2010年04月12日

リテイク・シックスティーン 豊島ミホ著。

≪★★★★☆≫
高校に入学して間もなく、友人孝子から「あたし、未来から来たの」と告げらた沙織。
孝子は27歳の未来から、高校時代をやり直したくて、戻ってきたと言うのだ。
青春をやり直すためにやって来たという孝子と、何事も初めての沙織の高校一年生の物語。

最初はとっつきにくくて、だって、27歳の孝子がなにをどうやって戻ってきたのかも分からないし、普通なら未来を知っていてなにかをするために戻ってきた孝子が主人公なのに、この物語では、未来のことなんか知らない雑貨屋を営む祖母とだらしのない母親と3人で暮ら沙織が主人公。

だから、ちょっとつかめなくて、序盤はトロトロ・・・。
けど!!

孝子は、沙織と一緒にいたくて、将来の選択を間違えて、大学卒業後も無職でどうしようもない27歳になってしまった。それを後悔して、もい一度思い切り青春をして、やり直したい!と願って戻ってきたけど、結局は自分自身が変わらないから、ボーイフレンドが出来ても、未来を変えることができないことに気付いて、挫折しちゃう。

とても痛かった。
そうなんだよ、いくら小手先で環境を変えてみても、受け取る自分自身が変わっていなければ結局は同じ道に戻るだけなんだよね。
27歳なのに、16歳の孝子が痛すぎる。
沙織の「またやり直せば?そうやってずっと回ってればいいんだ、同じところで永遠に」って言葉が深い。

沙織も、孝子の前の人生では、孝子同様好きな男の子もできず、あまり青春してないみたい。
でも、孝子にとってはやり直しの青春でも、沙織にとっては初めての16歳で、孝子の影響で沙織の青春までもがやたらと青春しちゃってるのが、すごくすごく心地よくて、なんだか嬉しくて。

ああ、そういうことだったんだな〜と。
戻ってきたのは孝子でも、その周囲にいる人たちまでもがみんなリテイクしちゃってるんだ。
沙織も、村山君も、大海君も、みんないいよね。

この4人の高校生活が、とてもまぶしくて、全然関係ないけど、自分まで16歳リテイクしちゃってる気分。あくまでも気分ね。
車谷さんの強さも、油屋さんも、ああいうクラスメイトいいな。

自分自身のままで生きることを決めた孝子は、もう同じ27歳にはならないはずだし、沙織のパパのくだりは、泣いてしまった。
とってもいい青春物語でした。


posted by じゃじゃまま at 22:55| ☔| Comment(3) | TrackBack(2) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月28日

リリイの籠 豊島ミホ著。

≪★★★☆≫
女子高生や、その教師たちの、女の子らしい友情や駆け引き、嫉妬、でもどれも瑞々しくて、懐かしくて、なんだかキュンとくる7編の物語。
女の子の裏側も垣間見れる物語だけど、どの女の子も、可哀相だったり、切なかったり、でもどこか共感できて、好きだな〜と思った。

「銀杏泥棒は金色」 美術部の春は友だちとつるむよりも、自分の好きなことをしていたい女の子。
そんな春が、金色の光る同級生と出会った。恐らく春が初めて友だちになりたい!と思えた、加菜との物語。

「ポニーテール・ドリーム」 若干ダサめのえみ先生。バリバリ今風の教え子にちょっとからかわれ、苦手なタイプの生徒なのに、その生徒のおかげで救われる。失恋もしちゃったけど、前向きになれた。

「忘れないでね」 転校ばかりしていた美奈は、一人ぼっちにならないために、いつもクラスで一人ぼっちでいる子と友だちになっていた。どうせ私はまた転校するから、とそのお気楽さで。
置いていかれる気持ちなど考えず。ところが、父が永住を決めた場所で、美奈は友だち作りに失敗する。そして、今度は自分が置いて行かれる立場に・・・。
すごくドキンとしたお話だった。

「ながれるひめ」 姉の勤め先の、母校の女子校に教育実習に行くことになった藍。姉と藍はお互いを誤解していて、姉は妹であることを隠したがるし、藍も教師を軽く見ていた。そんな藍が、うまくいかない教育実習で姉の本音を知り、見直しちゃう物語。

「いちごとくま」 自分よりも下だと思っていた友達に彼氏が出来たら・・・自分よりも可愛い子には嫉妬し意地悪もしたりするけど、下に見る子には優位に立ってる余裕で、優しい振りをしたりする。
女の子の世界の本音がチラリ。

「やさしい人」 同窓会の幹事をやることになった。友だちになりかけて、結局そのままで、すっかり忘れていたクラスメートからの連絡。
木田さんは家庭の事情で卒業式にも出ていなかったんだけど、それすら気付かなかった。
ちょっと切ない。
あの時代って、ほんの少しのきっかけで友だちになれたり、なれなかったり。これもタイミングだよね。

「ゆうちゃんはレズ」 女子校で、後輩から告白された明子先輩。女子しかいない世界で、ほんのちょっと常識からずれちゃうことってあるんだろうな。でもあんまり興味の持てなかったお話でした。




posted by じゃじゃまま at 22:52| ☔| Comment(5) | TrackBack(1) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月24日

夏が僕を抱く 豊島ミホ著。

≪★★★★≫
いつもそばにいた。でも容赦なく時は流れて、知らない誰かが、私から彼を奪っていく。
いつもそばにいてくれた人が、自分をどれだけ見ていたか、そしてその存在にどれだけ安心していたか、初めてその人の大切さを知る。

初恋の相手が幼なじみだとしても、いつしかそれはただの幼なじみという関係で終わってしまう。それが、いつしかまた異性として感じるのは、いつなんだろう?

幼なじみとの甘酸っぱい6編の物語。

「変身少女」「らくだとモノレール」・・・小さい頃から一緒にいた鞠男と菊南。
同じ団地に住むらくだといるか。二組の幼なじみたちの、いつまでも変われない少女と、変わっていく少年の、切ない初恋2編。

「あさなぎ」・・・お姉ちゃんと研吾君のキスを見た私。研吾君の初恋はお姉ちゃんで、私の初恋は研吾君。その私が、大人になって研吾君とお見合いすることになった。研吾君と私の切ない物語。

「遠回りもまだ途中」・・・大学生になれなかった岬と、女子大生になった有里。岬が大切なことに気づいているけど、まだ認めたくない幼なじみの有里。私はこの二人の物語、「あさなぎ」と共に好き。

「夏が僕を抱く」・・・従姉のミーちゃんと再会した羽太郎。成長と共に一緒に過ごせなくなったミーちゃんと、大人の再会をした羽太郎は初恋のやり直しはできるんだろうか。一緒にいても、ぽっかりと穴が空いたみたいな寂しさ。

「ストロベリー・ホープ」・・・護が帰ってきた。いろいろあって、傷ついて故郷に戻ってきた護と、それなりに大人になった十和子が、これからどんな風に時間を共にしていくのか。優しい再会。これも好き。

私の中では幼なじみはそのまんまで対象外なんだけど、だから逆にとっても新鮮な気がした。




posted by じゃじゃまま at 22:23| ☔| Comment(3) | TrackBack(2) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月15日

初恋素描帖 豊島ミホ著。

≪★★☆≫
2年2組、中学2年生の彼らの恋模様。
クラス35人中20人の、誰かを想う気持ち、誰かを追う視線、誰かとの関わりが書かれていて、自分の昔を思い返しても、こんなにクラスの中で誰かが誰かを好きでって、視線の糸絡み合っていたっけな〜?と思ってしまった。

私自身、今まで一度も同じクラスの男子を好きになったことってなかったんだよね〜。いっつも違う学年、違うクラスで、教室内でチラ見する醍醐味ってのを味わってなかったんだね、ああ、勿体ない。

20人もいるから、いちいちどうでもいいんだけど、個人的に、クラスのアイドル的存在の安西めいちゃん。ちょっと嫌かも。
友だちの好きな先輩を、応援しつつ、先輩の視線が自分にきてること知ってて、で、自分も好きになっちゃう、厄介な女になるよね、絶対。
そのめいちゃんにみんなの前で告白して、振られて、それでも道化を買って出る武田君。この武田君が案外モテることに気付いたのは、意外な発見。
めいちゃんを本気で好きな武田君に気付いた杏子に、俺のことちゃんと見てたんだ、とこれまた気付かれる杏子の今後にちょっと期待。
木村を見つめる平田葉ちゃんも、その葉ちゃんのことを気にしてる鈴木も、がんばれよ。

それにしても2年2組は忙しい。

posted by じゃじゃまま at 15:53| ☁| Comment(5) | TrackBack(3) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月07日

カウントダウンノベルズ 豊島ミホ著。

≪★★☆≫

J−POPのTOP10にランクインしてるアーティストたちのそれぞれの物語。
歌姫がいたり、その歌姫の座を狙う若手がいたり、解雇を告げられるグループもいれば、バンド結成時からずっと同じメンバーで、トラブルはありながらもメンバーの絆を感じさせたり、ともちろんフィクションなんだけど、あれかも、これかも?なんて想像してみたり。

私は基本的にあまり音楽に興味がないので、その想像自体が貧困な想像力なんだけど。
10人(組)のそれぞれの物語なので、短編だし読みやすいというかさっくり読めるんだけど、その分印象が薄いかな。

思い返すと、アーティスト名とタイトルと話の内容が薄くて、よく思い出せないのばかり。
その中で、7位にランクインの「ピクニック」は、別に好きな話でもないけど、印象に残ってる。
私の中では、英の結婚相手のベーシストの顔が勝手に、ダイアモンド★ユカイになっちゃってて、だから覚えてる。

posted by じゃじゃまま at 22:50| ☀| Comment(4) | TrackBack(3) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月27日

花が咲く頃いた君と 豊島ミホ著。

≪★★★≫

装丁はいいですね〜。
多分、豊島氏がいいたかったこと、書きたかったこと、とは違う感じ方をしたと思う。
「サマバケ96」は、女子中学生二人の話。ある時期、男の子よりも、当然親よりも、女友達が大事で、この世界観は誰にも邪魔させたくないってときあるよね。頭のいいユカと、いまどきの子のアンナ。
ちぐはぐな二人だけど、ユカにとってはアンナは誰よりも大事な存在。それは、今、って限定期間だけど。高校に行ったら多分疎遠になるよ、この二人。
でも、本当にそういう時期ってあるんだよね。男の子よりも親友が大事って。
だけど、あっさり裏切られる。アンナにとっては、男の子が一番。
それに振り回されて、寂しくて、怒るユカ。ま、女同士の友情の温度差の話も分かるけど、私は、ユカとアンナがナンパされて、ノリノリカップルだったアンナが駄目になって、ついでだったユカとアキオのプラトニックな、あんまり重要じゃない程度の付き合いがまだ続きそうな、「二学期もよろしく」ってアキオのセリフが、なんか好き。

「コスモスと逃亡者」は、なにをどう感じればいいのでしょうか。
知的障害の女の子の話なのか、決めかねるけど、悲しくなった。たからちゃんにも、お母さんにも。

「椿の葉に雪の積もる音がする」も、切なかった。おじいちゃんの存在が、息子夫婦にあまり快く思われてないような感じがして。
可哀相だよ、おじいちゃん、ってギュッとなってしまった。
そんなおじいちゃんとの別れ。予感があったのかな、おじいちゃんの大事な本を「要らんか」といった夜。
そして、今まで、おじいちゃんを可哀相な存在だと思ってたけど、それが思い過ごしだったのかなと思わせた、棺に椿を入れてあげるところ。よかった、おじいちゃん。嫌われてたんじゃなくて。
タイトルも、なんか、瞼におじいちゃんが浮かんできそうで、雪の積もる音を想像しそうになる。

「僕と桜と五つの春」うまく喋れない「僕」。そんな「僕」が突然恋に落ちた。自分だけの秘密の場所の桜と、その桜と同じ存在に思えた女の子。だけど、彼女の取り巻きにからかわれ、パシリにされ、辛い恋なのに、それでも「僕」は彼女を嫌いにならない。
何度も春が来て、同じ高校に進み、拒絶されても、それでもずっと彼女を想う。
卒業した春休みのある日、恋が終わった。彼女が初めて吉谷君を認めてくれた時、終わった、と思えたんだよね。いや、きっと吉谷君はずっと彼女を好きなんだろうけど、拒絶されてた恋が終わり、成就はしなかったけど、一歩前に進めるね。
吉谷君は、この先きっと頑張れる。地道に地味ながらも、一歩ずつきっと進んでいける、ってなんだか思えた。

でも、ちょっと痛いお話ばかりでしたね。

posted by じゃじゃまま at 22:27| ☁| Comment(6) | TrackBack(3) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月19日

エバーグリーン 豊島ミホ著。

≪★★★≫

「神田川デイズ」で感動し、みなさんにお薦めいただいた「エバーグリーン」読みましたよ〜。
最初は、音楽に夢中な少年の音楽の話か?と若干引き気味で、数ページからなかなか進まなかったけど、おお!初恋か?青春か?とグンとスピードが上がった。
14歳の、出会い。もっとこの先世界は広がるだろうけど、でも、この先シン君以外の特別な男の子を好きになるだろうか、そう信じ、10年間思い続けるアヤコの切なさが、14歳の頃の自分とダブって、涙が出ちゃったよ。

展開が「砂時計」みたいだったら、どうしようと不安だったけど。
切なすぎて、読む勇気が出るかどうか怖かったんだもん。でも、いきなり話は、10年後の約束が迫った25歳のシン君とアヤコになった。
わたし的には、初恋が実って、アヤコとシン君を応援したかったけど、もっともっと話は現実的だった。
10年間っていうのは、一人の人を、思い出だけで思い続けるには長いかも。でもきっと、私はアヤコが好きなんだな。だから、思い出を想い続けるアヤコを、無駄だ、と知りつつも、応援したかった。
だから、アヤコがシン君を想ってた14歳の自分から、伊地知と歩いていくと決めた24歳になった時も、どっちのアヤコも好きで、嬉しかった。

シン君を想ってた気持ち、いつでもあの頃の気持ちを思い出せる、でも、隣には別の人がいる、その人を想う気持ちはまた別のもの、それすっごく分かるな〜。14歳の自分のままではいられないんだよね。
なくしてはいないけど。

シン君と奈月はいいや。これってアヤコの書いてた漫画にも、確か4人の男女出るよね。私は、ユキとみのりさんだったらどっち派なんだろう?
posted by じゃじゃまま at 22:59| ☁| Comment(8) | TrackBack(8) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月17日

神田川デイズ 豊島ミホ著。

≪★★★≫
面白かったですよ〜。本当は★4つでもよかったくらい。ただ、最終章の星子と従兄の話があまり好きじゃなかったのと、童貞メガネーズの面々がキモイので、マイナス〜。
童貞メガネーズの彼らは、各章で、通りすがりにコントがウケてるくらいの登場が望ましいです。
彼らも嫌いじゃないんですけど、「見ろ、空は白む」の、あのやる気のない3人の悶々とした澱んだ空気が、こっちまでやる気失せるよ〜って感じで、嫌だったんですよね。

ところが、各章で彼らが、頑張ってるのが分かって嬉しい。でも、その詳しい話よりも、横でウケてるくらいの登場でいいです。

私が好きだったのは、「いちごに朝露、映るは空」の中野道子ちゃんと、「雨にとびこめ」の準。
この二人が「どこまで行けるか言わないで」で付き合ってるって経過がすっごく好き。

各章で、冒頭の童貞メガネーズがその後もお笑いで頑張ってる姿が分かり、地方から出てきて、不戦を訴える、なんてかなり左に入ってるサークルに入ってしまった中野さん。中野さんが、みんなが引いてる中クラスの飲み会で席が近かった星子ちゃん、準、アズマと仲良くなって、いつも一緒にいる姿が微笑ましい。
「リベンジ・リトル・ガール」の小林さんと角田君も、「花束なんかになりたくない」で星子の従兄と繋がってるし。

それぞれの章でスポットを浴びる主人公の後ろに、それぞれの章の主人公がウロウロしてたり、読んでいてなんだか嬉しくなる連作集ですね。
私は、中野さんと準とまた会いたいな〜。
いや、もしかしたら、全員とまた会いたい!

豊島さん、お初なのですが、お薦めの1冊教えてください。
posted by じゃじゃまま at 12:33| ☔| Comment(10) | TrackBack(9) | 豊島ミホ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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