾秀介氏の「悪意の顔」という短編を思い出した。あっちの方が恐かったけどね。

「この大樹の傍らで」 地球から遠く離れた星で暮らし始めた人間たち。ニレたちはロケットに乗って飛び立った。本物の森をその目で見るために。地球に戻るために。そして、地球は、地球自身の力で生き返っていた。「宇宙戦艦ヤマト」みたいで、もしも本当にそんな風になったら、嫌だな、と私は思う。
やっぱり地球に住み続けたいよ。


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2009年05月03日

待ってる橘屋草子 あさのあつこ著。

≪★★★★★≫
江戸の町を舞台に、その日を一生懸命生きる、裏店で暮らす人々。
そんな人々の、豊かではない、時に哀しい生き様を綴った連作短編集。
でもただ切ないだけじゃない、哀しいだけじゃない、ラストには一筋の幸せへの光が、時に弱々しく、時には強く伸びているのが救いだった。
そして料理茶屋「橘屋」の仲居頭のお多代。彼女がこの物語の一筋の光なんだよね。

「待ってる」 橘屋に奉公してる間に両親と妹が夜逃げしてしまった。おふくはそれでもおっかさんを待ち、幼なじみの正ちゃんの年季が明けるまでを待ってる。

「小さな背中」 大事な娘を病で失ってから、おみつたち夫婦の不幸が始まった。そんなとき、隣の部屋から折檻されてる子どもの泣き声。庇ううちに我が子にしたくて・・・。どんな母親でも子どもは傍にいたいものなんだ、どれも泣けるけど、泣けた。

「仄明かり」 薬も買えない暮らし。お敬は林蔵のためになんとしても手に入れたい。そんなお敬に偶然を装い昔のいいなずけが現れた。
お敬の窮地を救ったのは、やっぱりお多代。そして林蔵の愛だった。

「残雪のころに」 自分には女としての魅力があると、その価値でのし上がろうとしていたおその。小娘のその甘さをお多代はぴしりと窘め、おそのは大人の女の幸せを掴む。思うままにならない人生だけど、女はずぶとい。

「桜、時雨れる」 幼い頃怪我をして、見舞金が入ったために父親は酒に溺れ、母親は見限って出て行ってしまった。残された三太。
母親の働いていた料理茶屋「橘屋」へ消息を尋ねに行き、そこで三太は自分の生きる道を見つける。

「雀色時の風」 おふくの母親が見つかった。幼なじみの正ちゃんが教えてくれた。でももう母は別の幸せを見つけていた。悲しいけれど、おふくもすでに自分の生きていく場所を見つけていた。出会いと別れ、再び歩き出すまで。もうおっかさんの腕に抱かれてた子ども時代じゃない、大人にならざるを得ない時代で、なんと強いことか。

「残り葉」 物語りも終わりに近づき、おふくとお多代の別れも近づいていた。薄幸だったおふくが、橘屋で生きる場所を見つけ、肉親との別れ、淡い恋との別れ、いつも支えてくれていたお多代との別れ。
お多代の人生を思うと、これもまたなんと波乱万丈なことか。
お多代に太之助がいたように、おふくにも長七が寄り添ってくれることを願う。

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2008年08月04日

金色の野辺に唄う あさのあつこ著。

≪★★≫

藤崎松恵、母であり曾祖母であり、恩人であるその女性が、今静かに息を引き取ろうとしている。
この物語は、松恵に関わり、松恵によって救われた人々が、松恵との思い出を回想しつつ、また救われていく。
孫である充の息子、東真は、絵を描くことが好きで、同級生の才能に嫉妬し苦しみ絵を描くことを拒んでしまったが、曾祖母の遺言であろう言葉を聞き、もう一度描く決心をする。
そして、同級生の少女への想いも隠すことなく自身で認める。

孫の充の元へ後妻としてやって来た美代子。美代子自身家族に縁の薄い人生だった。松恵に「珠を持っている」と言われ、彼女は救われた。

花屋の店員は、強盗と叫ばれても仕方のない状況で、松恵に御飯をご馳走になり、温かく受け入れられたことにより、前向きに一歩踏み出すことができた。

娘である奈緒子は、類稀な美貌により、その出生を疑われ、実の父から拒絶されていた過去を持つ。その哀しみを母である松恵だけが受け止めた。それは母、松恵にとっても同じ苦しみだったから。
松恵は、夫が死ぬ間際に発した一言により、長年溝があったことを知る。
この母子は、悲しいほど運命共同体なのだな。

松恵は、彼らの苦しみや哀しみを受け止めて、そして救い、安らかに旅立っていく。
一瞬戸惑ってしまったけど、人と人の繋がりの話か、って後から納得したら、じんわりきた。
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2008年03月20日

バッテリー(3) あさのあつこ著。

≪★★★☆≫
「バッテリー」シリーズは、ちょっと食傷気味だったので、しばらくお休みしようと思ってたけど、息子が図書館の児童書コーナーで発見してきて、「ほら、あったよ〜」って持ってきてくれたので、私を喜ばそうと思ってのことだし、がっかりさせちゃいかんと、借りた。

だけど、もしかしたら1よりも、2よりも面白かった。理由は、映画では多分なかった部分だから。1も2も、映画の通りで、だから飽きてたのかも。
それと、巧の気持ちがちょっと分かるよ。
本当に言いたいことは違うのに、もっと相手にかけたい言葉はあるのに、出てくるのはそっけない言葉だったり、というもどかしさ。
不器用なんだな〜、照れ屋なんだな〜、と、巧もしかしたら少し変わった?

2では巧の才能に嫉妬して、妬んだ上級生から受けたリンチのせいで、野球部が活動停止に。映画では、活動を再開させるために、強豪チームに巧の投げる球を受けさせ、リターンマッチさせるという展開になるんだけど、原作では、その前に、まず巧の学校内で、レギュラーチーム対1年生チームで紅白戦を行い、校長先生の心を動かす、という部分があったんですね〜。映画は、そこんところがなく、いきなり強豪チーム。

だから知らない部分を読んだので、面白かった。巧の同級生たちの見えなかったキャラや才能が出てきたし、なによりも、あの嫌な上級生展西が校長の前で本音を言った時には、これで内申下がればいいのに〜、なんて思ったりして。
本当に嫌な奴なんだもん。映画のイメージ引きずってるけど、これがまた映画では秀才タイプというか、先生の前では点数稼ぎするタイプのまんまで、あの役やった子ぴったりで、彼の私生活が心配?

原作はゆっくり進んでいくけど、読みやすい。
だけど、巧。
正直、ああいう子はどうなんでしょ。協調性なし、自信過剰、不器用なのは分かるけど、やっぱりオトムライの言ってることの方が正しいな。

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2008年03月13日

夜叉桜 あさのあつこ著。

≪★★★★≫
今まで時代物は宮部氏のしか読んだことなくて、いずれは手を出したいと思っていたジャンル。あさの氏の時代物、まさかそうとは知らずに借りたけど、面白かった。
ただ、語りながら、急に場面が過去の出来事の説明だったりして、ちょっとん??と眉間に皺が寄ることしばしば。
なんだか説明くさいなと思ってたら、これは「弥勒の月」の続編なんですね〜。またやっちまった!!道理で・・・。
こういうのは順番通りに読んだ方がいいんだろうけど、やっちまったものは仕方ない。ってことで、それはそれで楽しめたし、きっと続々編あるでしょう。
謎の商人、遠野屋にまた忍び寄ってきた、捨てたはずの過去。兄者の問題が片付いてないもんね。

遊女ばかりが殺される事件が江戸で起こった。
信次郎と伊佐治が探るうちに、また一人犠牲者が。そして遠野屋と結びつく。なぜか遠野屋には、死が寄ってくる。
この遠野屋、信次郎が実は一目も二目も置いてる人物。
どんな結末になるのか。

同心の信次郎は、かなりいけすかない奴だけど、かなりの切れ者で、父親の代から仕えてた岡引、伊佐治と共にお互い文句を言いながらもなかなかどうしていいコンビ。この辺の人情というか阿吽の呼吸っていうのは宮部作品でも満喫、予習済みなので、ここにあさの氏も加わって本が増えて嬉しい限り。
posted by じゃじゃまま at 12:42| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | あさのあつこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月02日

バッテリー(2) あさのあつこ著。

今回は、運命の出会いをした巧と豪が中学に進学して、そこで自分たちだけの自由にはならない、先輩という存在からの理不尽な仕打ちや独裁主義者の戸村監督とのぶつかりを経験して、成長していく。

確かに12〜3歳の子どもからすれば、豪のいう、チームワークのために自我を抑え込むのは難しいかもしれない。他者のために、自分を犠牲にするというのは、大人だって内心は結構きついのに。
でも、野球は一人ではできない。巧のように、自分の力だけを信じて、自信を持つのもいいけど、だからそれでいい、ということもいえない。こんなことも大人になったからこそ言えるのかもね〜。
だとすれば、巧と同い年で、それを巧に諭す豪ってすごいね。

12〜3歳の男の子の、自分と周囲との葛藤、よく書けてるんじゃないかな。行間もたっぷりあって読みやすかったし。
大人の目線で見ると、巧は可愛げないし、自信過剰で困ったもんだけど、彼がこの先どのように周囲と折り合いをつけていくのか、成長していくのか、見守りたい。

どうしても戸村が萩原聖人になっちゃうんだよね〜。
posted by じゃじゃまま at 23:03| ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | あさのあつこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月17日

バッテリー あさのあつこ著。

最近【バッテリー】をレンタルで見て、大感動してたら、息子がなんと!!学校のライブラリーで借りてきてくれたのです!!
「お母さん、学校にあったよ。誰も予約してなかったからゆっくり読んでいいよ」と優しい言葉つきで。
まだ図書館では予約待ちが結構いたので、嬉しくて頭くしゃくしゃなでちゃいました。

でも、おや?珍しく、原作よりも映画の方がよかったかも。映画の方はバッテリー3くらいまでの話したのかな。
原作は、巧と豪の出会いまで。これから名バッテリー誕生ってとこだね。中学に入って、野球部である一悶着や他校の強打者との対決、巧と豪の揺れ動く信頼から、チームメイトの友情までは、この先の物語なんだろうな。
映画では、盛りだくさんで1本にぎゅっといろんなエッセンスがまざっていて、それはそれは大変にようございました。
絶対に、息子の誕生日にDVDプレゼントしちゃう。(息子は別に見てないし、欲しがってないけど)

原作は、児童書だからか、わりと淡々としてた。ま、大人向けのようにうだうだと心の裏の裏まで書いたって、子どもにはまだ読み取れないかな。だから、児童向けにふさわしく、さりげない程度に心理は書かれてた。
その辺が映画は、読み取れなくとも、役者さんの表情を見て感じ取れるから、ますます子どもに見せたくなっちゃう。
原作でも、巧の母は弟に甘々で、結構露骨。しかも、弟の青波は憎たらしいくらい周囲から可愛がられる。人の気持ちにも敏感だし、4年生でこうなの?ってびっくり。
ああ、青波がこんなんじゃ、お兄ちゃん立場ないよ、ってくらい確かに弟君、いい子なんだけどね〜。

息子が「また続きも借りてくる?なかったら予約しておくね」って、私の役に立つのが嬉しそうなので、お願いしちゃいました。すみませ〜〜ん。
その代わり、小学校は1週間しか期限ないので、大急ぎで読まなくちゃ。
posted by じゃじゃまま at 17:16| Comment(2) | TrackBack(3) | あさのあつこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月26日

ランナー あさのあつこ著。

≪★★★≫
「バッテリー」もまだ読んでないのに、「ランナー」を先に読んでしまいました。「バッテリー」は野球、「ランナー」は陸上。
共にスポーツで、ハードボイルド作家によくあるような、ライフルやマシンについて自己陶酔の内容みたいに、これもスポーツの世界における、専門用語や知識、ちょっとついていけない部分あるのかな?と
ちょっと距離を置いてたんですけど、まったくの杞憂だった。

走ることから逃げてしまった碧季には、抱えている家庭の事情があった。
夫の弟夫婦の娘を引き取り、気持ちを抑えられず憎んでしまう母、そんな母から一人ですべてを背負い妹を守ろうとする碧季。虐待されても母を慕う杏樹。
走ることから逃げてしまったのは、家庭の事情なのか。
それとも自分の弱さを母や妹に押し付けてるだけなのか。
走るという競技は、本来ゴールに向かって走ること、だけど碧季の走りはゴールさえも突っ切ってただ走っている、監督の言いたかったことが、その走りが想像できたことが嬉しかった。

どうしても愛せない母の苦しみ、娘の思慕、泣きましたね。
これもシリーズになるのでしょうか。彼らを見守っていきたい。
posted by じゃじゃまま at 23:26| Comment(9) | TrackBack(3) | あさのあつこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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