2013年11月13日

けさくしゃ 畠中恵著。

《★★★☆》


お江戸に住む、狂歌好きの旗本の殿様が町人にそそのかされ?おだてられ?戯作者となり、町や身の回りで起こる珍事件やら騒動を、話に喩えながら解決していく。

歌舞伎が下敷きになって小難しいのかなってちょっと腰が引けてたけど、まったくそんな心配は無用だった。
武士とはいえ、あんまり儲かってなさそうな小普晋の殿様で、話作りがとっても得意。
版元の山青堂や老舗版元の桂堂、種彦よりももっと偉い殿様の伊織殿や奥方の直子さま、おお、種彦さんの大好きな奥方、勝子さま、中間の善太などなど、種彦の周りで起こる珍事件を、得意の戯作でひょいひょい解決していくのが面白い。

話の前に挟まれる、江戸時代の出版に関する豆知識も面白いし、その後の物語にすっと入っていける。

その昔は、あまり人気が出過ぎる戯作者っていうのも大変だったんだね。
「戯作の六 明日が知れぬ世であれば」では、種彦の作った本が人気役者のおかげで売れたが、役者が事故死してしまった。ところが、次の芝居で、戯作者と役者の三角関係が原因で殺されたという芝居がかかり、芝居なのに、種彦に疑いがかけられてしまう。

結局は売れてしまった種彦への嫉妬からだったけど、種彦は巻き込まれただけなのに、それでもその昔の江戸という時代では、世を混乱に巻き込んだ一因も種彦にもあり、と見なされお咎めを受ける・・・ようなこともあったようなのだ。

そういうとばっちりが当たり前なこととしてお咎めを受けていたんだね〜。

もちろん種彦は、お仲間の助けもあり無事解決したけど。

しかも実在の人物。畠中氏はさすがだな、無知な私を楽しませてくれて。
これ、新たなシリーズになるかな。それにしてもいつも殿様は病弱だね〜。

posted by じゃじゃまま at 21:56| 神奈川 | Comment(2) | TrackBack(0) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月21日

こいわすれ 畠中恵著。

《★★★》


江戸は神田の町名主の跡取り、麻之助、同じく町名主の清十郎と同心見習い、吉五郎。幼馴染みの三人が支配町で起こるさまざまな問題を鮮やかに解決するシリーズ第三弾。

「おさかなばなし」・・・ 本所の堀川沿いにある“置いてけ堀”に河童が出るという。子供が行方知れずになったり、お金を取られたりと、噂がまことしやかに流れ出た。
麻之助の幼馴染みの清十郎も落ちたという。真相を聞き出そうとする麻之助たちになにやら隠し事がある様子。
そこへ、子供が行方知れずになったという七国屋が泣きつき・・・事の真相とは、切ないものであった。

「お江戸の一番」・・・ 『世神髄相撲見立番付』なる酔狂なものが流行りだした。勝手に番付をつけて楽しむものが、狂歌師と画家が一緒になったものだから、一騒動起きた。どっちが本当の一番かを決めるために麻之助に持ち込まれた。お互いの本音は、侍と吉原の意地の張り合いでもあったのだ。
麻之助は、互いの催し物で木戸銭を稼ぎ、それで優劣をつけるという提案をした。
互いに茶屋の看板娘を狙い、引かぬ闘いが繰り広げられたが、最後は皮肉なオチがついた。

「御身の名は」・・・ 麻之助に何度も文が届けられた。会いに行くが何度もすっぽかされ、いったい全体なんの目的なのか。
身重の妻、お寿ずが体調を崩し、幼馴染みのお高に連れられ、実家から家に戻っていた。麻之助は、文が来るが会えない相手と、お寿ずが体調を崩したことがなんとなく気にかかる。
やがて見えてきた真実は、幼馴染みの嫉妬であった。

「おとこだて」・・・ 女をだまして金子を取る男がいるという。濡れ衣をかけられた貞たちがなりすました男を捕らえるため江戸の町を走る。
実はこの噂、離縁がなかなか出来ない、いろいろな事情の絡んだある妻女が、夫と離縁するために弟たちと仕組んだ計画だった。
この噂を利用して、またもやお高の悪意が幸せのお寿ずに向かう。

「鬼神のお告げ」・・・ 江戸の人々の楽しみ、富くじをお告げで当てた男がいた。
本当に虫のお告げだったのか。お告げを利用して、ある殺人を企てる者がいたら・・・。
企てを阻止するため麻之助は走った。この事件に関わったせいで、麻之助はお寿ずとの子の別れに立ち会えなかった。そして、もっと悲しい別れが麻之助を待っていた。

まさかお寿ずが死ぬなんて・・・。そうだった、吉五郎はお寿ずが好きだったんだっけ。

「こいわすれ」・・・ 暦のせいで破談になった娘を、たまたま居合わせた場所で助けた麻之助。原因となった暦を探す娘と麻之助たち。
自力で失恋から立ち直った娘と、悲しみから目を逸らしつづけていた麻之助。麻之助がこんなにもお寿ずを好きだったなんて。
それが安心でもあり、少し寂しい。
お由有をずっと想い続けていて欲しい気がして。

このシリーズは、是非まだまだ先が読みたい。
麻之助とお由有のことが気にかかる。

posted by じゃじゃまま at 17:46| 神奈川 ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月25日

ちょちょら 畠中恵著。

≪★★★≫

多々良木藩の部屋住だった間野新之助は、兄の突然の訃報のため、江戸留守居役に任命された。
新米留守居役は、兄の死の真相、思いを寄せていた兄の許婚千穂家族の行方、藩の財政難、情報収集のための駆け引き、やるべきことはたくさんあった。
ただでさえ先の江戸留守居役が大事な接待を怠り目をつけられ、お手伝い普請を言いつけられたばかりで、これ以上藩に負担はかけられない。
そんなとき、またもやお手伝い普請があるらしいことを耳にし、なんとしても逃れなければならない新之助は、奇策を思いつく。

仲間となった留守居役の組合仲間岩崎や千穂に惚れてしまった青戸屋、<甘露の集>、人と人の繋がりや協力があって、最初は耳慣れない留守居役や、これといった美点のなさそうな新之助のキャラがイマイチつかめず、ペースが出るまで時間がかかったけど、読み進めるごとにハマっていく。

新シリーズなのかな、忘れないうちに新作出て欲しいかも。
本当は新之助は切れ者だった、って方向になりそうなんだけど、まだ本性出し切ってない感じでちょっと消化不良?
多々良木藩から一体どこの藩に行ってしまったのか、その先での活躍も早く読みたい。
posted by じゃじゃまま at 22:04| 神奈川 ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月23日

こいしり 畠中恵著。

≪★★☆≫
「まんまこと」の続編。
女には凄腕の清十郎。お気楽な麻之介。共に町の揉め事を玄関先で預かる町名主の息子である。そして親友の同心見習いの吉五郎。
江戸の町で巻き起こる事件の数々。

麻之介の婚礼の日、清十郎の父が倒れた。清十郎の父の後妻であるお由有は、麻之介の想い人であった・・・。
そして清十郎の父が亡くなった。未亡人となったお由有。妻のある身となった麻之介。
お寿ずの視線が女心なんだよね〜〜。

これはまだまだ続くのであろうか。
正直、なんだろう、回りくどい表現なのか、キャラが説明臭いのか。
それとも清十郎と麻之介のキャラが多少かぶっているせいか、ごちゃごちゃしてリズムに乗るのに時間がかかってしまった。
「まんまこと」はこの数倍面白かったんだけどね。
「こいしり」もそれなりに事件の顛末は面白かったけど・・・。


posted by じゃじゃまま at 08:34| ☀| Comment(3) | TrackBack(1) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月05日

まんまこと 畠中恵著。

≪★★★★≫
今回はよかった〜。裏切られなかった。
神田の町名主の跡取り息子、お気楽な麻之助。幼なじみにして悪友のこちらも町名主の跡取り清十郎、そして同心見習い吉五郎と、江戸の町で巻き起こる人情物語の数々。

いや〜、面白かった!
畠中氏は、明治より江戸の方がよいんじゃないかしら。
気になるのは、麻之助と、清十郎の義理の母であり、幼なじみであるお由有。これは・・・切ない恋物語か!と気を揉んでしまった。
吉五郎のまたいとこのお寿ずも現れて、三角関係なのか、四角関係なのか、やきもきしそうなとこだったんだけど、お由有の子が、そういうことね、と分かった途端、お由有からお寿ずの方に私の気持ちは傾いてしまった。

いやいや、これは早く続編が読みたい。

posted by じゃじゃまま at 22:29| ☔| Comment(6) | TrackBack(5) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月29日

アイスクリン強し 畠中恵著。

≪★★☆≫
時は明治。江戸から明治と名を改めたからには、万事移り変わるのが世の習い、とのことで、西洋の菓子を世に広めるために菓子屋を開店した皆川真次郎と、元幕臣の「若様組」の巡査たちとの、スイーツ文明開化の騒動記。

装丁が可愛くて、私もシュークリームが大好きだから、きっと甘いものが食べたくなる、そんな物語かと思ってたんだけど、ちょっと違ったかな。
確かに甘いもの、特にワッフルス食べたくなったぞ!
でも、どの短編も中途半端な感じがして、みんなのマドンナ小泉沙羅と真次郎の恋の行方・・・というか、そもそも二人が好き合ってるっていうのもどこか中途半端な書き方で、なんか煮え切らないんだよね〜。

あの祖父の形見の鍔、奪う奪われるの大騒ぎだった小弥太もそう。
途中でどっか行ったかと思ったらコレラに罹ってるし、で、その後どうしたのよ、って感じでしょ〜。
沙羅の女学校の同級生の志奈子も、ああ!どれも本当に中途半端だな〜。
シリーズにするつもりで、余白を残してる感じ!?


posted by じゃじゃまま at 23:05| ☁| Comment(5) | TrackBack(4) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月16日

こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり 畠中恵著。

≪★★★★☆≫
<男女九人お江戸の恋ものがたり>九人の幼なじみたち。親代わりである長次の元で下っ引をしている宇多。宇多がずっと思い続けた於ふじは、これまた幼なじみの於ふじの兄と時を同じくして、少し前に川で死んでしまった。
そんな於ふじが、宇多の前に戻ってきた。

江戸の町は賑やかで、宇多が首を突っ込むことになったり、持ち込まれる相談は後を絶たない。それぞれの幼なじみたちの思い通りにならない恋模様尾と絡んで、短編連作集だけど、長編にも思える。
そしていつしか、於ふじやその兄の事故死の真相に繋がっていく。

ほんと、それぞれが抱えるままならない恋心、それぞれの決断が、悲しかったり、大人じゃ〜〜んって思ったり、幼なじみたちは、いつしか大人になってたんだよね。
お絹と於ふじが、どんな風に宇多を取り合うのか、生前の三角関係見てみたかったな。お絹よりも、私は於ふじちゃんを応援したいけど。
於ふじの兄、千之助はいったい誰が好きだったんだろう、なんだかもっと読みたい、知りたい気分。
今後の彼らも見てみたいけど、ないか。
お染と弥太の、大どんでん返し、最後にびっくりした。

各章のタイトルとなっている江戸言葉の、意味もよかった。
こころげそう=心化粧で、口には出さないが、内心想っていること、ってなんか素敵。


posted by じゃじゃまま at 22:25| ☁| Comment(6) | TrackBack(5) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月13日

しゃばけ 畠中恵著。

≪★★★☆≫

どういうわけか、半分読むのに一週間かかってしまった。
これはシリーズ物を途中から読んでしまったのかい?みたいな、ちょっとついていけない、仲間外れ感が最初あって、でも中盤から徐々に、若だんなの出自、妖たちの存在、江戸の連続殺人事件もようやく繋がってきて、面白かったな〜。
やっぱり、時代物は人情だよね。
体の弱い若だんなが、内面はしっかりと芯が通ってて、度胸もあって、どうして妖たちに守られてるのか、一度納得してしまえば、しゃばけの世界はどうしてどうして、面白い。

その昔は、人間と妖、共存してたかもね。物も大事にされて何百年と経てば命も宿るかも。
どうしても付喪神になりたい黒壺は、人に取り憑き、薬種問屋ばかりを狙う。あるモノのために。
その探しているモノとは。「匂いがする」といって徐々に、若だんなに近づいてくる「なりそこない」。どっぷり楽しんだ。

若だんなの兄、幼なじみの跡取り問題、その妹の初恋、続きがありそうで(あるんでしょう?)楽しみがまた一つ増えた。


posted by じゃじゃまま at 22:16| ☔| Comment(6) | TrackBack(5) | 畠中恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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