2015年03月05日

スタープレイヤー 恒川光太郎著。

《★★》

読むのに時間のかかった一冊だった。
ある日歩いていると、変なモノに声をかけられくじ引きさせられる。当たりくじを引いたらなんでも夢を叶えられるスタープレイヤーとして別世界にいた。

そこは地球ではない、だけど確かに自分は存在している。夕月は絶世の美女に生まれ変わり、宮殿のような城を建てたり、庭園を造ったり、いつかは元の世界に戻るために、十個しかない願いを叶えられる星を一つ残しながらも、徐々に慣れていく。
もう何十年も住んでいるというマキオと出会い、やがては勢力争いに巻き込まれていく。

別世界に連れてこられた人々は、元の地球上ではどうなってんの?アメリカの俳優の例では、どうやら地球上では死んでいるらしい。
この世界にいるのはコピー版。戻る場所なんてない、そう思ったからこそ夕月は戻らない選択をしたんだよね。

恒川氏の魅力は、別世界に入り込みながらも描く世界はどこか懐かしく、日本の古き匂いが漂っていたのに、「スタープレイヤー」は、まるでRPGゲームのようだった。
基本、私の最も共感できない部類。


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2014年02月20日

金色機械 恒川光太郎著。

《★★★》

江戸時代、そこは鬼御殿とも極楽園とも呼ばれ、女を攫っては食い物にしてきた。どこにあるか分からない山奥、隠れ里。そして、そこにいる、月から来たという金色の異形のもの、金色様。
長い長い年月をかけた、金色様と極楽園の物語。

時は少し遡り、戦国時代。月から来たという金色の異形のものを守る幽禅家がいた。
やがて今川家に迫られ、隠れ里の幽禅家は滅びた。そして、幽禅家の生き残りのちよが新たな金色様の主となり、幽禅家の名残は極楽園という新たな形の礎を作り、時代は戦国から江戸・徳川へと変わって行った。

何百年経とうとも、金色様は主と共にいる。いつか月からの迎えが来るまで・・・。
私の中では、金色様は映画【スター・ウォーズ】のあのロボットなんだけどね。
様々な人々が、極楽園に関わり、その人生が交錯していく。
不思議な力を持った者たちも登場して、途中、恒川氏が作者であることを忘れてしまうくらい、新しい感じがした。

その手で人を死へと導ける遥香。人の殺気が見える熊吾朗。

一見なんの関わりもなさそうな二人だけど、遥香の母は、昔熊吾朗と共に極楽園に住み、脱走した紅葉。だが後に、幼い遥香を胸に抱きながら、殺される。
遥香は、母を殺した仇を討つために金色様の最後の主となり、恐らく母を襲った一味であろう柴本厳信の元へ転がり込む。
厳信は、遥香が近づいてきた真意に気付きながらも遥香と夫婦になる。

遥香の母、紅葉が殺された遠因には、実は極楽園内部の抗争があった。極楽園を乗っ取るために部下の夜隼が頭領を殺害したのだ。当時、金色様の主は、その頭領一族。(そうだ、頭領一族は、その昔幽禅家の人々だもんね)
つい、極楽園がならず者の集まりで、殺しや盗み、少女を攫っては女郎にしていたもんで、、あのよい血筋の幽禅家の面影もなく、うっかり忘れちゃうとこなんだけど。
だから金色様は、極楽園にいたんだもんね。

で、頭領暗殺の手先として使われたのが、紅葉の夫の善彦。
山の噴火で紅葉たちは流民となり、頭領を殺された極楽園の報復と、幼き頃の厳信と仲間たちが遊び心で流民斬りを行ったことが重なり、実は紅葉は同じ村人仲間に殺されていたのだ。

元は女郎だった紅葉が村に加わったことによって、災いが起きたに違いないというほぼ八つ当たりの理由で。

ついでに言えば、遥香の父を殺したのは金色様。金色様の当時の主は、極楽園の頭領だった剛毅の息子、正嗣。正嗣が父の仇を取ろうと善彦に近づき、逆に殺されてしまう。主を殺された金色様は当然、善彦を殺す。
主を失っていた金色様は、やがて遥香と出会い、遥香が最後の主となるんだよね。

ああ、書いておかないと、ややこしい。

そして、話を戻して紅葉のこと。紅葉は、実は厳信たちにではなく、村人っていうか流民仲間に殺された真実は、万能に近い金色様も聞こえなかったとみえて、遥香も厳信も知らない。厳信に至ってはあまりの懺悔のせいか、流民斬りの記憶がなくなっている。
互いに真実を誤解したままだけど、夫婦となった月日は二人を信頼でつなぐ夫婦へと変えていった。
いつか母の仇を討つと決めていながら、厳信は母を殺していない、と確信を持つ遥香。

そんなある日、貸し本屋の双子の娘が攫われたと聞いて、厳信は、今まで藩が、二度極楽園捜索に乗り出しながら見つけることのできなかった難題に、三度目の捜索を開始する。攫った娘を返してもらうために、そのために行っただけなのに、かつて頭領を裏切った夜隼たちに殺されてしまう。
遥香は夫の行方を捜すために、熊吾朗に近づき、極楽園に金色様と乗り込んだ遥香は、極楽園をとうとう壊滅させる。

夫の死の真相を知った時、遥香からほとばしった殺気。この殺気を目の当たりした熊吾朗は、もはや極楽園を見捨て里に下りた。

よくよく考えると、金色様とはなんだったんだろう。極楽園とは結局、なんだったんだろう。
月から来た金色様。その金色様を守るために幽禅家がいて、生き延びたちよが極楽園を作った。
極楽園は、ちっとも極楽じゃなくて、女を食い物にする悪党どもの集まり。その悪党の祖先が幽禅家っていうのもなんだかな〜、だけど、そもそも生き延びたちよってのが、空恐ろしい子供だったもんね。

結局この物語は、なにをどう言いたかったんだろう。
月からの迎えが永遠に来ない金色様の、孤独な運命の話・・・だったんだろうか。



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2013年05月01日

私はフーイー 沖縄怪談短編集 恒川光太郎著。

《★★》


デビュー前から沖縄に移住した恒川氏の新刊。
沖縄を舞台にした怪談短編集。怪談というか不思議な物語というか・・・。

「弥勒節」 胡弓を奏でるとヨマブリが出てくる。島にいる口に出してはいけない存在。あまりよく分からなかったけど、心細い寂しさを感じた。

「クームン」 その存在は悪なのか?それとも願いを叶えてくれる善なのか。夢だったのか?
少年のころに出会った少女。少女の体験した出来事は怖いけど、二人がまた再会できてなんとなくよかったじゃん、って薄らハッピーエンド?

「ニョラ穴」 誤って人を殺してしまった男が無人島に逃げ込む。そこで狂気の世界に入ってしまった。
もう帰ってこれないんだろうな。

「夜のパーラー」 そこは売春宿だった。殺人を頼まれた男が、結局女の思う壺になってしまう話。そもそもあの女は存在していたのか、物の怪だったりして。

「幻灯電車」 母と姉と自分を弄んだ男を毒物で殺した少女。刑務所に入っている間にすべてを失ってしまった。年老いたかつての少女は沖縄に戻り、かつて一度だけ乗ったお化け電車に揺られ、父や母、姉のところへ行く。

「月夜の夢の、帰り道」 家族で島へ旅行した後、少年の人生は転落していく。島の祭りで予言された通り、父は死に、母は出奔、少年は事件を起こし無気力な青年になった。そんな彼が海で溺れ死にそうになったとき、彼が見たものはかつて祭りの日の自分たちだった。

救いのない人生だったはずが、最後にすっと救われた感じで、一番好きだったかも。

「私はフーイー」 何度も何度も転生する少女。そして、その少女の命を狙う者。負の連鎖を断ち切った後、少女は元の自分の姿に戻った、ってことか。

正直、あまり感情移入したり、理解や共感もなかったけど、恒川氏の持つ独特な懐かしいけど切ない怖い、不思議な異空間の物語をまた期待したい。


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2012年02月17日

金色の獣、彼方に向かう 恒川光太郎著。

≪★★☆≫

恒川氏のインタビュー記事によると、一編目の「異神千夜」より、中国から渡ってきた妖怪が長い年月をかけて日本各地をさまよい、四編目の「金色の獣、彼方に向かう」でどこかへ去っていく、という流れにしたらしい。

それを読んで初めて、そういうことかと気付いた始末。

「異神千夜」は、少年が異国の商人に認められ海を渡り、やがて日本人であることを隠して蒙古人として日本を襲撃する潜入部隊にならざるを得ない運命に陥る。
その部隊の中に不思議な能力を持ち、鼬と共に行動する女鈴華がいて、敵地日本に取り残された後、鈴華により操られ、次々に村を襲う。鈴華は魔物か・・・。

「風天孔参り」 風天孔という不思議な現象に集う謎の集団。案内人がいないとその現象にはめぐり合えないらしい。そしてその風天孔に入ると、そこに棲む雷獣が空へと連れ去り、消えてしまうというのだ。存在そのものが。
レストラン&宿を経営している岩波はある女性と知り合う。その女性もまた風天孔参りに参加している女性だった。そしてある日突然消えてしまう。

「森の神、夢に還る」 その昔、仲間によって命を奪われた少女。そのまま意識は森に残り、あらゆるものに憑依できる。ある女性に憑依した「私」は、そのままその女性の人生に居つき、自分の命を奪った者に出会う。鼬行者の姿をしたその男は、「私」が憑依したナツコを見て「悪霊退散」と叫ぶ。

「金色の獣、彼方に向かう」 少年は金色の獣に出会う。不思議な生き物だった。祖母は不思議な生き物≪ルーク≫を見て、関わりたくないという。
ここでも出てくる鼬行者。
祖母によると、鼬によって人間の方が飼われているのではないか、という。
猫の墓堀人。いくつもの穴を掘っては埋めている。なにを埋めているのかは分からないが、どうやらこの世のものではないみたい。
ルークを取り合った千絵は、継父を殺し、墓堀人に埋めてもらうため、会いに行き、そのまま・・・。

どうにも不思議な物語で、分かったような分からないような。
私は初期の「夜市」や「秋の牢獄」が好きだった。



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2011年01月12日

竜が最後に帰る場所 恒川光太郎著。

≪★★★★≫

恒川ワールドですね。
「風を放つ」 昔バイト先で知り合った男性の、その知り合いだった女性。彼女は不思議な瓶を持っているという。その中にはつむじ風が入っていて、呪った相手を殺せるという。
会うあてもないまま約束をし、そのまま忘れようとしていた存在。あの瓶の中のつむじ風は本当だろうか。

「迷走のオルネラ」 弱き者に暴力を振るう者たちから、弱者を救い、悪の存在を排除するために存在する。救うべき者たちを探すため、町から町へと旅をするグラスゴースト。
母親の愛人に虐待され、その愛人に母親を殺された少年。大人になった彼が向かった先は・・・。

「夜行の冬」 冬の夜。気配を感じ、音を聞いた夜は決して外に出てはいけない。夜行様が歩く晩は、決して・・・。祖母から聞かされていた話だったが、彼はある晩、出てしまった。夜行様の行列に加わった彼は、二度と同じ場所へは戻れぬ旅に出てしまった。

「鸚鵡幻想曲」 アサノと名乗る青年は、擬装集合体を解放する。目の前にあるポスト、携帯、それらは何物かの集まりでしかなかった。自分の買ったピアノが擬装集合体であると言われた宏はアサノを受け入れるが、実はアサノが解放したかったのはピアノではなかった。宏自身だったのだ。解放された宏は最後どうなるのか。

「ゴロンド」 池の中で生を受けたゴロンドが、やがて大きな竜になり、時をいくつも越えて種族の望みである「帰る場所」へと向かう壮大な物語。

「風を放つ」は弱いし「迷走のオルネラ」もいまいち好きになれなかったけど、あとの3編は恒川氏らしい。特に「夜行の冬」は、異空間を旅するなんて、まさしくそのまんま恒川ワールドでしょう。
ふと足を踏み入れた場所、景色も同じなのに、空気がかすかに違う。そんなふっとした違和感を書かせたら、恒川氏は最高です。
「鸚鵡幻想曲」も、宏が実は鸚鵡の集合体だったなんて。途方もない不安感も、愛する女性のために再集合するのも、こういうハッピーエンドって珍しいのでは?
「ゴロンド」も好きですね〜。池の中で目覚め、自分は何者なのか分からないまま手探り状態で生き残っていくサバイバル感。古来物語の壮大さを感じた。

posted by じゃじゃまま at 15:11| 神奈川 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月24日

南の子供が夜いくところ 恒川光太郎著。

≪★★≫

南の島、トロンバス島。
そこは伝説の島。
タカシは、両親と共に一家心中しそうな夜、ワーゲンバスのお店にいた120歳という不思議な女性ユナ女性に導かれ、ある島へやって来る。そして、両親と別れそこで暮らすようになる。
「南の子供が夜いくところ」

「紫焔樹の島」 ユナが伝説の島に生まれ、選ばれし者であった物語。

「十字路のピンクの廟」 ロブは7年に一度の墓参りのため親戚の集まりに参加していた。そこで真っ白い四角い顔をした、人間だかなんだか分からない生き物に呪いをかけられたロブ。

「雲の眠る海」 タカシは、ペライアという島から来た男シシマデウという男に会う。彼の島は他の島やスペイン人の襲来を受け、命からがら逃げ出したシシマデウは、力を借りるために伝説の島へ向かったというのだ。
タカシは思う。ここから二千キロ離れたところにペライアという島はあったけど、今では遺跡の島になっていることを。

時空を越えたシシマデウさんの旅の話。

「蛸漁師」 息子を事故で亡くした父親。息子の死の真相を知るために出向いた事故現場で、ある老人から仕事と住む所を引継いだが、そこで知った真相と手に入れたものは・・・。

「まどろみのティユルさん」 石像のティユル。そこで動けぬまま、自分が遠い過去、海賊であったこと、そこで知り合ったティユルの人生を変えたソノバとの出会い、その友人であるユナのことを回想する。

「夜の果樹園」 一度は家族と共に死のうとした男。息子は不思議な女性と共にある島へ渡り、自分と妻は借金を返すために離れて働いていた。息子に会うためにバスに乗ったが、自分の姿は変わり果てていた。

戸惑うことも多かった物語だった。
「雲の眠る海」が一番好き。なんともいえない、胸の奥がシーンと痛くなった。ずっとずっと永遠に伝説の島を目指しているシシデマウさん。
時を越えて、ひたすらに目指している彼を思うと、シンと切なくなる。
「まどろみのティユルさん」も結構好き。

だけど、恒川氏らしい和風テイストではなく、私は、あの不思議で懐かしい物語が恋しい。


posted by じゃじゃまま at 21:54| 神奈川 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月05日

草祭 恒川光太郎著。

≪★★★≫
彼らの住む「美奥」には、はっきりとは目に見えぬ境界線があり、そこにはもう一つの「美奥」がある。
いつもと同じ道、知っている道を歩いているつもりが、いつの間にか見知らぬ水路に迷い込み、進んでいくと、そこには・・・。
「美奥」で暮らす人々の物語。どこかで誰かに繋がっていて、思い出すのに苦労したり、すぐにピンときたり・・・。

でも、いつもの恒川ワールドよりは、ちょっと弱くて、好きなものと、ちょっと分からなかったのがある。

「けものはら」 中学三年の夏、春がいなくなった。心当たりは?と聞かれ、もしやと思う。小学生の頃、迷い込んでしまったもう一つの美奥「けものはら」
これはもう、恒川ワールドでしたね!不思議で、神秘的で、日本的で、懐かしい。霧が晴れたときに、自分の知らないもう一つの町に迷い込んでるんじゃないか、と想像してしまう。

「屋根猩猩」 幼い頃、「町を守る獅子舞になりたい」と言った美和に、「じゃあ、予約を入れといてあげるよ」と見知らぬ男の子は言った。おばあちゃんは「変なものと話すんじゃないよ」と言い、美和の手をぎゅっと握る。
美奥の尾根崎地区には屋根に守り神として猩猩をつける、屋根猩猩というものがある。そして一人の少年と出会う。

「くさのゆめがたり」 この話はとっても好き。「けものはら」にも繋がり、美奥の原点はここにあった。悲しい美奥の過去。

「天化の宿」 望月祐果は、くねくね曲がる線路を伝い森を進んでいく。そこで双子の少年と出会い「クトキ」の館へと入っていく。
「苦」がある人間だけ、その「クトキ」の館へ入ることが許されているのだろうか。

「朝の朧町」 長船さんが持っていた「クサナギ」は「くさのゆめがたり」と繋がってるよね。香奈枝は、過去から逃げて、そして長船さんに助けられた。不思議な町を長船さんと散歩する。
太鼓腹の男と双子の男の子、キーワードだよね。

でも、今回はちょっと全体像が分かりにくかった。

posted by じゃじゃまま at 13:05| ☀| Comment(7) | TrackBack(4) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月14日

雷の季節の終わりに 恒川光太郎著。

≪★★★☆≫
初めて恒川氏の長編読んだ。なるほど、今まで彼の書く不思議な空間の物語、是非長編で味わいたいと思っていたけど、こうなるのか。
日本ではない、そしてちょっとずれた異空間にある国、穏。文明の発達してないちょっと古びた町をイメージした。

穏では、四季の他に雷季があり、その季節は神の季節として、人々は家にこもり過ぎ去るのを待つ。そして鬼衆たちが穏の国に不必要な者を排除する季節。
賢也の物語では、賢也は穏の者ではなく、過去に外の世界(日本)からやって来たらしい。賢也にはその頃の記憶はなく、彼に憑いた風わいわいという憑き物が彼の意識の底に沈んでいる記憶を教えてくれた。
そして、賢也の記憶と、風わいわいの記憶が重なった時・・・。
ある事実が発覚する。

茜の物語。茜はまさしく日本人で、日本の物語。継母が穏の血筋で、継母に憎まれた茜は、鬼衆に処刑されるために穏に連れ去られる。そこで彼女は5歳の物言わぬ少年と出会う。

二人の物語は、時間が前後していて、終盤、そういうことか!!と大きくうなづいた。
早田浩司、結局彼の存在は謎だったよね。それと、茜に風わいわいの存在を教えた友人、詩織だっけ?彼女の登場もちょっと中途半端?
いつかどこかで、また穏の町、そして早田浩司に出会いたい。
posted by じゃじゃまま at 16:03| Comment(13) | TrackBack(9) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月25日

秋の牢獄 恒川光太郎著。

≪★★★★≫
先が知りたくて一気に読んでしまった。
「秋の牢獄」。まさに。いつまで経っても11月7日から逃れられない。終わらない一日。昔読んだ北村薫氏の「ターン」を思い出した。
何度も何度も、同じ日を繰り返す。一体なんのためなのか?
理由は分からない。いつか11月8日を迎える日が来るのだろうか。
何十回と妻を殺しても、目が覚めるとまた妻が浮気をしに行く。
そんな繰り返しの日々、やっぱり絶望しちゃうだろうな。
北風伯爵がどんな存在なのか分からないけど、最初は怯えてた藍も、ただ繰り返される日々に絶望し、北風伯爵に飲み込まれる日を、なにか救われる時として迎えるところが、怖いようなでも嬉しいような。
不思議な物語。

「神家没落」も、ちょっと薄ら寒い。迷い込んだ一軒の屋敷。そこに囚われると出ることはできない、身代わりを立てない限り。
そして数日置きに屋敷は消滅し、日本のどこかの場所に現れる。それは決まったルートで。彼は一体なんのために、どんな運命でその屋敷に迎え入れられたのか。脱出するために、ある男を身代わりに屋敷に閉じ込めたけど、その男はとんでもない犯罪者だった。
以前「風の古道」で見かけたレンと対決するあの男を思い出してしまった。犯罪者にとってはいい隠れ蓑だよね、かなり怖い。
神家は滅んだけど、切なさを伴う。

「幻は夜に成長する」は、リオがなぜ選ばれてしまったのか。その力を利用しようとする者どもに、復讐していって欲しいと思ってしまった。その体にのしかかろうとする男を、破滅に導いて欲しい。
ただ、リオという少女がいなくなった家では、どんな悲しみが襲ったのかと思うと、嫌な気分だし、物語自体理不尽な展開で、あまり好きじゃなかったかも。

恒川氏の物語は、登場人物たちの当たり前の日常をある日突然奪ってしまう、その切なさがまたいい。
posted by じゃじゃまま at 23:03| Comment(13) | TrackBack(14) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月08日

夜市 恒川光太郎著。

どなたかのブログでこれは面白そうだ!と思い、借りてきた。
うん、面白かったよ〜。どこか懐かしくて、こういうのをノスタルジックというのか?読んでると、自分の幼かった頃の夕方の町並みを思い出してしまった。
町並みだけじゃなく、両親に甘えてた子どもの頃の自分、そんなものが思い出されて切なくなった。

とはいえ、別にこれは家族の話じゃないんだよ。「夜市」は、なんでも手に入るという人間界ではない別の世界の夜市。偶然そこに入り込んでしまった少年、そこで少年はなにを手放し、なにを手に入れたのか。そして数年後、友人を伴い夜市に現れた青年は・・・。「夜市」とは一体なんなのか?
なんか子どもが今ハマってる「ゲゲゲの鬼太郎」の世界のようだ。
もしも、「夜市」に行ったらなにを手に入れるのか、ちょっと想像して怖くなった。

「風の古道」は、タイトルからしてこれもまたノスタルジックで、いい意味での切なさを感じるかと思ってたら、想像とは違った。
少年が父親とはぐれてしまい、この世のものではない道に迷い込んでしまった。
その道は、私たちの世界には存在していなくて、「綻び」と呼ばれる場所か、もしくは正式な出入り口からしか入れない。でもそこはどこかは分からない。その世界には、人間ではない異形なものたちが住んでいる。ありえないけど、もしかしたら、見えてないだけで、本当はあるのかも・・・って思わせるとこがうまい。

軽い気持ちで足を踏み入れてしまった少年とその友人。古道で出会ったレンの過去と、宿敵コモリの正体。心臓ちょっとバクバクしながら、そういうことか!!と古道を悪用してるコモリに腹が立ったり、少年がこのまま古道に居残るんじゃないかと心配したり、恒川氏の書く鬼太郎っぽい世界、面白い。


posted by じゃじゃまま at 17:36| Comment(16) | TrackBack(11) | 恒川光太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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